見出し画像

Google事例で在宅ワーク1年を振り返る

私達の会社もコロナ禍で在宅ワークを始めてそろそろ1年が経つ。
長野県に主たるオフィスと醸造所を構えており、拠点は営業所を含めて5カ所。1年前の時点で長野県内ではコロナの影響はまだ実感していなかったが、本当にコロナが脅威となってから在宅ワークを始めてもパニックになると思い、長野県の会社でしかも製造業としては異例の早さで在宅ワークに踏み切った。もちろん、製造や出荷部門などは現場仕事があるので在宅ワークは基本的にできない。在宅の対象は営業や管理部門のスタッフで全体の2/3くらいだろうか。

正直最初は「実験的」なスタートで、在宅ワークに問題があればすぐに出社すれば良いくらいに考えていた。それがご存知のスピードでコロナが広がり、気が付けばもう1年間在宅ワークが続いている。社長の私も例外ではない。

この1年を振り返ろうと思っていた矢先、タイムリーな以下の記事を見つけた。

うちの会社はGoogle Workspaceの機能をフル活用し、Google Document、Google Slideはもちろん、TV会議はGoogle Meet、チャットはGoogle Chatと、お世話になっているので、本家のGoogleはコロナ禍でどう対応しているのか、記事を引用しながら所感を書いてみた。

在宅勤務への移行

――グーグルはビデオ会議システムを多用するなど在宅勤務への備えができているように見えましたが、実際はどうでしたか。
「確かに以前から世界各地の社員が一緒に働くことが一般的になっており、ある程度の準備ができているつもりだった。それでも突然の大きな変化であることに変わりなく、当初は容易ではなかった。時間をかけて新しい環境に適応してきた」

これは意外。Googleほどの会社であればすぐに環境対応できていると思ったらそうではなかった。IT化が進んでいてもオフィスで働くことを常態としていればやはり適応するには時間がかかるということだ。うちも当初は色々とシステム面も含めて混乱したので少し安心。

――想定外のこともありましたか。
「我が家には4人の子供がおり、当初は社員宛てのニューズレターにも『時間がなくて困っているのでは』と書いた。ところが『これまでよりも時間が多くある』『一日中働いている』といった反応が少なからずあった。まったく異なる2つのグループがあるとほどなくして分かった」
「移動がなくなり勤務時間が長くなった独身の人たちなどをマラソン走者型、子供の世話などが加わりより時間の制約が厳しくなった人たちを短距離走者型と呼んでいる。まず直面する課題が大きく異なると理解すべきだ。そのうえでそれぞれに適した選択肢を提供することが有効で、実際にミーティングの時間を複数用意するといった取り組みが奏功している」

これはまさに我が家でも実感。私も当初子供達の学校が休校になり、放課後に子供を預かってもらっていた児童館も利用できなくなり、途端に日々の子供の世話が大きな負担となった。

一方で、独身スタッフからは、
「通勤時間がなくなりストレスも減ったことで、仕事の生産性も上がった」という声も聞かれ、家庭環境によって状況が大きく異なることを理解した。他にも、ずっと1人で部屋にこもって仕事をしていると気分が滅入ってしまいかえって仕事に集中できない、帰宅というきっかけがないため制限なく仕事をしてしまうなど個別の事情も数多くあり、会社や個人で対応すべき課題は実に多いと感じた。

在宅勤務長期化による疲れ

――在宅勤務が長期化することによる疲れが問題になっています。
「電子メールも増えているようだ。私の催しているメール管理講座も人気が高まった。まず伝えたいのはすべてを開かなくてもいいこと。未読1万通といった表示を見るだけで体力を消耗するので、自動振り分け機能を使い受信トレーのメールを減らすべきだ。(ダイレクトメールなど)『購読中止』と記してあるメールを別のトレーに振り分けるのがいい」

これもその通りだと実感。特に私は経営者ということもあり、社内外からメールやチャットで日々多くの情報や相談や報告が送られてくる。その量はコロナ前に比べて格段と増え、情報を確認するのが遅れたり、確認漏れが発生しやすくなった。そのため、不要なメルマガを振り分けたり配信中止にしたり、「メールがたまっている感」を減らす為にあえて読まないメールを決めて未読で振り分けるなど、ストレスを軽減する一つの重要な手法として心がけている。

オフィスの必要性

――ワクチンの接種が進むと、オフィス再開の議論も始まりそうです。
「グーグルでは継続的に社員を対象にした調査を実施してフィードバックを得て、データに基づいて判断している。在宅勤務でもうまくいっていることや課題を聞き、オフィスの必要性についても尋ねた。その結果、出社と週に1~2日は在宅で集中して作業するのを組み合わせるハイブリッド型になるとみている」
「当社は協業やイノベーションを通じて競争力を維持してきた歴史がある。そのためには人が集まることが重要であり、自然発生的な会話が大きな役割を果たす。一部はバーチャルでも再現できたが、実際に顔を合わせるのと比べると豊かな体験になっていないというのが正直なところだ。経営陣も社員もこうした認識を共有している」

なるほど。GoogleほどのIT企業でも出社と在宅ワークのハイブリッド型を意識しているとは。イノベーションの源泉が、人がリアルで集まることという考え方は本当に共感する。私達のメインオフィスも昨年9月に引っ越した。人が増えてこれまでのオフィスに入りきれなくなったので収容人数が以前の3倍ほどの物件に切り替えた。オフィスを縮小したり撤去したりする動きが多い日本でも異例の対応。コロナ禍の前から引っ越しの準備を進めていたとはいえ、本当にこの環境下で大きなオフィスに引っ越す必要があるのか?と疑問の声もあがったが、当初の予定通り引っ越した。

ヤッホーブルーイング御代田醸造所

理由はGoogleと同じ部分も大きい。人とリアルで会ってこそ起こる化学変化は私たちの会社には必須である。

――オフィスの閉鎖や縮小に動く企業も少なくありません。グーグルはどう対応しますか。
「オフィスが不要になるとは考えていないが、役割は変わるとみている。自宅で集中して作業するようになると、オフィスでは個室や1人用の机はこれまでほど要らなくなる。一方、オープンスペースや簡単な打ち合わせに使う場所が必要になるため、インフラや家具、会議室を見直す検討を進めているところだ」

これも全く同意見!オフィスの役割は間違いなく変わる。更に言うとうちの場合は、オフィス機能としてチームビルディングの要素がとても重要だと感じている。人間は感情の生き物。リアルでそれを体感する役割は大きい。そういう意味で、広々としたワンフロアのオフィスへ移転は大きな役割を果たすことになると考えている。


上記の様に、うちの方向性とGoogleの考え方に共通する部分が多いことが分かり、今後の意思決定の参考になった。会社やそのときの環境によって考え方は大きく変わると思うので正解はないが、こうした変化が求められる環境においては自社ならではの適切な回答を早めに用意しておく必要はあると改めて実感した。

ということで、Googleさん、 色々とありがとう!!笑