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アフターコロナのキャリア開発

コロナ危機で大きな環境変化が起こっているため、これまでやってきた仕事を同じように、いつまで続けられるのか、不安に思っている方も多いのではないでしょうか。

危機の中で、今後のキャリアについて考える時間的な余裕があるため、さらに悩みを深めてしまったりもします。

ストーリとしての競争戦略で有名な一橋大学の楠木教授は、「キャリアは川の流れのようなもの」と、今後のキャリアを見つめなおす上で、大変参考になる考え方を展開されていました。

長期的なキャリア戦略は持たない方が良いというのがここでの結論で、「計画無用、戦略不要」という、良い意味で予想を裏切るお話をされています。

理由① 仕事の本質
・趣味であれば、自分を向いて、興味があること、楽しいことをやれば良い
・一方、仕事というものは自分以外の誰かの役に立たなければ成り立たない
・戦略や計画というのは多分に自分本位であり仕事の本質に合わない
理由② 自らコントロールできない
・社会変化やお客さまの意向を管理・計画することは不可能
・仕事では、自己評価には意味がなく価値の提供相手からの評価がすべて
・仕事というのは、思い通りにならないもの
理由③ 長期活動である
・10年、20年後に自分が何をもって価値を与えられるかわかるわけがない
・キャリアは事後的に見えてくるもの
・そのときどきの自然な流れに逆らわず、流れに乗って流れていくべき

成功するキャリア計画を立てることは、自分の損得に関して頭がいっぱいになっているので、とても危ういと楠木教授は警鐘を鳴らされています。

良い仕事をすれば、喜ばれ、感謝され、頼りにされるので、自分も嬉しくなり、もっと頑張れるので、さらに良い仕事ができるようになります。

利他と利己が自然に融合するのが仕事の醍醐味であるとキャリア開発のあるべき姿を看破されています。

フランスの思想家で経済学者でもあるジャック・アタリ氏は、「利他主義は最善の合理的利己主義である」ことを提唱されていますが、キャリアに対する考え方も、そのまま当てはまります。

私が社会人になってから、四半世紀が過ぎました。仕事がいつも順風満帆ということはなく、常に変化する社会の荒波の中では、雨の日も、風の日もありました。

追い風でも逆風でも、しっかり前進を続けるためには、自分は何に強みがあって、どうしたら仲間やお客さまの役に立つのかを、真摯に考える以外に道はないと考えてきました。

そして、自分の特徴に関する自己認識は当てになりません。仕事の特性上、自分の好き嫌いや得意不得意には意味がなく、他者からの評価が重要で、仲間やお客さまからのフィードバックと向き合う必要があります。

長いキャリア人生を実りあるものにするためには、あてどない自分探しをして机上の空論を展開するよりも、常に変化することを当然としつつ、今どうすれば良い仕事ができるかに集中し、少しづつ実績と信用を積み重ねていくことが、ベストだと確信をしています。

コロナで大きな社会変化が起こっても基本は変わらず、変化の中で、自分はどうすれば、最大限、誰かの役に立てるかを模索していきたいです。

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