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ファシリテーションが持つ「パワー」について

「ミーティングの生産性や、チームの関係性をよりよくするにはどうすればいいのでしょうか?」

ぼくはこのような問いに対して、ファシリテーションの技術を学び、用いることを推奨しています。目的と目標を合意したうえで問いをなげかけながら、人々の考えと活動を促進していきます。そうすることで、よりよい関係性の中でミーティングをすることができると考えています。

しかし、そこにある「危うさ」についても、同時に考えておかなくてはなりません。

ファシリテーションには、人の心に火をつけるパワーがあります。

たとえば、「あなたにとって理想の社会はどのような社会ですか?」と問いを立てたのち、「そのような社会の実現を阻害するものは何ですか?」と問うたとします。

このとき、場のムードが重要になります。もし、この問いが投げかけられる場がくすぶった怒りに似た感情が渦巻くムードだったとしたらどうでしょう。「理想の社会を実現したいのにしないんだよな・・・」「そのせいで生きづらくてしかたないんだ」というような感情です。

このようなモヤモヤした気持ちや葛藤は、ともすれば攻撃的な感情の温床になります。そこに「理想の社会の実現を阻害するものは?」という問いを投げかけると、阻害するものを敵とみなし、攻撃の言葉を生み出してしまうかもしれません。「ああいう行動がいけないんだ」「ああいう人間がいるからいけないんだ」というふうに。

ファシリテーターは、場のムードに合わせて問いを投げかけ、人々の言動を変えてしまうパワーをもっています。くすぶった感情が渦巻く場をつくり、その感情を攻撃的言動に変える問いをなげかけてしまうこともできます。

そのパワーをどのように用いるか?このようなファシリテーターには”倫理観”が常に問われています。

どのような場を望ましいと思っているのか。その望ましいと思っている場を実現するために、自分が持っているパワーを望ましい在り方で用いることができているだろうか。

もし、ファシリテーションを学びたいと思っているのであれば、「どのような場を望ましいと持っているのか?」と、自身の倫理観を問いかけることも必要かもしれません。

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