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企業がつくる公園のきらびやかさと、その陰にあるもの

5/29(日)、娘と2人で、常磐線から千代田線に乗り継ぎ、乃木坂駅に向かいました。目的地は東京ミッドタウンの芝生広場に広がるPLAY EARTH PARKの最終日に向かうためです。

地球を構成する5つのエレメント「地/水/風/空/火」をテーマに、建築家たちがデザインしたこれまでにない新しい「遊具」をはじめ、ワークショップやイベントなどを通じて子どもたちに地球とつながる新鮮な遊びをご提案します。

公式サイトより

しかし、SNS等で話題を呼んだこの公園の最終日にはたくさんの人が集まり、整理券が手に入らず遊ぶことができませんでした…。

建築家がデザインしたという魅力的な遊具に子どもたちは夢中になって遊んでいるように見え、大人たちも暑い中で子どもの遊ぶ様子を楽しそうに見守っていました。

この公園の企画は、株式会社GOLDWINが主催・運営していました。GOLDWINでは、PLAY EARTH KIDSというオウンドメディアを運営しており、遊びがいかに創造性の発揮につながっているかを思考する場として非常に面白く読んでいます。

とくにぼくが好きなのは、ダンサーの福留麻里さんとAokidさんが提案する、からだで地球を遊ぶためのことばのレシピです。身体を使ったダンスフルな遊び方を、ことばによってインストラクションするこの連載は、ダンス、詩、遊びの領域を軽々と超えた身体の喜びを解き放っていきます。

さて、PLAY EARTH PARKを見たあとに考えたことを、ぽつぽつと書いていきたいと思います。

企業が公園をつくる時代

PLAY EARTH PARKのようなパビリオン型の公園や、「100本のスプーン」に併設するような常設の公園Sony Parkのような公園など、さまざまなかたちで企業が公園をつくる取り組みが広がっています。

千葉市、都市再生機構(UR)、良品計画が提携し、団地、団地内の商店街、公園など一体をリノベーションする取り組みも発表されました。

静岡県沼津市の愛鷹運動公園と一体化した泊まれる公園「INN THE PARK」では、クラウドファンディングなどを活用し、ユーザーと公園運営者の共創が展開しています。

こうした公園において、物理的に開発するだけでなく、パークマネジメントの実践を取り入れ、かつユーザーとの共創を実践する。こうした運用をしていくことで、洗練されたおしゃれなイベントが次々と生み出されています。

自宅からほどちかくにこんな素敵な公園があったら、ぼくもきっと足繁く通ってしまうでしょう。

洗練された公園が、きらびやかさゆえに排除するもの

しかし、こうした素敵な取り組みの陰で、ゆるやかに排除されているものがあるのではないかと疑いの目を向けてみます。

ぼくは、公園は過ごしやすく綺麗であったほうが嬉しいと思っています。そこでさまざまなイベントが行われ、日常の楽しみが生み出されていたら尚良いと感じます。

しかし、公園にはそのような楽しみの側面と同時に、多様な人に居場所を与える福祉的な機能も担っていました。上野公園や代々木公園、宮下公園のホームレスの排除の問題もまだ記憶に新しいでしょう。ホームレスだけでなく、煌びやかなものからは目を背けたいし、孤独になりながら息を抜きたいと感じる人もいるでしょう。

公園はミドルクラスの娯楽のためだけにあるのではなく、多様な人々をケアする場所でもあるはずです。そうした取り組みをいかにしてパークマネジメントが包摂するのかが、一つの課題であると言えるのではないかと感じています。

企業の顧客の体験を豊かにするためだけに公園があるのではなく、同時に福祉も実現するようなパークマネジメントにおいて、建築家やクリエイターとの連携のほか、貧困やホームレスの問題にとりくむNPOとの連携なども重要になってくるのでしょう。

そうしたさまざまなステークホルダーと手を取り合うかたちで、世界をケアする公園を、ぼくも作り手の1人として関わってみたいと感じています。



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臼井 隆志|Art Educator
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