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宴の終わり、遂に東京オリンピック閉会〜期間中の17日間にみた新しい希望と終わりゆくもの〜

閉会式。。。

7/23-8/8まで17日間の東京オリンピックが終わった。
日本の獲得した金メダルは史上最多の27個。「銀」14、「銅」17を合わせメダル総数は58個となり、これも過去最多を大幅に更新した。

閉会式については何も言うまいと決めていた。

まさかの、坂本九の「上を向いて歩こう」(英語版「スキヤキ!」でビルボードヒットチャートNo.1取ったからアメリカ人も知ってる??)にも、三波春夫の東京音頭と盆踊りにも、ほとんどの日本人が知らない?宮沢賢治の詩と大竹しのぶさんと深夜の子供たちの演技の演出にも、もう何も驚かない。日本の伝統文化の踊りなど、一つ一つは良い素材が「多様性」の名の下に淡々と置かれていく。とにかく炎上回避、安全運転。

前回の1964年の東京大会の昭和ノスタルジーを望んでいる独裁者が日本のどこかにいるのだ。彼(彼女?)は、死ぬ前に思い描いていたオリンピックが東京でもう一度開催できて十分に満足したのだ。日本のどこかに、この紅白歌合戦とゆく年くる年のような演出の閉会式に感動している誰かがいる(はず)。もうそれで良い。。

コロナ禍で開催すべきか中止すべきかどうか1年以上国民的議論があり、多くの国民が反対していた。ただ結果的には、始まるとTVで観戦して応援した人も多いと思う。

「色々思う事はあった人が沢山いるはずだけど…やっぱり私は開催されて良かったと思う」「始まる前は開催しない方が良いのでは、とも思ってたけど、無観客でもやって良かったんだ、と思わせてくれた選手の皆さんの奮闘と笑顔だった」「オリンピックが開催されて良かった面がたくさんある。早くみんなで笑顔で大声を出してアスリート達に応援できる日がくる事を願いたい」「開催の賛否両論があり、コロナ禍で無観客だったけど、やっぱりスポーツってイイね!

コロナ禍が長引く中、ルールが曖昧で努力の方向性が曖昧で先の見えない不安な日々が続く。

個人的には、このコロナ禍の奇妙な熱狂は自国開催ということではなく(実際にテレビでしか観戦していない)、私達がオリンピック選手の競技、演技の中に、コロナ禍前の私達のシンプルな時代を思い出し投影したからだと思う。

すなわち、オリンピック競技は明確なルールと目標があり、それに従って積み重ねた努力は報われ、最後に勝負が明快に決するドラマだ。

そこに現実に対するカタルシス(抑圧された感情の浄化)を感じた人達も多いように思う。

そしてその熱狂のオリンピックの17日間は、これまでの騒ぎが意外なほどあっけなく終わった。

開会式を改めて振り返って

7/23の開会式は、直前の関係者の過去の不祥事のゴタゴタが続き、演出の一貫したメッセージがみえないバラバラのイメージが強かった。

だが、改めて振り返ると、いくつか感慨深いシーンもあった。

選手や海外の視聴者にわかりにくいと不評だった「あいえうお順」の日本語の国名での入場。イギリスは英国で、アメリカ合衆国やオーストラリアは米国や豪州でないのかなど、混乱するところはあったが、これまでIOCと中国の間の協議で、チャイニーズ・タイペイと呼ばれてきた台湾が、あいうえお順で大韓民国とタジキスタンとの間に登場した。その時に和久田アナウンサーの「台湾です!」に感涙した台湾の人は多いという。

東京開催を利用し日米で中国を牽制する高度な外交的意図があったのかもしれないが、日本において法的に問題のない呼称「台湾」と呼んだことは多くの台湾の人の心に刺さった。日本人には感情移入しにくいが、ありえない想定だとしても何らかの理由で、日本がチャイニーズトンキン?とオリンピックで呼ばれ続ける時代を数10年過ごした時に「にっぽんの入場です!」とアナウンスされ涙する感覚か。

ドローンのパフォーマンスにもサイバーアタックは来たはずだ。開会式に集中する世界中からのサイバーアタックを担当のデジタルチームは良くかわし守ったと思う。


そして、ミュンヘンオリンピックでの、イスラエル選手の11人のテロの犠牲者の追悼が初めて行われた

日本人には唐突感もあったかも知れないが、これは長年イスラエルと犠牲者の家族が望んできたことだ。ナチスの歴史を背負うドイツ人のバッハ会長が、パレスチナ解放機構(PLO)と連動してテルアビブ空港乱射事件を起こした日本赤軍の母国で追悼を行った意義はイスラエルにとっては大きい。

実は1972年ミュンヘン事件では翌日、IOCはオリンピックスタジアムで追悼式を開き、怒号渦巻く中でゲームの続行を宣言する

「The games must go on!」(ブランデージ会長)

ブランテージ会長のこの言葉に、コロナ禍でも困難にもめげず大会をなんとしても開催させる自分自身をバッハ会長は重ねたのではないか。

そして、ついに東京オリンピックのゲームは始まった

未来を感じさせた事

1. 10代、女性の活躍

侍ジャパンなど男子選手にも活躍した選手は多くいたが、今回は、男子本命の体操内村航平(32)やバドミントン桃田賢斗(26)の予選落ち、瀬戸大也(27)等の競泳男子の不振が目立つ中で、女性や10代の選手の活躍が目立った気がする。

10代ではスケートボード西矢椛(13)、卓球張本(18)、卓球女子みまパンチの伊藤美誠(19)、3000m障害の三浦龍司(19)。10代ではないが、ベスト4の原動力サッカーのエース久保建英、女子ソフトボールのレジェンド上野由紀子(39)も認める次のエース、後藤希友もわずか20歳だ。

女子の活躍で言えば、金メダルに輝いた女子ソフトボール、銀メダルに輝いた女子バスケットボール、3分代の世界レベルの堂々の走りを見せた女子1500m8位入賞の田中希美(21)、女子水泳個人メドレーで金メダル2つ獲得した大橋悠依(25)、女子ボクシング金メダル入江聖奈(21)、女子ゴルフの銀メダル稲見萌寧(22)、女子レスリングで姉妹で金メダルを取った川井梨紗子(26)友香子(23)姉妹、野中生萌(24)と野口啓代(32)の女子スポーツクライミング、女子体操床で銅メダルを獲得した村上 茉愛(25)等などだ。

2.横乗り系、個の文化の伸長

スケートボード男子ストリートの堀米雄斗(22)と、サーフィン男子の五十嵐カノア(23)といった横乗りの新競技も日本人選手の活躍が目立った。スケートボードは男女合わせて金3含む5。五十嵐カノア(23)も銀を獲得した。国も順位も関係なく、技が決まれば喜ぶ、順位が決まればみんなで喜ぶ、失敗するとみんなで「チャレンジした」と称える、横乗り系の文化。冬の五輪の王者ショーンホワイトが、1位の四十住さくら(19)に記念写真撮ってと駆け寄る。横乗り系は、これまでのスポーツの体育会系先輩後輩タテ社会の文化と異なる。国を背負っていない。個人が楽しみ、国境を越えて仲間の挑戦を称える。

「ナイジャ・ヒューストン」。記者が「どこの国の選手ですか?」と聞くと、2人は顔を見合わせて「知りません」
(堀米雄斗と瀬尻凌が好きな選手はと聞かれて)
「すごい楽しかったです。1本目のときは、ちょっと緊張したんですけど、滑ったら緊張しなくなった。2回目に練習でやってない技があって、ちょっとやってみようと思ったらできちゃった
(開心那 12歳)
「我々のカルチャーは変わらない。五輪が変わるんだ」(国際サーフィン連盟アギーレ会長)


実況解説も、「アツいすねー」「鬼ヤバい」「ゴン攻め」「びったびたできた」という感じで良かった。


3. SNSによる選手の直接発信、とSNSでの鑑賞スタイルの定着

選手のSNSによる発信で情報を得て楽しむことができたのも今回からだ。

日本メディアが、とにかく組織委員会をバッシングしようとして偏向報道しても

、すぐに当事者アスリートのツイートによって修正される。

tiktokで選手たちが上げたコンピレーション動画を見ると、食事にも設備にも満足して選手村の生活に満足し、開催に漕ぎつけた日本とボランティアの人々に純粋に感謝している様子が伺える。総じて選手は、選手村の生活に満足して帰国していった。

↑JOCの公式TIKTOKでは、生身の選手の様子が伺える。


また、自分の応援するマイナースポーツをTVでなくSNSで観戦するスタイルも定着した。

例えば長時間の男子自転車ロードは日本語TV中継も実況解説もなし、gorin.jpで英語実況のみで放送、日本人選手にメダル獲得も無しだったにも、関わらず、Twitterではトレンド入りをする大きな盛り上がりをみせ、多くの人がスマホやPCから景色や競技を楽しんだ。

4.個人的に意外と良かった無観客試合

これまでのオリンピックでは、スポーツ観戦の観客が応援という形で自分の感情を乗せ過ぎているように感じたり、コマーシャリズムがそれに乗っかっり、メディアがそれを煽り「たくさんの夢と感動をありがとう!」といった番組報道に食傷気味で少し冷めて見てた。

今回は、アスリートが、コロナ禍と開催延期で先のみえないなか、無事開催して演技や試合ができることに感謝していることが伝わってきた。
球場に響くミットの音、選手の発する叫びと息遣い、お互いにチームメイトに掛け合う声、純粋にオリンピックに参加できていることの喜びがアスリートから会場からひしひしと伝わってきた。

終わりゆくもの


1. 高視聴率テレビ放送と巨額の広告収入

当初は、無観客試合でも過去最大の広告販売を記録したとNBCが豪語していた東京オリンピック。


NBCは無観客でも映像放送には問題なかったとし大会延期決定前の昨年3月に、東京五輪向け広告枠販売が過去最大の12億5000万ドル(約1400億円)余りに上ったと発表した。

しかし、蓋を開けてみると、アメリカ人の40%はオリンピックに全く無関心。

米国での東京五輪の視聴者数が驚異的に低迷、ロンドンオリンピックの半分、リオかの2600万人から比べても37%減の1700万人だったという。

NBCはあまりの低視聴率に最終的に広告主と補償交渉することになった。テレビ放映権を放送局に売り、放送局がCMを売るという商業オリンピックは明らかに限界に来ている。



2. やはり昭和おじさんは残念

ここは今更多くを語りたくない。ズレたおじさんは、どこまでもズレているだけだ。

かわむらたかし→わたしかむから だ。リコールして欲しい。

3. 税金投入の国威高揚オリンピック
2024パリ大会の次の2028ロス五輪は、税金を投入せずむしろIOCから寄付を取る事を開催の前提にしている。

IOCは経済的負担の一部を埋め合わせるために、資金の提供を申し出るようになった。例えば、2028年の米ロサンゼルス五輪では、IOCは運営委員会に18億ドル(約2030億円)を寄付すると約束している。

1.6兆円も投下した日本は、オリンピック後に赤字構造の競技会場の維持に税金を投入し続けないといけない。オリンピック後の競技会場がゴーストタウンになるのは今に始まった話ではない。

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オリンピックは感染拡大無罪だった?!

当初バブル方式は機能しないと散々懸念されていた。数万人が来日し選手村で感染が蔓延し、医療に多大な負担をかけるとマスコミを中心に騒いでいた。

結論からいうと、ファイザー社特別提供のワクチンを2回接種済で、万が一自身の感染によって陽性反応がでて出場できなかった場合5年間の努力が無駄になる選手と大会関係者はかなり感染防止に神経を使っていたと思われる。
陽性者のうち、国内在住者は286人で、海外在住者は150人。実際に4.2万人の入国者のうち、陽性率は約0.4%と限定的。

海外からの大会関連入国者は6日までに4万2千人を超え、陽性率は約0.4%と限定的だった。436人には事前キャンプ地で陽性が判明した6人も含まれる。コーチなど大会関係者は112人、選手32人、報道25人、ボランティア21人、組織委職員10人だった。

同時期、ワクチン接種が遅れ、20-50代にデルタ株が蔓延している国内の感染者のほうがむしろ多く、「選手村はパラレルワールド」(IOC広報部長)と皮肉られる状況だった。

実際に、下記の組織委員会が公表している公式データの生データの感染者リストを数えてみても、期間中の関係者の感染者は国内日本人の方が多い。

オリンピックが終わった後、政権はデルタ株とどう向き合っていくのか

オリンピックが楽観バイアスを与えたとの意見もあるが、「自分たちがオリンピックを観るとつい嬉しくなって浮かれてしまうので中止してください」というのもおかしな相談だ。オリンピックの影響は主観的な話であり、人の行動は様々だ。オリンピックの影響はゼロとも言えないし、同時に今回の感染拡大の主要因がオリンピックだとの判断することも難しい。
オリンピックが人流に影響を与えた影響はあるかも知れないが、新型コロナデルタ株の感染拡大は本質的には政府がオリンピックは強行するなかで、抜本的対策を講じずに「時短と酒類の自粛要請の言葉だけの緊急事態宣言」を発するに留まっていることの方が原因として大きいと私は思う。

2013年の招致成功以来、日本はこのオリンピックを機にもう一度立ち直れると願って8年間準備してきた東京オリンピックが遂に終わる。

当時の安倍政権は、東京オリンピックの成功、その人気をかって憲法改正に繋げていき日本を変えていくシナリオだったが、オリンピックは全く別の予想外のシナリオでむしろ日本の闇を国民に見せつけ、日本人1人1人にここから変わらないといけないという意識を植え付けてくれた。途中に大きな膿をだしながらも、最後に、次世代、女性という微かな希望の芽をみせてくれた。次に続くパラリンピックにも同じ感動が期待できるだろう。

宴の終わり。オリンピックパラリンピックの開催を巡って様々な形で現れたものが、日本の終わりの始まりでなく、新しい日本の始まりの始まりであることを願ってやまない








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