「手放す」こそ最強のスキル!~未来を切り開く「引き算」思考~
相手は、大企業の方からスタートアップの起業家まで様々です。大企業の中で新規事業に取り組んだ経験があったり、数々のコミュニティづくりをしたり、人や組織のコミュニケーションの問題に挑んだりする多様な経験を有しているので、色々な悩みに対応できるのだと自負しています。とは言え、答えを押し付けるようなメンタリングは趣味ではありません。どちらかというと、傾聴して視点を共有しながら「ヒント」を差し出すような意識で、いつも取り組んでいます。
さて、そんな中、地方で活動している女性から相談を受けました。
彼女は、ある公共の施設でのイベント企画を企業から派遣されて担当しています。客観的に見ても、地域活性のためにとても意義のある活動をしています。彼女たちの活動は、市の補助金によって資金に支えられています。しかし、補助金はだいたい1年単位で見直しが入り、おおよそ3年も続くと減額や打ち切りになることも少なくありません。
ということは、新しいマネタイズの方法を考えないと、活動を継続できません。イベント企画のマネタイズというと、基本的には企業とのタイアップ案件を生み出すことが大事になります。しかし、その検討がなかなか進まないと言うのです。
理由を聞くと彼女はこう言いました。「毎日のイベントをまわすのに精いっぱいで、タスクに追われていて、新しいことを考える時間がないんです。」こういうタイアップの作り方がある、こういう企画はどうだろうとアイデアを出しても、繰り返しこう言うのです。「やれればいいけど忙しくて手が回らなくて…」
このやりとりをしながら、本当に「あるある」だなと思いました。真面目な人ほど、このような罠に陥りやすいのです。
どんな罠かというと、一言で言うと「頑張りすぎの罠」です。
新しい挑戦のための「頑張らない」戦略
新しいことを始めようとするとき、大事なことは「頑張らないこと」です。
「頑張らない」という言葉、どう感じますか?「え、もっと頑張らないとうまくいかないでしょ?」と思うかもしれませんが、 実はこれは、意外と大切な考え方なんです。
ここで言う頑張らないとはどういうことかというと「既存の業務やタスクを効率的に、つまり時短で回すこと」です。そうすることで新しい発想の余地が生まれるのです。
そもそも、根が真面目な方々は、一つ一つのタスクを丁寧にこなしたいと思うあまり、タスクが増えてしまう傾向があります。そして、とても勉強熱心です。結果として、「今あるタスクは全力でやる」「その上もっと頑張って新しい知識や技術を増やす」という「足し算」の考えが先行する傾向があります。
しかし、新しいことを始める時、大事なのはまったく逆の「引き算」の発想です。つまり「やることを増やす」のではなく「やらないことを明確にする」のがポイントなのです。徹底的に既存のタスクを見直し、本当に必要なものだけを選んで実行する。そうすることで、新しいチャレンジをする「余白」が生まれるのです。
まず余白をつくらないと、新しい知識も経験も自分のものになかなかできません。スポンジのようなもので、既に水でいっぱいのスポンジには、新しい水は吸収できません。でも、ちょっと絞るだけで新しい水をたくさん吸収できるようになります。それと同じで、タスクを落として余白をつくることで、新しい知識や技術が吸収しやすくなるわけです。
「引き算」の力:余白からのイノベーション
競争的な現代の社会は、常に「もっと〇〇しなくてはいけない」というプレッシャーがかかっています。結果として、新しいプロジェクト、新しいアイデア、新しい戦略、新しいスキル……と、常に「足し算」の思考で、仕事のボリュームが増え続けるのです。
しかし、実際にはこの「足し算」が新しいことを思考し、実行するための余力をそいでいるのです。結果、我々の生産性やクリエイティビティを阻害することもあります。場合によって「どんなに頑張ってもうまくいかないのは、私がダメだから」という思考に陥って、自己肯定感を下げてしまうこともあります。
忙しいと感じる方々に一言伝えたいことがあります。それは「手放しましょう」ということです。「足し算」ではなく「引き算」からはじめることです。手放すことで、新しい視点や可能性が見えてきます。そして、新しいことに挑戦する余裕が生まれ、チャレンジできる自分を再発見し、仕事の楽しさや魅力を実感できるはずです。自己肯定感もどんどん上がっていきます。
とは言え「手放す」という行為は、勇気がいるものです。何故なら、自らがこれまで築き上げてきたものや、取り組んできた業務から一部を削ることで「自分の存在意義(だと信じているもの)」を切り出すことを意味するからです。
しかし、何も恐れることはありません。この「引き算」の考え方こそが、真の生産性や成果を上げるカギとなるのです。新しい発想やイノベーションは、余白から生まれるもの。常に忙しい日常では、新しいアイディアや視点を持つ余地がなくなってしまいます。しかし、一度「引き算」をすることで、その余白が生まれる。その余白から、新しい視点や斬新なアイディアが湧き出てくるのです。このような新しい発想こそが、競争の激しいビジネスの舞台で差別化を図る上で非常に重要となります。
僕自身も、新しいことを始める時、まずは既存のタスクを見直して、何が本当に大事かを再確認するようにしています。そして既存タスクはできるだけ他の人に切り出したり、省力化するようにして、その上で、新しいチャレンジをするようにしています。だからこそ、目まぐるしい社会のニーズの変化に対応し続けることができているのです。
「うちにはリソースがないから切り出せない」という方も、一度周りを見てみてください。タスクをシェアできるチームメンバーはいませんか?ちゃんとその方と会話できていますか?
人が足りないのであれば、学生さんにインターンやアルバイトとして協力してもらう方法もあるし、業務の内容によっては研修の名目で他の会社からメンバーを派遣してもらう方法もあります。生成AIを上手に使って省力化することもできるし、ルーチンの見直しをはかることで、必要だと思っていた業務が実は不要だったと気付くこともあります。とにかく、あらゆる手を使って「引き算」を繰り返すと、意外なほど多くのタスクを減らすことができたりするのです。
明日からできる!「手放し」のステップ
「手放す」と聞くと、一見シンプルに思えるかもしれませんが、実践するには戦略的なアプローチが求められます。では、具体的にどのようなステップを踏めば、効果的に「手放し」を実現できるのでしょうか。
まず、現状の棚卸しをします。自分やチームが取り組んでいるタスクやプロジェクトをリストアップして、一つ一つに対して、それが目的やゴールにどれほど貢献しているのか、冷静に評価します。
その後に、タスクの優先度を決めます。「絶対に続けるべきタスク」「見直しをはかるべきタスク」「手放すべきスキル」と分けて、「手放すべきスキル」からどんどん切り出していきます。
「見直しをはかるべきタスク」はやり方を変えたり、やらなくて済むように他のメンバーや組織への移行を検討したりします。
結果として集中すべき「絶対に続けるべきタスク」と「タスクを削った結果余った時間」が残ります。この「余った時間」を未来のために大胆に投資していくことが大事です。今回の相談相手のイベント企画者さんの例でいうと、企業とのタイアップ企画を考え、立案し、企業に営業をかけて、事例をつくるということを繰り返す必要があります。
多くの人々が「手放す」ことの価値や重要性を理解している一方で、具体的な方法については十分に知られていないことが多いです。しかし、上述したステップを踏むことで、その恩恵を最大限に受けることができます。新しいことに挑戦したい、成果をもっと上げたい、そんなあなたには、勇気を持って「手放す」ことをおすすめします。そこから、新しい風が吹き込むこと請け合いです。
「引き算」の思考は、個人はもちろん、チーム全体のエネルギーを高める効果もあります。不要なミーティングやタスクを削減することで、それぞれのメンバーが自らの得意分野や重要な業務に集中することができるようになります。これによって、チーム全体の生産性が向上するだけでなく、メンバーのモチベーションや満足度も高まるでしょう。
最後に付け加えると、仕事だけではなく人生自体も「引き算」の考え方が必要です。現代人の性として、日常の忙しさに追われ、大切なものを見失いがちです。しかし、不要なものを手放し、本当に大切なものに時間を割くことで、より豊かで充実した人生を送ることができるようになります。
「引き算」の考え方、「手放す技術」は、仕事だけでなく人生全般においても非常に有効です。生産性を上げるため、新しい発想を持つため、そして真の成果を上げるためには、時には勇気を持って「手放す」ことが大切なのです。
※編集協力 横田真弓(THE MODERATORS & FACILITATORS受講生)
※この文章は、原文作成にChatGPT(GPT-4)を活用して執筆されています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?