「働く・遊ぶ・暮らす」の境界線の曖昧さが生む地域活性化の新たな可能性
この数年の間、私は自分の住んでいる地域で人がつながるコミュニティを運営したり、地域コミュニティを盛り上げるお手伝いをすることが増えてきました。
私自身がPeatixというイベント・コミュニティ管理のプラットフォームサービスを運営していることもあり、コミュニティ醸成のサポートは仕事としても長年向き合っている大きなテーマでもあります。コミュニティ醸成という文脈においては公私が混ざっていく感覚が日々強くなっています。
「公私が混ざる」という意味では、リモートワークが定着したこの数年間で、公私の境界線が曖昧になったと言われてきました。オンラインでのリモートワークは、日常生活の空間の中で行われるので、子どもがいれば、仕事の時間であってもフォローの必要な時間が生まれます。こうして、多くの人の中で公私の境界線が曖昧になっている感覚はお持ちではないかと思います。
今回は「曖昧になる境界線」の中でも「働く」「遊ぶ」「暮らす」について考察したいと思います。
「働く」「遊ぶ」「暮らす」の融合
先日、渋谷に住み、渋谷で遊び、渋谷で働く「渋谷愛」あふれるコミュニティキーマンたちが大集合する #シブラバ というミートアップを開催し、トークセッションの企画とファシリテーションを担当しました。
この #シブラバ は東急株式会社と東急不動産株式会社が主催のイベントシリーズなのですが、"渋谷に隣接する街を⾯的に捉え、 渋谷エリア全体でまちづくりを推進「働く」「遊ぶ」「暮らす」の3要素を融合し、シームレスにすべてをつなぐ" という東急グループが掲げる「渋谷型都市ライフ」というコンセプトが企画のベースにあります。
「渋谷型都市ライフ」については下記のように提案しています。
「働く」「遊ぶ」「暮らす」が混ざる生きかた
今回、 #シブラバ には、渋谷エリアに深く関係しており、渋谷区在住で、行政や商店街、地域メディアのライターなど渋谷に関わる仕事をしていらっしゃったり、渋谷でバーを経営していたことがあり、仕事以外の活動の場の中心も渋谷という、まさに渋谷型都市ライフを体現している4名にご登壇いただきました。
トークセッションの中で、渋谷との関わりなどについて様々な角度からお伺いしたのですが、どなたもまさに、渋谷というエリアで「働く」「遊ぶ」「暮らす」が混ざっている生き方をされていました。
4名の皆さんの話を伺っている中で、いくつかの共通の特徴がありました。
1.緩いつながりが生む新たな機会
地域のコミュニティの中で、飲食店やバーなどに通っていると、お店の人やお客さんがつないでくださるご縁で新たな出会いが生まれます。ただし、仕事ではないので、肩書きなどは知らずに仲良くなることが度々あります。そして、お店に行ったときに時々会って話す"緩いつながり"が生まれます。この緩いつながりこそがポイントのようです。
緩いつながりをベースにお互いの価値観や、趣味などを共有することで、相手に対しての理解が深まり共感が生まれます。その状態でふと仕事の話をした際に、お互いに誰かを紹介したり、ビジネスにつながるような案件が生まれることもしばしばあるようです。
「遊び」の中で生まれる緩いつながりから新たな出会いが生まれたり、「仕事」の機会が生まれたりするのです。
2.地域コミュニティにおける縦と横のつながり
地域には様々な世代の人がコミュニティに属しています。世代間の交流の機会が少ない状況下では、お互いの理解が深まりづらくなります。しかし、「働く」「遊ぶ」「暮らす」が混ざった生き方をすることで、地域とのつながりをしっかりと作ると、自分たちと同世代の横のつながりはもちろんのこと、年上や年下の縦の世代を超えたつながりも生まれていきます。そうすることで、世代間の断絶が解消され、多世代だからこそダイバーシティに富んだ新しいカルチャーが生まれるのです。渋谷ではクラブカルチャーが昔から育っていますが、クラブは若者の遊び場であり、年上世代の人からすると良く分からないカルチャーと感じ、ある種の断絶があったようです。そうした中、地域の若い世代が年上の世代にクラブカルチャーについて丁寧に説明する機会を設けることで、相互の理解を深めたという話がありました。こうした動きによって、地域全体でクラブカルチャーを育てる土壌が整っていくのです。
このように同世代だけでなく、多世代とのつながりが地域に生きることの醍醐味になるのです。
3.地域愛から生まれる新しい取り組み
#シブラバ の登壇者の皆さまのお話は、根底に渋谷に対する熱い思い、渋谷愛が溢れていました。この地域に対しての"愛"は、渋谷に住み、仕事をし、遊ぶ日々を過ごすことによって醸成されるものだと思います。自分自身の人生の大きなパートを占めるからこそ深まっていく地域愛ですが、地域コミュニティ活動の原動力にもなります。
「働く」「遊ぶ」「暮らす」が混ざった生き方が生み出す地域愛が、地域へのエンゲージメントを高め、地域内での新たな活動につながっていくのです。
まとめ
私自身も渋谷エリアにかれこれ15年以上住んでおり、住み始めた当初勤めていた会社も渋谷、起業後のオフィスもずっと渋谷区、コミュニティ活動や遊ぶのも渋谷エリアが中心という生活を送っております。
ですので、私自身もまさに「渋谷型都市ライフ」的な生き方をしていると言えます。
私の渋谷愛による新しい取り組みとして、人との新たなつながりを作るSHIBUYA BALCONという渋谷のコミュニティ活動によって渋谷での出会いをより多くしたいと動いておりますし、地域愛あふれる人々の生き方をより多くの人に知ってもらいたいという思いから #シブラバ の企画も生まれました。
「働く」「遊ぶ」「暮らす」の境界線が曖昧となり、混ざっていく生き方をしていくことで、新しい出会い、新しい体験、新しい活動が生まれていき、地域の活性化につながると信じています。