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若者の早期離職ってそんなに悪いこと?

大学の新卒入社の3年以内離職率は高まり、直近のデータでは約35%となっている。学生側が優位の売り手市場とあって、企業側のみならず、学生の側にも原因があると専門家は考えている。

日経電子版 2025年2月18日

学生優位の「売り手市場」が鮮明になるなか、大学の指導の軸足は内定対策から就職のミスマッチ防止にシフトしている。

日経電子版 2025年2月18日

日本をオサラバして、アメリカで20年以上働いた僕は、もう日本の常識が分からなくなっているのか? 若者が社会に出て、最初に入った会社で、初めて働くことを経験した。働いてみた結果、別の生き方を試してみたいと思う。そう思って最初に入った会社を3年以内に辞める若者が35%いる。働き方が多様化した今、早期に別の道も試してみたいと思う若者がいる。僕には、めちゃ自然なことに感じる。離職率が上がることが、そんなに問題なのだろうか? そう感じるのは僕がアメリカで20年もいて、日本人離れした価値観になってしまっているからなのだろうか? 僕には、まるで「離職=人生の失敗」のように扱っている記事の方に大いなる違和感を感じてしまう。まだ、一度も正社員として働くことを経験したことのない新卒者に、「必ず正解を選べ、間違ったら終わりだ!」と告げているように。。。

もちろん学生たちは、自分の人生に大いに影響を及ぼすことになる自分が入る会社を、いい加減には選ばないだろう。そして、採用する会社側は、これまでたくさんの新入社員を見てきた採用のプロが、会社が求めている本当に欲しい人材を真剣に選ぶ。ピッタリ合えばそれに越したことはない。だが、就職活動中の限られた期間に分かることなんて、実際に働いてみて分かること百分の一、千分の一、万分の一に過ぎないのは当然だ。実際に何年も仕事を経験し、仕事を知り尽くしたツワモノのベテランでさえ、転職して失敗することがある。僕は、日本の社会、会社組織、報道の仕方の方にとても違和感を持ってしまう。まるで若者に、失敗は許されないものというマインドセットを植え付けいるようだ。世界が激動の変化の時代に入り、柔軟性・流動性を最も重要としているのに、日本はそれらを自ら著しく損ねてしまっている。これが日本の企業が勢いに乗れない原因のひとつではないかと。

企業側もなぜそんなに若手の離職を恐れるのだろうか? もちろん人手不足だから辞められて社員数が減るのは困る。だが、それ以上に、せっかく新卒者を高い採用・教育コストで入社させ、育て上げたのに、すぐ辞められたら、採算が合わない。というのがあるのだろう。これも日本独特だ感じる。どうしてそんなに採用・教育コストをかけて育てるのか? 良い言い方をすれば、日本の会社は、若手に手取り足取り懇切丁寧に一から仕事を教える。大切に若手をいっぱしの社員に育てる。人を大切にしている(ようだ)。だが、悪く本音で言えば、せっかく入ってきた新しい風を、会社の文化・やり方に染める。会社のやり方を叩き込む。場を乱す勝手なやり方は許さない。使いやすい駒に育てる。コストをかけて、せっかく使いやすい駒になったところで辞められると大損だ。だから、会社としては若者の離職は問題となる。トップの指示に従い、全員が一丸となって一糸乱れぬ仕事をすれば結果が出る時代は、それでよかった。でも、そんな時代は終わった。いい加減、気づいてほしいと思ってしまう。手取り足取り教えるのは、本当の意味で若者を育てるのではなく、飼いならして使いやすい駒にするため。問題を起こさない使いやすい社員にして、自分たちが楽したいからだと認めなければならない。新しい人材が、新しいやり方を持ち込んだら、面倒くさい! 波風を立て、騒ぎ立てられれば、当然うっとうしい! 余分な仕事も作られるかもしれない。フラストレーションがたまる。でも、それで組織に新たな空気が注ぎ込まれる。日本の組織が無くした柔軟性・流動性が持ち込まれる。

日本の若者には自発的に波風を立てるそんな気概はないという人がいるかもしれない。でも、僕は日本の社会、組織、報道がそう仕向けているだけだと思う。今の若者は昔に比べて我慢が足らない。いったん決めたことはもっととことんやり通せ。諦めるな。は、皆が一方向を向いて突進すれば結果が出た古き良き時代の価値観からくる老害発言かもしれない。柔軟性・流動性を失った日本の変わらない社会、組織より、ずっと適応力の高い若者だから、世界の潮流に乗って、離職率が上がっているのかもしれない。

そろそろ新卒一括採用の成功確率だけを上げることだけに注目するのは、やめてもいいのではないか? 就職氷河期世代を作ってしまった反省がなされないまま、変化できずにずるずる来てしまったように感じてしまう。そうではなく、柔軟性・流動性の方に方向転換すべきではないのだろうか? 









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