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オンラインゲームは「精神的なアヘン」?3000億元を動かす記事で騒然な中国

8月3日、新華社の経済専門誌である「経済参考報」が『「精神的なアヘン」が数千億の産業に成長している』という記事を掲載しました。記事の中で、オンラインゲームのことを「ドラック」「精神的なアヘン」と批判。これに対して市場が大騒ぎとなりました。中国のA株市場や香港株市場で上場している中国のゲーム会社では1日で3000億元の時価総額が吹っ飛びました。

ことの重大性から日本のメディアでも報道されていましたね↓

中国ウォッチャーのみなさんは、この一次ソースを読んでいますか?けっこう長い記事でした、指摘されていたことの重要な点をまとめると以下のようになります。

・取材を受けた教師や保護者からよくある文句:
「1日8時間アリーナオブヴァラーをプレイする生徒もいました」
「スマホ5、6台を投げ壊したが、子供が朝食を購入する金まで節約して貯めて新しいスマホを買ってゲームをやるんです」
「伸びのいい産業やら、ある種のスポーツやら、若い世代を犠牲にして発展しちゃいけない」
・データによると、現在の中国では62.5%の未成年が頻繁にオンラインゲームをします。また、13.2%の未成年モバイルゲームユーザーは平日の平均プレイ時間が2時間を超え、オンラインゲームに余計な時間と気力を使ったことで肉体的、精神的な影響を受けています。2020年、中国の青少年の近視人口が50%を超えました。オンラインゲームへの熱中が学業や性格に影響を与える傾向も現れました。

中国のオンラインゲームが他とは一味違う、如何に熱中するものであるか、について以前にnoteで紹介しましたね↓

・記者が四川省のとある中学で行ったサンプル調査(1929人の有効回答)では、2,3日に一回のペースでオンラインゲームをする学生の割合は26.23%で、ほぼ毎日オンラインゲームをする学生の割合は11.66%です。毎日ゲームをする時間が1~2時間の割合は53.91%で、毎日ゲームをする時間が5時間を超えるのは2.28%です。学生に人気のあるオンラインゲームで、「アリーナオブヴァラー」をよくプレイしている学生は47.59%に達しました。また、担任の先生が言うには、生徒がこうしたアンケートに対しては控えめに回答することが多いことから、実際にはもっとプレイしていると考えられます。
・マクロの面では、「2020年全国未成年インターネット利用状況研究報告」によると、2020年、中国の未成年のインターネット利用者は1.83億人に達し、インターネット普及率は94.9%で、全国のインターネット普及率(70.4%)を上回った。また、コロナの影響で2億弱の中小学生がオンラインで授業をうけるようになって、スマホやパソコンと接触する機会が多くなり、ゲームしやすい環境にもなりました。むしろゲームをしない子があまりにも少ないため、ゲームをしなければ孤立してしまいます。
・一方、オンラインゲームの成長ぶりが尋常でないです。中国音数協ゲーム工委(GPC)と中国ゲーム産業研究院が発表した「2020年中国ゲーム産業報告」によると、2020年の中国ゲーム市場の販売収入は2786.87億元で、2019年より478.1億元増え前年比20.71%増との急成長を維持しています。中でもモバイルゲーム市場の売上高は2020年に引き続き上昇し、2019年から515.65億元も増加し32.61%の成長を実現しました。モバイルゲームの発展の裏には闇があり、自己管理できない未成年者が牽引したと見られています。
・アンケートでも一位の人気ゲームの「アリーナオブヴァラー」は現在、デイリーアクティブユーザーが1億人!テンセントゲームの資料によると、テンセントゲームは2020年には研究開発スタッフが1.4万人もいて、開発費用が120億元に達しました。開発者や運営者は、ゲームの遊び方、設備、音楽、ストーリーの設定、昇進の難しさなどを工夫し、できるだけ多くのユーザーの好みとできるだけ多くのユーザーから時間、精力、財力などを獲得できるかに力入れてます。成人ですらゲームの欲望をコントロールできないほどになっているので、未成年は尚更です。

記事の内容はこのようなものでした。そしてこの記事の影響が凄まじく、資本市場はすぐに反応しました。

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↑ゲーム事業が一番の稼ぎ頭なテンセントが当日の午前中で一時的に10%の爆落。

他にも大手のネットイースが一時的に15%、ビリビリ(動画サイトで有名ですが実はオンラインゲームが稼ぎ頭)が一時的に13%の爆落。

そして記事が公開されてから4時間ほど経つと、この記事はなぜか新聞社によって削除されました。

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国営通信社にまでPRが効いたとかの噂もあります。

この株価の暴落は止まることがなく、関連株は取引終了時に、テンセントが-6%、ネットイースが-7.8%、完美時空が-5%、とゲーム事業をやってる上場大手の株価が暴落。ざっと計算すると合計で3000億元のマイナスになります。

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上場大手ゲーム会社のCEOからは苦言も。

メディアによる監督は大歓迎、未成年への保護も重要な課題であり業界全体が意識していることだが、さすがに「精神的なアヘン」という言葉はこの業界で頑張ってる人たちにとってあまりにも侮辱的な一言だ

とコメントをしました。

当記事は当日の夜に「オンラインゲームが数千億の産業に」のタイトルで再アップされました。中身からは「精神的なアヘン」や「電子ドラック」などの言葉が消えてました。

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↑テンセントは、アリーナオブヴァラーから新たな未成年ルールを実施するようになりました。平日のプレイ時間制限を1.5時間から1時間に、休日は3時間から2時間に、12歳未満の課金を全面禁止、24時間体制で怪しい成人アカウントの年齢と身分確認を行い、成人アカウントの転売取引を厳しく取締るなどの対策を発表しました。

中国のゲームの凄さについては度々noteで紹介してきましたね。今や世界をリードする存在となっている中国オンラインゲーム業界で、莫大な収益をあげている。それだけに今回の記事の内容はショッキングなものでした。

今後の展開が注目されます。何か動きがあったら情報をシェアしたいと思いますので、ぜひフォローしてお待ち下さい。

(参考資料)


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