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ドイツ政府の委員会が2038年を期限に脱石炭を図るという答申を出したことが話題になってますね。そもそも、ドイツは再エネのイメージが強くて、発電電力量のうち、石炭・褐炭が4割を占めていることをご存じない方も多いかもしれませんね。実はガーディアンの記事がドイツを「 the last major bastion of coal-burning in north-western Europe(北西ヨーロッパにおける石炭燃焼の最後のとりで)」と表現している通りです。ただ、再エネも順調に増加していまして、こちらも電源の4割を占めるにまでなってきています。

再エネの導入量は増えたものの、CO2の削減は思うように進まず、2020年に向けたCO2削減目標も断念しました(そのことで昨年末のOP24では、国際環境NGOから「化石賞」を贈られ、非難されています)
石炭廃止に向けた行程を作る委員会を組織し、その委員会が今回の答申を出したわけですが、問題が山積していることは変わりません。ロイターの記事にもある通り、電力コスト上昇を抑えるために独政府が頭を悩ませていることが伝わります。

先ほどのガーディアンの記事では、早期に発電所を廃止させる事に対する補償について、委員会は400億€を織り込んでいるとのこと。事業者が求めたのは600億€だそうですので、これで済むのかどうかわかりませんが、400億€でも国民が許容するかどうかは難しい問題でしょう。また、RWEという最も多くの石炭火力を抱える会社は、2038年の脱石炭は早すぎるとして、2032年時点でのレビューが期限を延長するチャンスと、記事は書いています。
現実が優先するのはどこも同じ。
他国のことですし、欧州の真ん中に位置するドイツですから日本とは全く状況が異なることに加えて、ちょっと距離感をもって見たほうが良いかもしれません。


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