競合分析のマンネリ化から脱出する方法
今日は「競合」との向き合い方について書いていきます。
何となく、多くのビジネスパーソンが考えていそうなこと。
競合分析って意味ある?
一般的には「競合と差別化する」ことが戦略の基本だと言われます。
誰もが一度は使ったことある代表的なフレームワーク、ポジショニングマップや3C分析などは、「差別化要素」を特定することを目的としています。
差別化要素を考えるためには、競合定義ができていることは大前提です。
この競合の定義方法が間違っていることが多いと感じており、改めて競合分析についてプロセスと方法を整理していこうと思いまとめています。
競合分析のプロセスはシンプルに2ステップです。
競合分析のプロセス
①価値ごとに競合を洗い出す
②市場規模とシェアを確認して競合との付き合い方を決める
①価値ごとに競合を洗い出す
まずは価値ごとに競合を洗い出します。
競合は業界内だけではなく、同じ価値を提供しているところ全てを洗い出しましょう。
価値ごとに競合を洗い出すイメージをもっていただくために、自動車メーカーを例に考えてみます。
自動車メーカーの価値とは何か?
(例)
・早く目的地に移動する価値
・快適に過ごす場所としての価値
・車をもっているステータスとしての価値
・仕事道具としての価値
etc
このように価値は複数あり、価値ごとに競合が存在します。
(例)
・早く目的地に移動する価値
→競合は新幹線?
・快適に過ごす場所としての価値
→競合は家やカフェ?
・車をもっているステータスとしての価値
→競合は時計や服?
・仕事道具としての価値
→競合は椅子や机?
自社の価値を細分化して、その価値ごとに競合を考えることが大切です。
この分析プロセスによって、自社の価値も明確化できます。
では、もう一歩踏み込んで、どうやって競合との「連携」視点をもつべきかを考えていきます。
自分は、自分たちの価値を書き出して、価値競合を洗い出すプロセスを「バリューライティング」と名付けてます!
チームやプロジェクトに関わる人でやってみると、あ、自分たちの価値ってこれか!と新たな発見があったりして面白いです!
また、競合に優先順位をつけるとすると、自社が提供している(したい)複数の価値と重なっているところを選ぶ形になります。
②市場規模と市場シェアを理解して競合との付き合い方を見定める
価値競合も含めて競合を洗い出す→重要な競合を特定したあとは、「競合との付き合い方」を決めます。
この時に重要になってくるのが、市場規模と市場シェアの把握です。
競合分析のよくある間違いに、市場規模や市場シェアを気にせずに「とりあえず競合を置いてみて差別化を考える」ケースがあるなと感じています。
なぜ市場規模と市場シェアを考えることが重要なのでしょうか?
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結論は、市場規模によって競合の捉え方が変わるためです。
市場が未成熟であれば競合は仲間
市場規模が小さい(未成熟な市場)場合のことを考えてみましょう。
スタートアップが新しい市場を創り出す時のことをイメージして頂ければと思います。
その場合の競合とはどんな存在でしょうか?
市場形成をしている際の競合
①市場規模を一緒に広げてくれる存在
②市場が有望であることを証明してくれる存在
③大企業が相見積もり→決済・意思決定を取りやすくする存在
=一緒に市場を大きくする
=顧客を増やすためのパートナー
参考にさせて頂いたのは、下記の記事です。(競合はどのような存在かを考えさせられる良記事です)
○市場規模が小さい未成熟市場における競合の考え方
一緒に価値や市場を創る競合を把握
→早いタイミングで提携して仕掛ける
競合とは差別化する視点に捉われ過ぎず、どう連携するかを考えてみると、戦略を考える幅は広がります。
下記の記事には、新市場では競合は存在しないため、競合をパートナーと捉える発想について書かれています。
存在しない市場では、競合相手や顧客を特定すること自体が困難です。
それゆえエキスパートの起業家は、体系的な競合分析を行わず、あらゆるステークホルダーとのパートナーシップ構築を志向する傾向がありました。これは、エフェクチュエーションの「クレイジーキルト」の原則と呼ばれます。
競合は、差別化する対象だけとは限らないことを頭に入れておきたいですね。
規模が大きく成長率が低い市場の場合は「シェア率」を意識する必要あり
さて、逆に規模が大きく、そこまで成長率が高くない市場の場合は、シェアの奪い合いとなります。
競合に顧客が奪われてしまうと、ビジネスが小さくなってしまうからです。
戦略の重要視点
自分たちの市場シェアを何%にもっていけるか?
既存事業であれば、競合をベンチマークして、競合に負けない要素をつくることが大切になります。
もちろん連携して市場自体を大きくしていこう、魅力的にしていこうと考えることも大切ですが、市場シェアを確保することが優先順位高くなります。
ここまでの話をまとめます。
競合との付き合い方は、市場規模(と成長率)+市場シェアによって変わってきます。
競合分析プロセスとポイントまとめ
・競合分析意味ないよね・・は、競合の分析プロセスが甘い
・価値競合分析は、自社の価値と向き合うことにつながる
・チームでバリューライティングやってみることオススメ!
・競合との付き合い方は、市場規模・シェアによって異なる
・正しい競合との付き合い方が事業成長につながる
以上、本日は競合分析の考え方を整理してみました。
競合を再定義することは、戦略や顧客価値を再定義することにつながります。
競合分析はマンネリ化しやすいので、ぜひ本日にご紹介させて頂いた方法を実務の中でも活用してみてください!