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物流業界が2年後に直面する2024年問題に挑む「企業内起業」

2019年に施行された働き方改革関連法で、「時間外労働の上限」に対する罰則規制が適用されました。
法案の中身についてはリンクで飛んでいただくと詳細が載っているのですが、迷子になるに充分な情報量なので(笑)、とっても掻い摘んで言うと、

・いわゆる、残業代ゼロ法案。
・もちろん、残業代を払わない法案じゃなくて、働き手が少なくなっていくなか、「労働環境を見直して、生産性を向上させて、なんとか回るようにしようよ」ってな主旨の法案。
・具体的には、「長時間労働の是正」「多様で柔軟な働き方の実現」「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保のための措置」とかが入っている法案。

ただ、一刻も早くそうすべきことは分かっているものの、現実問題で言うと「全産業一気にイキナリの適用は無理」ということで、「2024年までは適用が猶予された業種や業務」がありました。
代表選手が、建設業、運送業、医師などです。
この猶予期間5年もすでに折り返しを過ぎ、あと2年というタイミング、そろそろちゃんとしないと間に合わない、という時間帯になりました。


スワップボディコンテナ車両を活用した中継輸送のスキーム

そうしたなか、「運送業の労働環境の整備」と「カーボンニュートラルの実現に向けたトラック輸送の効率化」の2つに同時に応える新たな取り組みの実証実験が、行われました。

・デンソーテンによる、企業内起業。

・実証実験参加企業は、「大王製紙、伊藤忠ロジスティクス、三井倉庫ロジスティクス」。

・実証実験協力運送事業者は、「アートバンライン、遠州トラック、フジトランスポート、優輪商事」。

・実証実験内容は、「商品を積載する荷台部分を着脱できるスワップボディコンテナ車両を用いた異なる運送事業者間で、四国-関東間における中継輸送」。


本スキームは、何を解決しようとしているのか

話しを分かりやすくするために、正確さよりも、思いっきり分かりやすさを取って説明すると、こういうことだったりします。

・たとえば、大阪の工場で作ったモノを、消費する東京まで運ぶとする。

・つまり、トラックのドライバーは、工場や倉庫などモノがあるところまで行って荷積みを行い、納品先の倉庫や販売所まで行って荷下ろしをする必要がある、ということ。

・これに掛かる時間は、大阪東京間の運転時間はもちろん、荷積み場所に向かうための時間、荷積み開始までの待ち時間、荷積みの作業時間、荷下ろしに関しても同様の時間、そして、そもそもの運転時間にも渋滞や休憩があり、結果、「働き方改革関連法」にヒットしてしまう「長時間勤務」はもちろん「車中泊」など厳しい労働環境となってしまう。

・これは、「大阪東京間を一人のドライバーが走り切る前提」である限り、回避のしようがない。

・また、このパターンでは残念ながら、東京で荷物を降ろしたあと大阪に戻る帰りの便が「積荷ナシの空で走る」ということになり、「カーボンニュートラルの実現」を考えても、トラック輸送の効率化が求められている。

・この2つの課題、「働き方改革関連法案への対応」と「カーボンニュートラルの実現」に寄与する一手として、「中継輸送」が考えられる。

・たとえば、車体と荷台が分離できるスワップボディのトラックで、大阪発のトラックと東京発のトラックが、互いの中間地点(浜松など)で「車体と荷台を入れ替えて」、それぞれ大阪と東京に戻る。

・そうすることで、ドライバーはその日のうちに自宅に戻ることが出来、空荷の心配もない。荷主と運送事業者の高度なマッチングを成立させることが出来れば、「働き方改革関連法案への対応」と「カーボンニュートラルの実現」に向けて、大きな一手を打つことが出来る。


具体的な取組みの内容

中継輸送は、これまでも同一運送事業者で既に取り組まれている運行方法で、そのメリットは、既知のものでした。

ただし、「働き方改革関連法案への対応」と「カーボンニュートラルの実現」というレベルを満たすためには、「異なる運送事業者を組み合わせた高度なマッチング」はもちろん、ドライバーが間違ったコンテナを運ばないようQRコードを用いた工夫を凝らすなど、将来を見えた「幹線中継輸送運行管理システム」なども必要であり、それらを含んでの実証実験でした。

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商機と勝機

2019年に施行された働き方改革関連法が、「現実問題、適用無理」となった運送業界ですから、改革を拒む要素はキリなく存在します。

古くからの業界の慣習であったり、顧客からの強い要望であったり、どうにもなならない何かしらの都合だったり。

ただそれでも、革新を必要とする産業には、やはり革新が必要なんだと思います。そしてそれは「商機と勝機がつねにそこに存在している」ということだと思います。

新しい事業の力で、より良い未来を切り拓かれていくことを切に願い、そしてその実現者、実行者の一人で在りたいと思います。

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