尖ったコンセプトは_基本に忠実であること_から生まれる__パン好きの牛乳_からの学び

尖ったコンセプトは「基本に忠実であること」から生まれる。「パン好きの牛乳」からの学び

みなさん、「パン好きの牛乳」という商品をご存知でしょうか?

この変わったコンセプトの商品、開発したのは乳業メーカーではなくカネカという化学メーカー。

そして1日600本出るパン屋もあるくらいヒットしているようです。

こちらの記事に詳細が掲載されており、突がったコンセプトを生み出すプロセスが非常に参考になるので、簡易的にマーケティングトレースをしていきます。

成功要因ポイントを3つに分けて考えていきます。

どれも基本的なことですが、基本を積み重ねて「尖ったコンセプト」を生み出していることがわかるはずです。

ポイント①新規サービスや商品は社会・顧客課題を入れ込む

まず、なぜ化学メーカーが牛乳の市場に目をつけたのか?

後継者や労働環境の問題などから酪農家の数が減り、国内の生乳の生産量は落ちているという課題に着目。

化学メーカーだからこその独自資源、つまり太陽光発電や飼料などの知見を活かせるのではないかと考え参入したようです。

合理的な判断というよりは、社会課題に目をつけ、自分たちだからこそ解決できる課題があるのではないか?という問いをもとに事業がつくられたとのこと。

市場規模が大きいから、自社資源が活かすことができそうだから、など
合理的な理由だけでの判断では、牛乳市場には参入しなかったはずです。

市場を選ぶ時は、合理性だけではなく、主観性、つまり自分は社会や顧客が抱える課題の何を解決したいのか?という問いと向き合うことが重要だと学ぶことができます。

良いコンセプトは良い問いから生まれる

とよく言われれますよね。

ポイント②顧客のニーズとウォンツを掴む

社会課題に目をつけ事業をつくっただけでは、想いだけで終わってしまいます。

パン好きの牛乳がヒットした背景には、顧客のニーズとウォンツを、調査から掴んでいる点にあると考えています。これも基本!

新規事業やサービスは、この調査が超絶適当に行われているケースが多いので、「パン好きの牛乳」から見習いたいところです。

どんなリサーチをされていたのかを整理してみます。

顧客ニーズをリサーチ
・10年以上前に比べ牛乳の消費額は約2割減
・20~30代と若い女性はパンが好き
・牛乳を飲むときにパンを食べる人は7割、しかしパンを食べるときに牛乳を飲む人は3割

顧客に満たされていないニーズを特定
牛乳とパンに親和性はあるものの、牛乳はパンのお相手として積極的に選ばれているわけではない
グループインタビューから顧客ウォンツをリサーチ
パン愛好家は「牛乳は濃厚なものが好き。でも、濃厚な牛乳は、パンの味を消してしまう」といった意見があったとのこと。

このリサーチ結果から、「コクがあるのに後味すっきり」というコンセプトを開発したようです。

リサーチ→コンセプト策定のプロセスが抜け落ちていたら、今の大ヒットはないのではないでしょうか。

新規事業で抑えたいリサーチのプロセス整理
✔︎社会や顧客の課題から事業の切り口を探る
✔︎想いだけで終わらせずに、顧客のニーズとウォンツを定量・定性の両面で探る

ポイント③コンセプトが固まった後に商品ラインナップと販路を拡張

調査結果からニーズとウォンツ、そこから導き出されたコンセプトが明確になっているので、この後はテストマーケティング→投資アクセルを踏むという順番となります。

「パン好きの牛乳」はコンセプトの土台をつくってからマーケティングミックスの要素を拡張するという基本を抑えています。

パン好きの牛乳のマーケティングミックス拡張

①商品ラインナップの拡張(Product)

牛乳だけではなくカフェオレにも拡張

②販路拡張(Place)
イトーヨーカドーやデイリーヤマザキなど2000店舗に拡張

これ大事!コンセプトがフワフワしているのに、マーケティングミックスの各論に入ってしまうことが多い。

基本を抑えること大事だよね

マーケティングは基本を徹底すること。

当たり前だけど抜け落ちがちなので、マーケティングトレースで時々基本プロセスを確認するようにしたい。

今回の「パン好きの牛乳」のトレースからの学び3つ。

①解決したい社会や顧客課題は何かという問いからはじめる
②顧客ニーズ・ウォンツを理解して言語化することに時間を使う
③コンセプトが固まってからマーケティングミックス拡張

マーケティングの成功理由って、『すごい何か』を求めがちですが、基本に忠実にやることの大切さを忘れないようにしたいです。

尖ったコンセプトは「基本に忠実であること」から生まれる。

明日からの仕事も『基本に忠実』に、でもアウトプットは尖らせていきたい。

本日の日報は以上です。