未来は、来るものではなく、創るもの
新型コロナの緊急事態宣言が解除された6月21日の頃、オリンピックの開催も間近だったこともあり、「新型コロナの第5波は来るのか?」というお題での議論がメディア上で盛んに行われていました。
数週間後の現在の結果は、皆さんの知る通りです。
そもそも、この問いの立て方は適切だったのでしょうか。
経営学者のピーター・ドラッカーは、著書の「創造する経営者」の中で、こう述べています。
われわれは未来について、二つのことしか知らない。
一つは、未来は知りえない。
二つは、未来は、今日存在するものとも今日予測するものとも違う。
これは、新しくもなければ驚くべきことでもない。だが重大な意味をもつ。第一に、今日の行動の基礎に、予測を据えても無駄である。望みうることは、すでに発生したことの未来における影響を見通すことだけである。
第二に、未来は今日とは違うものであって、かつ予測できないものであるがゆえに、逆に、予測できないことを起こすことは可能である。もちろん何かを起こすにはリスクが伴う。しかしそれは合理的な行動である。何も変わらないという居心地のよい仮定に安住したり、ほぼ間違いなく起こることについての予測に従ったりするよりもリスクは小さい。
したがって未来を築くためにまず初めになすべきことは、明日何をなすかを決めることではなく、明日をつくるために今日何をなすかを決めることである。
ここから学べることは、「新型コロナの第5波は来るのか?」の議論を尽くすことは、全くもって無駄だったということです。
それでは、やるべきことは何だったのでしょうか。私は以下のように考えます。
1. 街中での行動が増えていることや新たな変異株が普及し始めているなど、その時点で発生していた現象が、未来にどのような影響を与えるのかを考察
2. 自分たちが築きたい未来がどんなものなのか、どんなオリンピックを迎えたいのかの明確化
3. その未来のために、その時点でわれわれは何をなすべきか決定
4. 一人ひとりが決定事項を実践し、予測できなかった未来を実現
この考え方の枠組みをどう捉えるかが、人の生き方を受動的なものにするのか、能動的なものにするのかを左右します。
たとえば「AIが実装された社会はどうなるのか?」を議論するよりも、「AIを実装して、どんな社会を築きたいのか?そのために今日何をするのか?」と話し合った方が、主体的に生きられるようになるはずです。
自分の人生を、知りえない未来予想に委ねるのではなく、自ら意思を持って、望ましい未来の実現のために行動をしていきたいものです。
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