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トランプ落選、そこから新たに始まる本当の地獄とは

突然オーラを失い元のTVのショーマンに見えてきたトランプ大統領


バイデン優勢の報道が続く、おそらくこのまま行けば、途中法廷闘争などの小競り合いはあるでしょうがバイデン候補が勝利すると思われます。

良く役職が人をつくると言われます。また勢いがオーラを纏うとも。

一夜開けて、久しぶりに記者会見を行ったトランプ大統領は元気が無く珍しく目を落としての原稿を読みがちな上、自説(根拠のない)を繰り返すのみ。

業を煮やした放送各社が大統領記者会見放送を打ち切る事態に。


それに対して、バイデンは、流れを掴んだ自信からか言葉にも力がありアメリカの民主主義を守り抜こうとする気概と力が感じられました。

もはや国民にとっての候補者を選ぶ選択肢の政策論争ではなく事前にルールに則った民主主義の根幹である国民の投票を、証拠無く不正があったとか、票を数えるなとか主張するのは流石に子供じみています。

トランプに投票した人も、一部のカルト的支持者を除いて、うんざりし始めているのではないでしょうか。
トランプ発言と比べてバイデン発言には47年政治家を勤めてきた風格の違いようなものが伺えます。

私達は一瞬の映像から悟るところがあります。
劣勢に立った瞬間にトランプは現職大統領が纏うオーラを失いました。

>EXIT

TVマンで天才マーケターであったトランプはそれを1番理解してたのではないでしょうか。だから、優勢のままの勝利にこだわった気もします。

本人も憔悴仕切って少し混乱している様子。

「もし万一負けたら、国を捨てるだけだ」と子供じみたツイートしている政治家に
アメリカ人はこれからの4年間大統領を託そうとしていたのでしょうか?

(訂正: 11/13 Twitterにこの様なツイートが流れてはいたのですが、これ自体が次のバイデンの返信含めてジョークサイトの可能性は高いです。トランプ自体のツイートが読めなくなっているので、こういうツイートもあり得ると判断しましたが、Twitter社のガイドラインではもしこの様なツイートがあっても制限しないと考え、またニュースにもなっていないのでおそらくフェイクニュースかと思います。トランプ関連の事について一個人のファクトチェックには限界ありますので、皆さんも様々な情報の一つとしたご自身で判断ください。)

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Bidenの名前を使ったダジャレの返信が奮っています。(これはただのジョーク画像)

 Bi den (Bye Then) あそ、じゃね

グレタさんにも、「怒りを押さえて古い映画でも観たらどう。もう落ち着いて、ドナルド」と切り返されてたしなめられる始末。

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まだ選挙は終わっていませんが今後法廷闘争であがけばあがくほど、往生際の悪い狂った負け犬の印象は強まって行くと思われます。

(2000年の敗者ゴアも、優秀な副大統領だったんだろうけど、細かいしセコいね、という印象が相当長く残った)

実は戦略的で用意周到だったトランプの再選戦略

但し、バイデン候補の優勢(おそらく当選)を手放しで喜べません。

改めて振り返ると、一見法律すれすれで見苦しくもみえるトランプ大統領の選挙戦略は実は周到に練られ、成功しかけていたことがわかります。

コロナ禍において郵便投票の導入がきまった段階で、
①郵便投票に民主党支持者が多い事、開票に数日掛かりそうなこと、を認識した上で
②半年前から、郵便投票は不正だと言い続け、共和党支持者には当日に投票に行くように呼びかけていました。

要するに、開票タイミングを意図的にズラし一気に優勢に見せて勝利宣言の勢いで就任する戦略です。

更に9月リベラルのギンズバーグ判事が亡くなった時に強引に共和党系でかつ若い(終身職として長く留まる)最高裁判事を任命、保守派とリベラル派を6:3とし、いざ法廷闘争となった時に自分の裁判に有利なように人事上の準備をまで整えます。

極めて一貫した選挙戦略です。


トランプ陣営直前の2つの誤算とほころび

但し、最終戦9月に入ってトランプ陣営には2つの誤算がありました。

①ギンズバーグ連邦最高裁判事の死

リベラルの象徴、最高裁ギンズバーグ判事の死と、その後任人事を急いだ強引な任命はリベラル派の危機意識を一気に高めました。
前回の投票では、黒人に続いて女性の大統領が続くということに危機感を覚えた主に白人男性の隠れトランプ支持者がトランプに投票しました。

今回は逆に、ギンズバーグ判事の死と性急な新判事の任命が、元々民主党支持だったラストベルト等のリベラル層の危機感を高め、郵便投票に向かわせたと思われます。

②トランプ自身のコロナ感染と激戦州での感染再拡大

10月に何かあるという意味でOctober Surpriseが予測されていましたが、それはまさかの大統領自身の新型コロナウイルス感染でした。

ホワイトハウスにクラスターを大量発生させても尚大規模集会を繰り返す大統領は「コロナ感染拡大の張本人は、大統領自身」という印象を高齢者に植え付けました。

大規模集会で、自らの支持者を700人(推定)を死に追いやるというのはさすがの支持者も考えを相当変えたと思われます。

そして、最終週、各激戦州の感染者は一気に増え4000-6000人/日の感染者に増加しました。

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本当は敗北していたバイデン候補

この2つのトランプ陣営の誤算にも関わらず、トランプ陣営は今も尚、僅差で健闘しています。(11/6 16:39JST)

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バイデン優勢ですが、もし仮に最終的に激戦州12州でバイデンに投票した人の1%の票がトランプに流れていたらとシミュレーションしてみたところ。

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30万人(全米の人口の0.1%以下)の票が移動します。

その結果ウィスコンシン州やネバダ州は逆転し、その10票と6票はトランプ陣営に移ります。

それだけでトランプ大統領当選の可能性が現れます。

現在トランプ優勢のジョージア州、ノースカロライナ州、ペンシルベニア州おいて仮にこれらの37票はトランプ陣営が取るとすると、257票と254票で逆転勝利になるのです。(郵便票開票の結果、ペンシルベニア州もジョージア州もバイデンが相当追いついてきています 11/6 17:30)

これだけの僅差となると、

先の①②のバイデン候補にとっての追い風がなく、コロナ禍がなく好調な経済が維持されていればであれば、トランプ候補を人間として好むと好まざるとにかかわらず、再選していた可能性がかなりあります

今となって劣勢に立たされ負け犬に見えたトランプが法廷闘争などを言っているから見苦しいですが、これが当初の目論見通りトランプ大統領がロケットスタートで優勢になり、そのタイミングで勝利宣言をしたのであれば、逆にバイデンが見苦しい負け犬に見えた可能性があります。

いずれにしても、事実として半数のアメリカ人が4年の任期を勤めた上での現職大統領を支持していることです。

2014年頃から家計の実質収入は上昇し、少なくともコロナ禍が始まるまで、貧困層も減少傾向、さらには、エネルギーもほぼ自給できていて、経済だけではなく、犯罪率も減少傾向に。人口動態の面でも、健全な人口増加率を維持し、今では3億3000万人の人口を誇っています。

アメリカ人にとって市民間のイデオロギーの分断を引き起こしたことと、イラン制裁、北朝鮮との取引等間違った外交方針を取ったこと(但し、これはイスラエルと他のアラブ国家との歴史的融和というレガシーも残しました)を除き、トランプの4年間は生活者としてのアメリカ市民にとっては良い治世だったとも言えるのです。

分断はトランプだけが作ったのか

今朝CNNではトランプ大統領が、選挙に不正があったという事をダラダラを言い続けている大統領の生中継を放送していました。

その後、各々コメンテーターが

”大統領は、自分が勝つために一貫して同じ事を言っている。発言は想定の範囲内だし、そういう意味では大統領の「透明性」は高い。”

”彼はアメリカという国家を自分と一緒に貶めているし、民主主義までも自分と一緒に貶めている。”

”大統領よりも大切な合衆国憲法がある”

等など、一斉に正論の非難が続きました。

おそらく、リベラル知識人は、これらCNNを聞いて溜飲を下げ、万一CNNを見ていたトランプ支持者はチャンネルを変えたでしょう。そこには、完全に片方(リベラル)の正論のみを主張しこき下ろすエリートコメンテーター達がいました。
誰も、何故トランプ大統領が、あれ程の人格的欠陥を露呈しながらも半数近いアメリカ人に支持者がいるのか、についての冷静な議論はありませんでした。

トランプ大統領はきっかけであり、兆候です。

マスコミの論調は正論だし、フェイクニュースと言われ続けたCNNとしてはトランプ大統領は許せない存在なのだと思います。
ただ、論理武装された批判は、同じ主義主張の人の主張をより強固にするだけで、一方の主張との分断を強化するだけです。(人は大抵理屈で言いくるめられたと感じた時、感情的なしこりを残すだけで、考えを改めません)

(CNNを見てこういう正論が分断を高めるのかと少し悲しい気持ちになりました)

トランプ落選、それでも新しい地獄が始まる可能性

トランプ再選阻止によって、アメリカの民主主義は守られたと一旦リベラルは安堵するでしょう。私も安堵しています。

但し、バイデン政権には既に多くのリスクと課題が待ち受けています。

トランプ前?大統領

敗北を認めることができないトランプ大統領は、数ヶ月の法定闘争に突入し大規模弁護団投入により莫大な負債を抱える可能性があります。


そして退任後は負債返済のために、元々心酔しているロシアのプーチン大統領や、中東やイスラエルの顧問的立場等に就任し、アメリカの国益よりも、トランプビジネスとして有利な取引であれば、どのような情報提供も利益供与も辞さない可能性があります。中国企業のアドバイザーに就任していても驚きません。
自分を再選させなかったアメリカに強い失望を抱いている可能性があります。先のツイートの様に選挙に負けたら、Leave the countryを示唆しているのです。(注:11/13 これについては、先のツイートがフェイクの可能性高いので、トランプ大統領の名誉の為に訂正します。但し、免責特権を得られず、訴追の可能性が高まれば結果として国外亡命も選択肢になりうると思います。)

間抜けな負け犬(Loopy Loser)の元国家元首の扱いに困るのはどの国にとっても同じです。日本では鳩山元総理などが、その軽々な言動を他の国に利用され国益を損ねているのではとよくいわれています。

アメリカ外交にとって、世界の安全保障にとって大きなリスクとなる可能性があります。

追記: 11/14 クーリエにまさにトランプ元大統領による外交機密漏洩リスクについて詳細解説されてます。

不満を抱えている、あるいは不当に扱われたと思っている公職者──現職であれ退いた者であれ──は機密情報を漏らす危険性がある。トランプはそのプロファイルにぴったり当てはまる」と元CIA職員のデビッド・プリースは言う。

専門家らは、大統領退任後のトランプをめぐる最大のリスクは、不注意に情報を垂れ流しかねないことだという見解で一致している。一方、虎視眈々と見返りを求めて、機密情報を取引材料に使う可能性も否定できないという。自分の味方になってくれそうな外国の誰かのご機嫌を取るため、あるいは自分の敵に復讐するためだ。

ホワイトハウスを出たとき、トランプは巨額の負債に直面しているだろう。「借金に追われている人間は例外なくセキュリティーリスクが高いとして目をつけられる」と、ブッシュ政権でCIA長官の首席補佐官を務めたラリー・ファイファーは言う。

「そうした切迫した状況にある人間はもろく、ひどい判断を下す。わが国に対するスパイ行為を犯した者の多くは、金銭的に困窮していた」

トランプ支持者

4年前にヒラリー支持者が泡沫候補トランプに敗北した事実が受け入れられず、4年間のイデオロギー的分断の気持ちを募せらてきた様に、トランプ支持者もコロナ禍さえなければ、当選していたはずと落選が心情的に受け入れられません。

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”選挙委員会の記者会見に飛び込むトランプ支持者”

一部のトランプ支持者はトランプ大統領と同じく自分自身の中で信じたい真実を完全に信じています。(本人も全く嘘を言ってるつもりがないのが一番危ない)

バイデン大統領選出後も、国内に強い不満層として残り続けるでしょう。武装市民ミリシアの存在がホームグロウンテロリストに繋がる可能性もあります。

リベラルの死

元々、トランプ大統領を当選させた原動力の一つが、伝統的なラストベルトの労働者の苦悩をエリート化した左派が代弁できなくなっている問題でした。

アメリカンドリームの嘘に気付いた低所得層は、抽象的な環境や国際協調よりも、工場・雇用・賃金という自分たちの目線で語ってくれるトランプを支持したのです。

前回トランプ大統領の登場を予言したフランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッドは、逆説的に「エリート化したリベラル」の意識を根本から変えるためにも、トランプの再選が必要だと言っています。

”ニューヨーク、ワシントン、ロサンゼルス、サンフランシスコなど大都市のメディアや大学のエリートは、トランプ支持者を「学歴がない」「教養がない」と馬鹿にし、ヒラリー本人も、「嘆かわしい人々(deplorable)」とまで言いました。学歴社会とは、「出自」よりも「能力」を重視する社会です。しかし、本来、平等を促すための能力主義なのに、過度な能力至上主義によって、高学歴エリートが、学歴が低い人々を侮蔑するような事態に至ってしまったのです。高学歴エリートは、「人類」という抽象概念を愛しますが、同じ社会で「自由貿易」で苦しんでいる「低学歴の人々」には共感しないのです。”


これは、日本で若者や低所得層の受け皿に、立憲民主党がなれてない現状と同じです。憲法9条や護憲、アジア平和外交などのイデオロギーだけで生活感のないリベラルは、世界中で死んでいます。

リベラルが、本来の生活困窮者や失業者に寄り添わず、今のままの高学歴エリートによる民主党政治を続けると結果的に、国内の分断を強化する第2、第3のトランプの存在を生み続けることになるでしょう。

バイデン大統領誕生とトランプ大統領退任で、全ては解決しません。

バイデンが言葉だけの融和と協調の訴えに留まる限り、すなわち実際に経済のコロナ禍における立て直しに成功し格差や雇用の問題を解決しない限り、そうした人たちの不満は収まりません。

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ホームレス ”1ドルめぐんでくれないとトランプに投票するよ”

ドナルド・トランプが大統領になったことは原因ではなく結果であり、トランプは4年間でアメリカ人の本音のパンドラの箱を開けてしまったのであり修復は簡単ではありません。

コロナ対策軽視で20万人も死者を出し、嘘を重ね、人種差別を煽り、前政権の施策というだけで国際秩序を壊し続け、山火事のなかでも環境問題に背を向け続けた大統領を半数のアメリカ人が支持し、あと4年間自分の大統領になって欲しいと7100万人が投票したのです。

アメリカにおける新たな国内分断と不安定化、国際秩序の混乱の新たな始まりになる可能性があるということを肝に銘じておく必要があると思います。

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その後の展開(12/16)

トランプの訴訟を裁判所が証拠不十分と次々と退けバイデン氏が次期大統領に確定しました。

とはいえ、予想通りトランプ支持者との分断は解決したわけではなく、まだまだ国内に正当性を認めない層を抱えてのスタートです。

大統領の風説に乗じ、トランプ支持者を中心に民主主義の根幹をなす選挙や政治機構への不信が急速に広がっている。共和党支持者の7割以上が「選挙に不正があった」と答える。バイデン氏が大統領に選ばれても米国のかなりの層が正当なリーダーと認めない可能性がある。

また、一方で、反トランプで一旦団結していた民主党内での左派との対立も再燃します。

打倒トランプのためこれまで選挙戦ではバイデン氏に全面協力をしてきた民主党左派や若手などからは当然不満の声が上がっている。

とりあえず、オバマ政権に戻しただけでは、トランプ指示者を勢いづけるか、新たなトランプのような存在を誕生させ、同時のサンダーズ、ウォーレン等の左派急進派が再び勢いを増すことを繰り返すだけです。

但し、希望はバイデンが日々、覚悟を決めた大統領らしい顔つきになっていることです。彼は、アメリカの分断を癒やすだけでなく、世界の民主主義を守る覚悟を決めたように見えます。

期待したいと思います。

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前記 11/3 17:00時点 

追記 11/8 11:00am時点

バイデン勝利後もトランプが法廷闘争を続けるのは新たな戦略的な動きというnoteを追加で投稿してます。

追記2: 当初のタイトル、地獄の釜が開く、地獄の釜の蓋が開く、どちらも日本語の趣旨としては誤用でした。地獄の釜の蓋が開くのはのはお盆の時期。むしろ餓鬼にとっての夏休みという意味です。トランプ落選で、一緒の癒しHeal という意味では正しいですが、本当に辛いのはこれからだという本文の趣旨とは違うので訂正します。

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