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なぜ2009年から第三次AIブームが起きたの?〜経済不況を巡る仮説〜

 みなさま、こんにちは!今回は、なぜ人工知能(AI)ブームが起きたのかを経済目線で考えていきます。AIブームの背景には、テクノロジーの進化が原因と報道されることが多いです。しかし、本当にそれだけでしょうか?テクノロジーを進化させるのは人であり、優秀な人材を獲得するためには雇用や労働事情の変化を汲み取ることも必要です。例えば、好況時には優秀な人材が獲得しにくくても、不況によりベンチャー 企業でも優秀な人材が獲得しやすくなり、イノベーションが生まれやすくなるかもしれません。不況は嫌なことばかりでなく、イノベーションの母にもなりうることは経済学者シュンペーター氏の「創造的破壊」という言葉を見ても汲み取れると思います。

 今起きているAIブームは、第三次AIブームと言われています。ブームのたびに過剰な期待と失望を繰り返しながら、AIが身近な物へと進化しているようです。そして、この第三次AIブームは、松田雄馬氏の「人工知能はなぜ椅子に座れないのか」(新潮選書)によれば2009年のGoogleによる自動運転会社設立から始まったと指摘されています。この話を松田さん本人及び松田さんの著書から知った時に、ある仮説が私の中で巡りました!それは、

「2008年リーマンショックが、第三次AIブームを引き起こす引き金に影響した」

という物です。なぜ、私の中にこのような仮説が想起されたのか。AIブームという言葉が生まれる前に、ビックデータブームという言葉が流行したのを覚えている方は少なくないと思います。このキーワードも2008年リーマンショック後から出てきました。ここで、ある実体験が繋がったのです。投資銀行で勤めていた私自身の体験として、投資銀行で活躍していた最先端の金融ファイナンスやスキルに精通していたエンジニアや運用者がデジタルベンチャーに転職していく様を見ていたことがあります。実際に、米国雇用データを見るとデジタル分野の雇用者の増加と、それに応じるかのように金融業や製造業の雇用者の減少が目立ちます。

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(出所 イラストは全て「日経ARIA 崔真淑のB面経済学」記事より。第一回目はリーマンショックのプラスの側面というB面を詳しく解説!次にくる大胆産業予測もセットで😉)

 つまり何がいいたいかというと、リーマンショックで2008年までは稼げる業界といえばザ・投資銀行だったものの、リーマンショックで崩壊。そこで勤めていたAI発展に欠かせない人材が、当時はまだベンチャーだったデジタル企業に移る契機としてリーマンショックという大不況が影響したのではないかということです。この仮説を聞いて、2009年から起きたのは経済なんて関係ないよ!ただの偶然!テクノロジーありきだ!という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、社会の発展には自然科学の発展は必須ですが、自然科学を発展させるための人材獲得をデータで検証する社会科学の視点も必須なのです。

 いま、日米の株式事情を見てみるとAIブームの火付け役と言われるようなデジタル企業の株価や、AIブームに載っただろう新規上場企業の株価は本当に冴えないです。一方で新しい産業への光も見え始めています。ここからいえることは、結局は常に儲かり続ける産業はないし企業は変化が必須だということ。また、経済不況は経済の新陳代謝を生み出す要素のなりうるだろうということです。米中摩擦で経済不況の足音や、日本の雇用統計をみても黄色信号がつきつつあります。不況でうろたえることなく、次の流れを作り出す人材になるためにも、私もブラッシュアップに励みたいと思います!

ここまで読んでくださりありがとうございます!

上述した産業変化や不況がどのように影響して、日米格差を生み出したかや、次にくる産業大胆予測は新連載「日経ARIA 崔真淑のB面経済学」に詳しく記しています。一般メディアで言われているA面経済の裏側を記載しています。新連載という貴重な機会に感謝です!

https://aria.nikkei.com/atcl/column/19/102400134/102900003/?i_cid=nbparia_sied_st_new

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崔真淑(さいますみ)

 

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