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本当に「出社」に戻してよいのか。「多様な人材」を“惹きつけ”られるのか(世界経営者会議)

こんにちは。弁護士の堀田陽平です。
トレーニングの成果が徐々に出てきました。

さて、11月9日と10日、世界経営者会議が開催されました。
全てではないですが、私も拝聴させていただきました。

日ごろの弁護士業務だけではなかなか得られない話がたくさんあり、とても刺激的でした。
感想が中心になりますが、書いていきます。

人材獲得は日本だけ課題ではない

いくつかのセッションを聞いていて思うところは、やはり「多様な人材をどう惹きつけていくか」ということが、日本だけでなく世界中で課題となっていることです。

アイロボット・コーポレーション会長兼CEOのコリン・アングル氏によれば、アメリカでは、「人材獲得戦争」と呼ばれる状況となっているようです。

日本においても中小企業を中心に人手不足感が入れていますが、ここで言われているのは、単なる量的な意味での人材獲得ではなく質的な意味での人材獲得を言われているのであろうと思います。

「多様性」の意味

また、イベントの中では、「多様性」や「ダイバーシティ&インクルージョン」という言葉よく聞かれました。
ただ、ここで言われているのは、女性、障害者、外国人、高年齢者というような「属性」ではなく、おそらくは、「価値観」、「経験」という意味での「多様性」なのだろうと思われます。

そして、この価値観や経験という意味でのD&Iを実現することができれば、属性レベルでのD&Iも自ずと実現できるはずであり、このことこそがD&Iの本質であるといえるでしょう。

「仕事はどこかに行くことではなく、こなすこと」

セールスフォース・ドットコムプレジデント兼COOのブレット・テイラー氏のセッションの中では、「仕事はどこかに行くことではなく、こなすことである」という趣旨の話がありました。

これは「仕事」というものの考え方として、本質的な考え方であり、コロナ禍でテレワークが進む中で、改めて実感したところかと思います。
しかし、現状新型コロナウイルス感染症の感染者数が減少している日本においては、「従前どおり出社に戻す」という企業が一定数存在しています。
これは、コロナ禍で見えた本質的なこと、再び見えにくくする行動であると思います。

本当に出社に戻してよいのか?

特に、ブレット・テイラー氏によれば、デジタル人材は、柔軟に働ける環境を望んでいるとのことであり、この点は日本においても概ね共通の認識かと思います。
DXの必要性は多くの企業が認識し、これからも加速していくと思われます。
それもかかわらず、「出社前提」という働き方に戻すということは、DXを阻害する大きな要因になりかねないと思います。

多様な人材を“惹きつける”

上記のような社会状況の変化を受けて、「多様な人材を惹きつける必要がある」ということは多くの経営者の口から聞かれました。
DeNAの難波氏が「ザクロひっくり返し戦略」とおっしゃっていたように、ここで重要なのは、人材を“囲い込む”のではなく“惹きつける”必要があるということでしょう。

労働法の観点から言うと、企業が正社員を解雇することは難しい一方で正社員からの退職は容易であるという非対称性があり、そもそも「囲い込む」などということは、法的にはできないのです。

多様な人材を“惹きつける”かが、今後の人材獲得、イノベーションの創出、そして企業価値の向上を左右するということを再認識することができました。

このような視点は、私が経産省の時に担当した人材版伊藤レポートと変わるところはありません。

人材版伊藤レポートについては今後も解説記事を書いていきますので、ご覧いただければと思います。



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