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「マーケティング」のお仕事を説明するオンボーディング資料を公開します

近年、人事や採用関連で「オンボーディング」というワードが一般化してきました。オンボーディングのもともとの意味は「飛行機や船に乗り込む」。ここから広がって採用活動における「受け入れ」~「定着・活躍」のプロセスをオンボーディングと呼ぶようになりました。新メンバーが早く活躍できるよう、人事や受け入れ組織がサポートする施策を指します。


お世話になっております。松本でございます。

本noteは、JX通信社内でマーケティングチームの役割を説明するためのオンボーディング用資料として運用していたものを一部公開するものです。

JX通信社にはB2BサービスとB2Cサービスがあり、それぞれにマーケティングチームが参画しています。したがって、かなり抽象度の高い説明となっている部分もありますが、その辺りはご容赦頂ければ幸いです。

また、ここに書いた内容は松本が独自に解釈したものであり「○○が抜けている」「○○に言及していない時点で終わっている」「マーケティングを分かっていない」等のツッコミはご遠慮ください。(ダチョウ倶楽部の押すなよ的な前フリでもありません)


マーケティングとは何だろう?

JX通信社におけるマーケティングチームの役割を理解していただくために、そもそもマーケティングとは何かを皆さんと一緒に考えたいと思います。

書店に足を運べば様々なマーケティング解説書があるのですが、分厚い書籍も多く、中には凶器にもなる鈍器書もあります。そのような書籍がある店を鈍器ホーテといいます。嘘です。

端的に理解していただくためにまず「マーケティングが不要な商品・サービス」を皆さんに想像していただき、そこから逆算してマーケティングとは何かを考えましょう。

「マーケティングが不要な商品・サービス」と言われて、何が思い浮かぶでしょうか。松本は、以下の5つの条件に合致する商品・サービスがマーケティング不要ではないかと考えています。ちなみに、対象は日本に絞り込むものとしますね。

1. 競合がなくて、選択肢は1つしかない
2. 日本にいる人全員が必要だと思っている
3. 誰もが買える値段で提供されている
4. 日本全国どこにいたとしても買える
5. その商品・サービスを全員が知っている

例えば、戦前〜戦後長らく国の専売制度が続いた「塩」は、当時は上記5条件に当てはまるはずです。全ての人が必要としていて、かつ他に選択肢が無いから独占状態。こんな状況はもちろんマーケティングは不要です。

言い換えれば、①選択が複数ある、②(本当は必要なのに)必要だと認識されていない、③欲しいけど買えない人がいる、④日本にいながら買えない人がいる、⑤そもそも商品・サービスを知らない、こういう場面で「マーケティング」が必要になります。

ちなみに、本当は必要無いのに必要だと信じ込ませることが「マーケティング」だと誤解している人がおられます。それは違います。そもそも、魔法使いでは無いので「信じ込ませる」とかは絶対無理です。

さて、先述した①〜⑤を実際の業務に落とし込む場合、先人が「4P」というありがたいフレームワークを考案してくれました。

必要な人のために商品・サービスを開発し(Product)
必要と感じる人が買える値段で(Price)
必要と感じる人の近所で買えて(Place)
必要な人に情報を届ける(Promotion)

商品の開発も「マーケティング」のお仕事と表現すると、驚かれる方もおられるかもしれません。どのように作るかはエンジニアリングの専門家のお仕事だと思いますが、例えばシステム開発で言うところの要求定義は、それを必要とする人の目線が欠かせませんから、やはり「マーケティング」のお仕事なのでしょう。

すなわち、役割というか、活動に対する「それってマーケティングですね」と言える領域は幅広いと松本は考えています。

実際、米国マーケティング協会ではマーケティングを次の通りに定義しています。

Marketing is the activity, set of institutions, and processes for creating, communicating, delivering, and exchanging offerings that have value for customers, clients, partners, and society at large.
マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。

「価値」が重要です。なぜ欲しいと思ってくれるか? なぜ買いたいと思ってくれるか? それは、その人にとって「価値」があるからです。

先ほど「必要な人のために商品・サービスを開発し」と表現しましたが、実際には価値を開発しているんですね。それゆえ、マーケティングを「価値の実装」「市場価値を創造する仕事全般」と表現する方もおられます。

ちなみに「市場価値を創造する仕事全般」と表現したのは森岡毅さんです。JX通信社の代表・米重さんは確率青本に森岡さんのサインを貰っています。いいなぁ!

大袈裟に聞こえるかもしれません。しかし、それぐらい重要なお仕事なんだと伝われば幸いです。


マーケティング部門のお仕事は何だろう?

では、マーケティング部門のお仕事は何でしょうか。

狭い意味で考えるなら「Promotion」です。金と人と知恵を投下して、知ってもらい、興味を持ってもらい、覚えてもらい、買って頂く。端的に表現しましたが、めちゃくちゃ難しいお仕事です。

なぜか。今週1週間を振り返って、記憶に残っている「Promotion」があれば教えて下さい。TVCMでも、新聞広告でも、ネット広告でも、プレスリリースでもなんでも良いです。せいぜい片手で足るぐらいでしょう。世の中にある会社の数と比較をすれば、あまりに知られてないし、覚えて貰えていないのです。だからこそ、奥が深いのです。

ただし、JX通信社においてはお仕事の範囲は「Promotion」だけではありません。先程の言葉を引用すると「価値の創造」であり、「顧客に選ばれるようにする」ことが仕事です。

例えば「こういう機能が見込み顧客に喜ばれる」「こういう機能は市場が求めている」という提案もします。もちろんファクトベースで。

ちなみに、一定の割合で「マーケティングは金に物を言わせて消費者を洗脳している」と考えている人たちがいます。当たり前の話ですが、金で消費者を洗脳できません。消費者は賢いです。変だな、おかしいな、と稲川淳二っぽく思ったら、直ぐに見抜かれます。

そういう人は「Promotionで大々的にTVCMやれば、ばんばん買って貰えるでしょ?」と思っています。無理です。良いProductがあってこそPromotionです。

松本は「雪だるまの法則」と呼んでいるのですが、Productというスノーボールの上にPromotionというスノーボールが乗ります。スノーボールの大きさは上が下を上回ることはありません。もしそうなると、下側が重さに耐えきれず潰れてしまいます。

つまり、Productを無視してPromotionをしても全く意味は無いのです。何人かの先人は、その法則を無視して「先行投資」と題して無茶なPromotionを行い、結果的に会社に損害を与えています。

Productというスノーボールが大きくなれば、それに合わせてPromotionというスノーボールを大きくする必要があります。それは例えばタクシー広告かもしれませんし、TVCMかもしれません。余談ですが、松本はProductがPMFしたら、タクシー広告やTVCMをしても良いと思っている派です。


これまでどんなお仕事をしてきたの?

JX通信社における仕事内容自体は、西川きよし師匠のように「小さなことからコツコツと」、ジェンガを積み上げるが如く作業が多いです。

ですので、個別具体的に語るよりも思想をお話しましょう。

「市場」はどのように作られるでしょうか。基本的には、年あたりの個数単価×購入者数×購入頻度で決まります。B2Bの場合は年間契約の場合が多いので、購入頻度は「1」と考えるとシンプルかもしれません。

さて、ここでシンプルに考えてみましょう。マーケティングとは「箱からボールを取り出すゲーム」だと思って下さい。ルールは簡単。取り出したボールが自社だったら売上に、それ以外なら0円になります。何人参加しても、何回取り出しても可能です。

図1

どうすれば、自社の売上は高まるでしょうか。

1つ目。ボールを取る人を増やす。箱の中に自社のボールが何個あるのか不明ですが、とりあえず人が増えれば、それに連動して売上は増えるはず。必要とする人を増やす価値の実装など、市場を広げる取り組みです。

2つ目。1人あたりボールを取る回数を増やす。箱の中に自社のボールが何個あるのか不明ですが、1人1回ではなく全員2回になれば、それに連動して売上は2倍に増えるはず。

3つ目。箱の中の自社のボールを増やす。仮に1個しか入っていないなら、個数自体を増やす。機会を増やす取り組みと言えます。「選ばれる理由」さえあれば、必ず個数は増えます。

プロダクトのフェーズによって、どれをより重視しなければならないかは変化します。1つ目のみ、3つ目のみ、ということではありませんが、何をしたら売上に関係するかはある程度意識しながら仕事をしています。

重要なことは、マーケティングとは与えられた広告予算を消化するだけの部署では無いということです。究極的には、人が思わず動きたくなるような、ハッとする気付きが得られるような活動をすることだと松本は考えます。

このあたりが、なぜか「洗脳」と解釈されるんでしょう。私自身はどちらかといえば「ナッヂ」に近しいと思うのですが。


というわけで

JX通信社では、マネージャー候補のマーケターを絶賛募集しています。ポジションはNewsDigest専属になります。まずは、お話だけでもしません?


というわけで②

毎月行っている消費者理解のためのウェビナーが、11月16日20時〜開催します。今回のゲストは、元パナソニックでマーケティングや新規事業を手掛けられた深田昌則さん(カーマインワークス)です。

【過去開催回のゲスト】
・2021年4月 ニューバランスジャパン 鈴木 健 氏
・2021年5月 リサーチャー 菅原 大介氏
・2021年6月 プリファードネットワークス 富永 朋信 氏
・2021年7月 ソフトバンク 井上 大輔 氏
・2021年8月 才流 栗原 康太氏/ブランディングテクノロジー 黒澤 友貴氏
・2021年9月 ファミリーマートCMO他 足立 光氏
・2021年10月 TORiX 高橋 浩一氏

毎回ゲストが豪華だな…。

1本書くのに、だいたい3〜5営業日くらいかかっています。良かったら缶コーヒー1本のサポートをお願いします。