カリフォルニアの自動運転開発についてのレポート(DMV)から中国企業の自動運転の未来を推測してみる
今年もこのレポートの季節がやってきました。カリフォルニア州のDMV(Department of Motor Vehicle)が2月9日、2021年の自動運転会社28社の自動運転のロードテストデータ(各社の自動運転車が過去1年間にどのように走行したか、月間の走行距離など様々なデータ)を公開しました。
自動運転に関する技術開発ではカリフォルニアの企業が世界をリードしているのは周知の事実かと思います。Google Waymo、Apple、Auroraなどの自動運転を開発している企業が存在していますよね。
そして”カリフォルニア”で開発を頑張っているのはアメリカ企業だけではなく、Baidu Apollo、滴滴、小马智行、AutoX、文远知行などたくさんの中国企業も技術開発や走行試験を行っています。
もちろん中国は国として自動運転の開発をサポートしているので、中国国内でのテストや実用化への取り組みのニュースも増えてきています。でも中国国内だけではなくアメリカでも積極的に取り組んでいます。
↑ちょっと前ですが、Baiduの無人タクシー運用については日本でも話題になったかと思います。無人化の取り組みについては度々noteで紹介してきましたので良かったらぜひ。
話を戻しますが、中国企業の多くも西海岸で技術開発や走行試験を行っているのは、カリフォルニア州の政策として自動運転産業への支援が非常に充実していることがあげられます。 そのかわり、開発企業は走行や事故のデータ(各車両ごとに)を報告し、情報を公開することが重要な要件の一つとなっています。
この情報を、「车东西」という中国のカーメディアが分析していました。全28社のデータを時間と手間をかけて集計し、車両数、テストした総走行距離、車両ごとの走行距離、離脱回数、MPD(離脱回数あたりの平均走行距離)という5つのデータでまとめ、トータル走行距離で順位付けしたものがこちら。
上位はアメリカ(欧米)企業が多く入っています。日本企業でいくと丰田(TOYOTA)の13位が最高位でしょうか。
開発を進めるにはいろんな要素があるでしょうが、やはり走行距離が長いとデータがたくさんとれて強いのは明らかですよね。この点でGoogle Waymoは2,325,800マイル(約374万km)のテスト走行距離で2位以下にかなりの差をつけて断トツの一位となっています(2位のGMのクルーズの876,000マイル(約141万km))。
Waymoのトータル距離が長いのは保有台数の多さも重要なポイントで、2021年には自動運転テスト用の車両を合計693台保有していました。これが他社を圧倒していますね。
このランキングの中で中国企業についてはどうでしょうか。中国企業のものを抜き出してきたランキングがこちら↓
全体でも3位になっていた小马智行が中国企業ではTOP。ちなみに小马智行はポニー・エーアイとも呼ばれるベンチャー企業。日本のみなさんにはあまり馴染みがないかもしれませんが、中国国内だけではなく世界中の投資家やVCから資金を調達するほど注目されている企業です。詳細は別途紹介しようと思います。
すごいなと思った点は精度の高さ。ポニースマートがテスト走行した30万マイル(約480万キロメートル)以上のうち、安全担当者とともにテストした距離は約30万5600マイル(約49万1800キロメートル)で、残りの9,042マイル(約1400キロメートル)は完全にドライバーレスでテストされ、データでは離脱(disengagement)はわずか1度だけだったことに驚きました。
ここまで来ると実用化まで秒読みなんじゃないかと期待してしまいますし、中国国内でも着実に準備が進んでいるような報道もたくさん目にします。
つい先日の記事によると、北京はすでに合計225枚の自動運転ナンバーを提供しているようです。うち乗用車用は120枚で、無人配送車が86枚、高速道路テスト用86枚、無人化道路用15枚。ラッシュアワーのテストや高速道路のテストも順調に行われているそうです。
ほかにも上海での取り組みが日本のメディアでも紹介されてましたね。
ただ現実的にはまだまだハードルはあるよね、と詳しいネット民たちに分析されています。個人の体感としては、北京で生活していると乗用車はそんなに見かけませんが、無人配達車はわりとちょこちょこ見かける感じです。まだ安全面では後ろに安全員がついたりと”まるで犬の散歩のよう”だし、たまに野次馬が近づいてセンサーが過剰に反応して運行しにくい場面を目撃しました。
また、北京の(中国の)道の環境もかなり影響するのではないかと思ってしまいます。乗用車の場合、プログラム制御では歩行者優先になるはずですが、実際の北京の道路状況から想像するに、ずっと歩行者優先だと絶対通れない所がけっこうあるのではないかと思います。めちゃめちゃ混んでいて人通りが多い道など。その場の車と人のマナーについてはノーコメント。
たくさんのテストなのかルールを変えるのか。こういった問題がいつどうやって解決されていくのかは興味がありますし期待してしまいます。
あと、先日はHUAWEIが提出していた「車両のクランプシステムと自動運転車両」に関する特許がおりたことが報道されました。ご存知中国のITジャイアントの事業参入が今後どういう展開になるかも注目しています。
日本の名だたる自動車メーカーも負けじと研究開発しているでしょう、実用化やテストの状況はどうなんでしょうか?全く日本に帰ってないですが、自動運転車のテスト車両はどのくらいの頻度で目撃しますか?ぜひコメントやTwitterで教えてください。自動運転についてもまた何か新しいニュースがあったら共有したいと思います。
(参考資料)
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