自動車をオンラインで売る理由 ~ イーロン・マスクは現代の三井高利
自動車は高額です。これまでは対面営業で相談をしながら買うのが一般的でした。
書籍や洋服のように日常的にオンラインで買うようになってきた商材とは一線を画していて、これからも対面営業が必要な領域だと思ってしまいますが、本当にそうでしょうか。
例えば、仕事において何かを購入するBtoB領域でも、これまでは対面営業が当然視されてきました。
しかし、2015年の米国のフォレスターリサーチは、購入担当者の75%は営業担当者から買うよりもオンラインで買う方が便利だと考えている調査結果を発表しました。同様に、2012年のシリウスディシジョンの調査データでは、購買検討における情報収集や比較検討の大半は営業担当者に接触する前に終わっているという調査結果を発表しています。
これらの調査結果は、対面営業の役割や範囲が大幅に縮小し、オンラインの役割が増加していることを意味しています。
それでは自動車購入では、どうでしょうか。BtoBと同様、対面営業の重要性が下がっているという仮説で考察してみます。
車の購入時に必要なことを突き詰めると、以下の3つになります。
1. 自分の趣向・状況から、どんな車に乗るべきかの検討
2. 試乗して、本当に欲しい車か確かめる
3. 適正な価格で買う
極力人手を掛けず、オンライン化を目指す方向で検討してみます。
自分で選べない人には相談が必要ですが、対面でなくても良いはずなのでオンライン相談に移行させます。そして、極力セルフで判断できるように、情報をわかりやすくオンラインで公開していきます。
次に試乗ですが、試乗時に営業をしなくても良いので、利便性と効率を最大化した試乗の場を整えます。そして、購入後にキャンセルしやすい仕組みを整えることで、試乗の重要性を減少させることにも取り組みます。
価格に関しては、現在は値引き交渉が横行し、一物二価が日常化しています。顧客にとっては、安く買えたかどうか不安が残るので、心理的な負担を強いています。営業には常に交渉に応じるための負荷が掛かっています。掛け値なしのベストプライス、値引きのない一物一価を貫く方が、お互いにとって利が大きく合理的です。これは、江戸時代を代表する商人、三越の創業者、三井高利氏の思想です。
このように考えてみると、テスラCEOのイーロン・マスク氏の以下の発表にも頷けます。
消費者の行動様式が変わり、またオンラインで提供できることも増えているので、テスラのように企業は前例主義を打ち破り、より合理的で新しい道筋を見出す努力を行うべきだと考えます。
対面営業を提供し続ける場合は、競合は目に見えないオンラインの情報やサービスになっていきます。より存在意義を明確にし、顧客本位のサービスを提供していく必要があります。
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