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フェイスブックが始める独自『仮想通貨』とプライバシーへの懸念

月間アクティブ利用者数23.2億人の巨大ITプラットフォーム、フェイスブックが独自の仮想通貨を持ち、自由に送金、受け取りが出来るようになったら...

フェイスブック、テレグラム、シグナルなどのインターネット企業は、来年中に国際的な国境を越えて移動可能なVenmoやPayPalのように、ユーザーがメッセージングシステムの連絡先に送金できるようにするための新しい仮想通貨を発表する予定だ。最も期待されているの秘密主義のプロジェクトがFacebookで進行中だ。 Facebookが所有するメッセンジャーアプリ、WhatsAppのユーザーが即座に友人や家族に送ることができるというコインに取り組んでいると、関係者5人が秘密保持契約のために匿名の条件で取り組みについて明かした。
The internet outfits, including Facebook, Telegram and Signal, are planning to roll out new cryptocurrencies over the next year that are meant to allow users to send money to contacts on their messaging systems, like a Venmo or PayPal that can move across international borders.
The most anticipated but secretive project is underway at Facebook. The company is working on a coin that users of WhatsApp, which Facebook owns, could send to friends and family instantly, said five people briefed on the effort who spoke on the condition of anonymity because of confidentiality agreements.

昨日のニューヨーク・タイムズの記事によると関係者数名からの情報として、フェイスブックのみならず、テレグラムやシグナルなどのメッセンジャーアプリを提供している会社が来年にも新しい「仮想通貨」の発行を計画している、と報じています。

記事によるとフェイスブックではエンジニア50人がブロックチェーンプロジェクトに取り組んでいて、現在も20名近くの求人をしている様子です。またこのブロックチェーンに関するプロジェクトは専用の鍵がないと入れない部屋で極秘に進められている様子であることも2名の社員からの情報ということで報じられています。

昨年くらいからは国内においてもいかに中国などキャッシュレス先進国でのアリペイやウィーチャットペイがすごいか、という話が広がり、国内でもペイペイ、LINEペイなどキャッシュレス推進を巡る動きが広がっています。JPMコイン、みずほコインなど、デジタル通貨と仮想通貨の厳密な違いなどはきちんと把握しなければ、と思いながらもこうした機運は広がっていきそうです。

世界最大規模のSNSを3つ(フェイスブック、インスタグラム、ホワッツアップ)も保有するフェイスブックという企業が、50人以上の優秀なエンジニアを抱えながらブロックチェーン、仮想通貨事業に対してどのような考えを持っていて、どのような取り組みをしているかはアンテナを張っておくべきことなのでは、と思います。

一方で、この記事に対してはツイッター上でも様々なコメントが寄せられています。ジャーナリストのダン・ギルモア氏は以下のように警鐘を鳴らしています。

「巨大テック企業は貨幣をコントロールすることを認められるべきではない(彼らはそれを目指しているだろうが)。もし広い社会がこのプロセスから除外された場合には、セキュリティ、プライバシー、基本的な自由など、巨大な危機がこの先待っている。」

もう一人、気になったのはフェイスブックの元チーフ・セキュリティ・オフィサーのアレックス・スタモス氏のこちらのツイート。2015年から2018年までの期間、セキュリティ部門の責任者を努めた人物からも同じくプライバシーに対する懸念が表明されています。

「この記事はフェイスブックが2億人が利用する暗号化されたメッセンジャーサービスからどのように収益を上げようとするかを説明している。プライバシーと安全性のバランスを取る試みとしてこれ以上に重要性を帯びているテック系のプロジェクトを私は考えられない。このプロジェクトに取り組んでいる友人たちが公開の場でのディスカッションを始めることを期待している。

以下は2月20日に公開されたマークザッカーバーグとハーバード大学ロー・スクールのジョナサン・ジットレイン教授との対話動画です。ザッカーバーグ氏が今年の目標として掲げているのは公開の場でのディスカッションを定期的に開催するとのこと。今回は非中央集権型システムに対する興味を示していますが、今後も継続的なこうしたオープンなディスカッションが期待されるところです。

こうした仮想通貨、ブロックチェーンを巡る動きの中で、プライバシーに関する議論は「利便性」とのバランスを保ちながら常に頭の片隅に留めておきたい、と改めて感じる記事でした。今回の記事にはフェイスブックとしての公式のコメントはありませんが、今後の動向には引続き注目していきたいと思います。

Photo by Tim Bennett on Unsplash

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