起業家がピッチに出るメリット 〜「宣言」を事業前進のエンジンに
お疲れさまです。メタバースクリエイターズ若宮です。
先日、IVS LAUNCHPAD SEEDという「スタートアップの登竜門」のプレゼン大会の決勝に出場しました。IVSはスタートアップの3大イベントといってもいい注目度の高いピッチ大会です。
結果は3位入賞…!
優勝を目指して出場したので正直悔しさもありますが、多くの方に応援いただき、昨年は「メタバースは死んだ」とも言われていた中で審査員をはじめ、多くの方にメタバースの可能性を改めて感じていただけ、評価いただけたことは素直に嬉しいです。
IVS LAUNCEPAD SEEDで3位入賞!
こういったピッチやプレゼンの大会は、まだまだ認知度の低いスタートアップにとって露出するための絶好の機会ではありますが、プレゼンの準備には時間とマインドシェアをかなり取られてしまい、事業の進捗が遅れると本末転倒になることも…
資金調達もそうですが、CEOのリソースがかなり食われるので、プレゼンの準備と事業との両立はけっこう大変です。(11月はまじでやばかった…)
3位という成果と反響もいただけた部分はありますが、今回あらためてピッチ大会に出てみて、「宣言するprofess」の意義について感じたので今日はそのことを書いてみます。
宣言する意義① 知ってもらって仲間をみつける
「みんなの前で宣言する」=「profess」という単語があります。もともとは宗教的な誓いを意味していましたが、「プロ」=professionalにも通じていて、自分のする仕事や成し遂げることを宣言する、というのが「プロ」の要素としてもあるでしょう。
「宣言するprofess」の意義を3つ挙げるとすれば、一つ目は、やはり「みんなに知ってもらう」ことです。
実際、今回もピッチと受賞で注目を集められたので、終わった後の交流会では、たくさん出資や協業の相談をいただきました。「外」へ向けたアピール効果は「宣言する」ことのわかり易い一つのメリットです。
ただ、特にシードの段階のスタートアップでは、事業についてすべての人に理解してもらえて、いいね、と言われるかというとそうでもありません。資金調達の投資家との面談でもそうですが、「めちゃくちゃ面白いね!」と言ってくださる方もいれば、(どれだけ説明しても)全然ピンとこない、ということもあります。
そういうタイミングでの「宣言する」はポジティブな反応ばかりを受けられるわけではありません。全員に響くわけではないことので、一定の覚悟が必要です。宣言したことで批判的なことを言われることもあります。
初期は理解されない、というのはスタートアップにある程度共通する事象なので、理解されなかったり評価されなくても必要以上に気にせず、事業を信じて前向きに進める方が良いと思います。
そしてネガティブな反応を気にするより、熱狂的に応援してくださる方は少数でも必ずいるので、投資家や企業、メンバーとの出会いこそを大事にした方が良いです。こうした応援者は「宣言する」こと無しにはなかなか見つかりません。
「宣言する」と相手の反応が分かれますが、そこから応援者や仲間も見つかります。反応は話してみないとわかりませんが、一人ひとり話すには膨大な時間がかかります。ピッチ大会なら一度に大勢にむけて宣言し、それによってスクリーニングできることは大きなメリットです。
たとえそれが100人に一人でも、その時点から共感し応援者になってくれる投資家や企業、将来のチームメンバーに出会えることは本当に貴重だと思います。
宣言する意義② やりたいことがシンプルにできる
「宣言する」ことの2つ目のメリットは、やりたいことや伝えたいことがシンプルになる、という点です。
今回もピッチの準備をする間、色々な人にフィードバックをもらいながら進めましたが、ピッチは基本的に短い時間で(今回は6分)多くの情報を伝えるのは難しいですよね。
また聴衆にはメタバースに詳しい人もそうでない人もいるので、業界知識を前提にした細かい情報も伝わりません。
結果として、ピッチの内容はブラッシュアップを重ねるごとにシンプルになります。そこで重要なのは、取捨選択を徹底すること。ついあれもこれも説明したい気持ちになるのですが、情報を詰め込みすぎると聞き手が混乱します。
「本当に伝えたいことは何か」「自分たちが提供する価値の本質は何か」を考え抜き、どちらも捨てがたい二者択一の苦渋の決断を重ねることで内容はシンプルに研ぎ澄まされていきます。
そしてこの過程はプレゼン用だけでなく、事業自体の目指す方向性やビジョンそのものを彫刻して削り出すなプロセスでもある気がします。
シンプルにするからこそ、残るのはやはり「自分たちらしさ」。
聞き手を意識するあまり、観客に受けやすいデータや見せ方など小手先に走ってしまうと本末転倒です。ピッチのブラッシュアップは自らや事業の本質を掘り出す機会として考えるとよいと考えます。
宣言する意義③ 目標の見える化
三つ目のポイントは「目標の見える化」です。
これは「宣言する」ことの一番大きな価値かもしれませんよね。自分の口から「こんなことをやっていきます」「こういう世界を目指します」と宣言し、共有することは、周囲にとっても自分たちにとっても、「その後の前進のためのよい機会」になる気がします。
日頃ももちろん目標を立ててはいると思いますが、それをしっかり周りに対しても宣言することで、目指すビジョンと現状を照らし合わせ棚卸しする機会にもなります。
ピッチ大会の結果ももちろん成果ではありますが、本質的に重要なのは事業そのものであり、大事なのはピッチ大会のその後です。
ピッチ大会で宣言するときには、自分たちの夢や理想を語ります。それはまだまだ実現できていないものばかりかもしれません。
実際今回ピッチで語ったビジョンに対して、自分の実感としてはまだまだ1%も実現できていません。そのギャップを改めて認識し、出来ていない部分を自分に突きつけることには苦しさも伴いますが、なすべきことが見える化でき「宣言したからにはやり切る」という覚悟が生まれます。
漠然とした希望ではなく、宣言として目標を具体化することは事業へのドライブになる。
もちろんシード期はまだまだピボットもたくさんあるので、目標は一度定めても状況に応じて柔軟に変更することも必要です。ただ、一度きちんと目標を設定し宣言するからこそ目標を見直すことができるのです。
「宣言」を前進のエンジンに
今月、IVS LAUNCHPAD SEEDとB Dash Campという二つのプレゼン大会に出場しました。
事業との両立はなかなか大変でしたし、B Dash Campでは結果も残せず悔しい思いをしました。
しかし、「宣言する」機会を通じて事業のあり方を改めて見つめ直すことができました。
ピッチに時間を取られて事業が疎かになったり合否で一喜一憂しては良くないと思いますが、大会そのものというよりも事業にもプラスなので起業家のみなさんにはピッチ大会に挑戦するのを個人的にはおすすめしたいです。苦手だとか目立ちたがりみたいでやだとか躊躇するより、まず応募してみた方がよいとおもいます。
また起業家に限らず、日々の仕事の中でも「宣言する」機会を取り入れるのは有益ではないでしょうか。「宣言する」ことで仲間づくりや自分のやりたいことの明確化に役立ち、漫然した日常にメリハリができるはずです。
あまり頻繁では負担になるかもしれませんが、社内やチームでも3分程度の短い時間「これから達成したいこと」や「今月のビジョン」を定期的にピッチし合う機会を設けてみるのもよいかもしれません。
今回宣言したビジョンを決意表明として、日本から世界に羽ばたくクリエイターをブーストするべく、しっかりメタバースクリエイターズの事業を前進させていきたいと思います。
↓IVS LAUNCHPAD SEEDのアーカイブです。メタバースクリエイターズは1h50mくらいから出てます。他の出場スタートアップの事業も面白いのでよかったらぜひ