増える退職代行サービス利用 背景に潜む職場の問題と解決策とは
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
自民党総裁選でもアジェンダのひとつとして議論されていた、人材流動性。日本の転職希望者数は年々増加しており、過去10年で約25%増となっています。正社員の転職経験率も3.7%(16年)から7.5%(23年)に倍増しています(マイナビ転職動向調査2024年版)。一方で希望者数は増加しているものの、実際に転職をした人は低くとどまっており、ここ10年で「転職潜在層」のマグマが溜まってきているという状況です。
辞めたいけど、お世話になった上司に相談できない。もしくは、相談すべき上司自体にハラスメントなどの問題があり言い出せない。相談したものの、執拗な引き止めや人材不足を理由に退職届が受理されない(「辞めたいなら代わりを連れてこい」等)というケースもあるようです。
このような状況の中で悩んだ社員が頼るのが、退職代行サービスです。東京商工リサーチの調査によると、「退職代行サービス」を使って従業員が退職したことのある企業の割合は東京都内大企業に限ると20.7%でした。(東京都内全体では9.3%)
民法において、働く人が自由に退職する権利は定められています。原則、退職したい日の2週間前までに申し出れば良く、会社の承諾は必要ありません。しかし、退職代行サービスの利用が増加していることからみても、現実は異なるようです。
人材不足で売り手市場が続いていますが、人が欲しい思いが先行しすぎて聞こえの良い情報ばかりを候補者に伝えてはいないでしょうか? 重要なのは、情報の透明性をあげることによってマッチングをより良くすることです。お互いが納得し合ってこそ、働きやすい職場がつくられると思います。
退職代行サービスの利用は20~30代の若手が8割をしめます。素直な気持ちを会社に伝えられない。つまり、日本型雇用の慣習が生んだ「御恩と奉公」の精神が目に見えないパワーとして会社と従業員の間に存在しているのではないでしょうか。実際に退職代行サービスというのは、日本独自のものです。周囲の日本以外での勤務経験のある友人に聞いてみましたが、一様に「え???普通に辞めるって言えばいいじゃん」とびっくりしていました。
社内でキャリア相談ができないということは、人材の定着率に大きな影響を与えます。日頃から風通しの良い人間関係をつくる努力を怠らず、マネージャーの職務のひとつとして「メンバーのキャリアの成功を支援する」ことを心がけることが必須でしょう。
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タイトル画像提供:scb13 / PIXTA(ピクスタ)