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あなたの会社の「リスキリング」、正しいですか?


「リスキリング」は重要なテーマです

多くのビジネス・パーソンにとって、「リスキリング」は重要なテーマで、日本の経済のためにも、そしてビジネス・パーソンの活躍のためにも必要なテーマの一つです。

事実、

  • 人材開発支援助成金

  • 教育訓練給付金制度

  • リカレント教育推進

などの支援もあり、日本全体で「リスキリング」の推進を行っています。

あなたの会社の「データサイエンス研修」は、正しいですか?

このリスキリングのテーマの一つに、ビッグデータの活用、言い換えれば、「データサイエンスの活用」があります。

私は、データサイエンスの仕事を行っているので、このデータサイエンスの「リスキリング」については、とても興味があります。

皆さんが思う、データサイエンスに必要な知識・技術は、何でしょうか?私が、大学の講義で使っている本、『データサイエンス講義』(Rachel Schutt , Cathy O'Neil )によれば、

  • 数学、統計の知識

  • コンピューターの知識

  • データ分析領域の専門知識

が、必要とされています。皆さんの会社で、データサイエンスの関する研修で、上記の3つの領域について、網羅しているでしょうか?

おそらく、日本の企業の場合、データサイエンスの研修は、「データサイエンス・ツールの勉強会」になっていることが多いと思います。

今回、お話したいのは、この「データサイエンスのツール」が、生成AIの登場で大きく変化した点です。

生成AIとデータサイエンスは、一見関係なさそうですが、実は、どちらもIT技術であり、とても深い関係があります。

生成AIがデータサイエンスに与えた影響

生成AIは、多くの領域に変化をもたらしています。データサイエンスにも、主に以下の領域に変化を与えています。

  1. データ分析の自動化と効率化
    生成AIの登場により、データの前処理、特徴量エンジニアリング、モデル選択などの作業が大幅に自動化されました。これにより、データサイエンティストは複雑な分析タスクをより迅速に実行できるようになり、ビジネス価値の創出に集中できるようになりました。

  2. 自然言語によるデータ分析
    生成AIを活用することで、自然言語でデータ分析のクエリを行うことが可能になりました。これにより、技術的なスキルが限られている経営者や意思決定者でも、複雑なデータ分析を簡単に行えるようになりました。

  3. 大規模言語モデルによる洞察生成
    生成AIは大量のテキストデータを処理し、有意義な洞察を抽出することができます。これにより、顧客フィードバック、市場動向、競合分析などの非構造化データからの洞察獲得が容易になりました。

  4. 予測モデルの高度化
    生成AIを活用することで、より複雑で精度の高い予測モデルを構築することが可能になりました。これにより、需要予測、リスク分析、顧客行動予測などの分野でより高度な分析が可能になっています。

例えば、今では、過去のデータから、将来を予測することは、とても高度なデータサイエンスの領域で、かつ大規模な計算環境(言い換えれば、高速のコンピューター)が必要でしたが、それは私のような日曜プログラマーでも行えるようになりました。

そして、プログラミング言語から解放され始めている

そして、上記の整理の「自然言語によるデータ分析」とは、もっと簡単に言えば、「プログラミング言語」からの解放です。

自然言語クエリ(NLQ)ツールと呼ばれるものが、すでに存在しています。Natural Language Query、NLQは、プログラミングを知らなくても、データの集計や、分析、加工が行えます。

私は、GoogleのGeminiを使って、データ分析を行っています。

今までは、このような分析を行う場合には、データベース用のプログラミング言語(SQL)の知識が必要でした。上記の例では、私はSQLを一切、自分では書いていません。

その他にも、「Tableau Ask Data」や、「Power BI Q&A」などのツールで、NLQを使うことができます。

リスキリングで進化の早い領域は、その領域の研究が重要

このように整理すると、多くの会社が提供している、社内教育、教育プログラムの課題が見えてきます。実は、会社で行う社内教育は、大きな分岐点に立っています。

今までの、社内教育は、テーマとしては枯れていて、十分に議論、定義が行われていて、教育内容が明確になっていたものでした。

しかし、「リスキリング」のような新規のテーマを、社内教育で行う場合には、そのテーマの進化が早いので、教えるテーマの研究が必要なのです。ぜひ、教えるべきテーマの理解をすすめながら、会社の人財の「リスキリング」を進めて、ビジネスの成長に向かってください。

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本間 充 マーケティングサイエンスラボ所長/アビームコンサルティング顧問
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