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デンマークから学ぶ、大きな変化をつくるためのボトムアップとトップダウンの両立について

デンマークは「対話が重視され、ボトムアップの考え方が浸透している」とよく耳にします。

一度は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

社会の仕組みづくりも市民参加型でつくっていくスタイルが有名で、投票率の圧倒的な高さは、そのスタイルを象徴する結果だと話題に上がります。

一方で、デンマークのことを調べている中で不思議に感じたことがあります。

デンマークはトップダウンも強くないか?

大きな方針はトップダウンでバサッと決めているのです。

面白かったのが、政府の電子化(デジタル化)推進に関しての記事です。

引用します。

国連の「世界電子政府ランキング」第1位のデンマークでは、公的機関からの通知は原則としてすべて各人の電子私書箱Digital Postに送られてきます。身体的・精神的障がいを抱える、パソコンやスマートフォンにアクセスできないなどの理由から郵送で受け取りたい場合には、その旨を申請する必要があります。2012年にこの方針が決定された当初は、弱者切り捨てといった批判が相次ぎましたが、いまや電子私書箱の利用率は人口の92%に達し、しかもデンマーク政府の調査(21年)によると83%の人が「電子私書箱に満足」と答えています。これは一つには、政府や高齢者団体が無料講習会や相談窓口の設置を大々的に実施し、情報弱者のサポートに成功したためです。

日本経済新聞 マイナンバーは弱者切り捨て?手助けで高齢者も使える

デンマークは電子政府化、キャッシュレス普及、シェアサイクル普及など、社会のインフラを大きく変えて、世界の中で先進的な都市として評価をされています。

これらの先進的な仕組みづくりは、ボトムアップ型アプローチだけでは説明できないと考えるようになりました。

先程のデンマーク電子政府の推進でも「大方針を決める際はトップダウンで意思決定がされ、後からボトムアップ型で最適化」がされています。

トップダウンorボトムアップ
ではなく
トップダウンandボトムアップ
で両立しながら変化がつくられているのです。

大きな変化はトップダウンとボトムアップのコンビネーションから

デンマークの社会づくり(変革)の考え方は、何かと似ているな…と考えていたのですが、V字回復の経営でした!ミスミグループの企業変革ストーリーが小説になっている、企業改革の名著です。

V字回復の経営の中でも、変革リーダーの役割はトップダウンでもありボトムアップでもあると書かれています。

あるべき姿とは、リーダーが現場のタテヨコの矛盾(これは不可避)を「自分で」把握し、吸い上げ、手をうち、明確な指針を示す。現場が妥協した案を固めてしまう前にこそ、積極的に入り込んで本来とるべき戦略や基本思想をインプットする。この行動こそが経営におけるリーダーシップである。

V字回復の経営より引用

戦略的意思決定ができるツールを手に入れること

トップダウンとボトムアップを統合するためには、ツールを活用することが重要になるとV字回復の経営の中で書かれています。
※ここで武器や道具と表現されているのがフレームワークです。

頑張れの号令だけでは戦略は実体化しない。武器や道具をつくり、組織の各レベルをつなげていかなければならない。

V字回復の経営より引用

デンマークの国営デザイン組織である、DDC(デンマークデザインセンター)では、組織力学をコントロールするツールキットが生み出され、配布されていると記事に書かれています。

このツールキットを活用しワークショップに取り組むと、プロジェクトにクリエイティブ・メソッドを持ち込む手助けになります。その結果、プロジェクト内での力関係に変化が生まれ、「戦略的意思決定」と「ボトムアップでの創発」のバランスを取ることができるようになるのです。

デンマークが産んだ「クリエイティブを高めるツールキット」の使い方とは?

トップダウンとボトムアップを両立するための仕組みづくりがされていることが興味深いです。

まとめ

デンマークの社会づくりの仕組みを、V字回復の経営と組み合わせながら「変化をつくるためのポイント」について書いてきました。

大きな変化を創るためには、
1. トップダウンとボトムアップは統合して考える
2. 関係者の力学をコントロールするための武器を用意する
この2つは、社会づくりでもビジネスの世界でも意識しておきたいことです。


「変化のきっかけはトップダウン、持続的な変化はボトムアップ」

この仕組みを実装していき、良い変化が生まれる組織の仕組みや風土をつくっていきたいと思います。


以上です。

最後まで読んでくださりありがとうございました!