マッス・シェル・フレーム3種類の構造体に見立てた組織の成長
組織の成長
ベンチャーで事業を成長させていく際に、組織の形を変えていくことが必要になってきます。そのことを考えている中で、建築構造について読む機会があり、面白い視点を得ました。
建築の専門ではないので、本来的にそういう意味ではない、というお叱りを受けるかもしれませんが、思考のヒントとして受け止めたものを、そのまま書き残してみたいと思います。
3種の構造体
マッス、シェル、フレームという構造体の違いは、それぞれに適したスケールがある、というものでした。
マッスとは、塊です。粘土を四角く固めたものや、土嚢のような、それ自体がひとつの塊となっているもの。小さな構造物をつくる上で用いることができる、簡易なもの。素材と用途によって、必要な堅牢性を持つことができる。
シェルとは、外殻です。壁や天井など、外壁部分に骨組みを構築したもの。スピード感を持って構造体を構築することができ、それなりの堅牢性も兼ね備えている。三角形の組み合わせで作られたドーム(ジオデシックドーム)のように、ある程度の大きさをつくることも可能。
フレームとは、骨組みです。外壁部分ではなく、構造体の内部に支柱を持ち、骨組みを構築してから、壁や天井などを重ねていきます。巨大な建築物のほとんどは、このフレーム構造でつくられています。(もちろん例外もあり、巨大なシェル構造の建造物もあります)
3種の組織体
ざっくり、上記のような内容を、組織の成長に重ねて考えてみました。
マッス
組織としてのプロトタイプ段階。熱量を持った数人がより集まった、凝縮されたコミュニティ。結束力や求心力の塊みたいな状態で、熱狂するエネルギーで駆動する。シード期のベンチャーは、この状態であることが多いのではないでしょうか。
シェル
初期の組織。ハリボテだが、それなりに動き、それなりに見栄えする。外側から見える状況や評価と、内状に乖離が生まれることがある。アーリー期のベンチャーは、この状態であることが多いように思います。
フレーム
大きく成長するための骨組みを持つ。組織として機能するためには、こうした仕組みづくりが必要なように思います。シェルからフレームへ移行できるかどうかが、組織としての成長には必要なように感じます。
機動性の高い生物体
生物に置き換えてみると、シェル型は外骨格、フレーム型は内骨格といえます。外骨格は、甲殻類や昆虫などの生物です。内骨格は、我々人間などの脊椎動物が代表的です。
内骨格の生物は、機動性の高い運動が可能です。
スタートアップの成長
事業成長において組織づくりは必須です。小規模な組織体で最大効率を求める、という姿勢は大切だと思いますが、効率化には限界があり、突き詰めた効率化はクリエイティビティを損ないます。不必要な肥大化は言うまでもなく避けるべきですが、適切な規模の拡張は事業成長において欠かせないと考えます。
樹木のようなどっしりとした組織ではなく、クイックに対応することが求められる組織であったとしても、それに適したフレーム構造をつくっていくことが必要だと思います。それこそが、ハリボテ組織から脱却し、中身のともなった組織になっていくために必要なことかもしれません。
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