リマインダー:次のテーマはブレグジット
米国大統領選挙のとりあえずの結論が出た後、の今はリスク材料として忘れられがちなブレグジットに再び注目しておきたい。
英国とEUはブレグジットに関し、来週にも合意が成立しそうだ、という見通しが出ている。この協議は、12月の政策判断に影響する可能性があると中銀総裁が発言していることもあり、成り行きには注意が必要だ。しかし、ジョンソン首相の上級顧問が辞任したばかりで、EU離脱推進派内に亀裂が走っていると考えられており、合意成立には疑念が残る。ハードブレグジットは避けられないのではないかと覚悟せざるを得ない中、結果オーライになりつつあるとすれば、ポジティブではあるが、動向はいかに。
7-9月のイギリスのGDPは15.5%増となった。ロックダウンで悪化した景気が経済再開で回復したのはある意味当然であるが、コロナ再燃と活動制限でその後減速していることを踏まえるべきだ。英国のコロナ感染者数の拡大をうけ、11月5日~12月2日の期間“イングランドのロックダウン”が発表されている。①不要な外出禁止(教育、仕事、病院など健康上の用途、日用品の購入、エクササイズは認められる)、②引き続き同居人以外との接触禁止 (一人暮らしの場合、別な一家族とは交流可能)。③不要不急の小売り、商業施設、レジャー施設、飲食店(デリバリーを除く)はすべて閉鎖。ホテルは制限付きで営業可能(公共の公園は引き続き利用可能)。④葬式は30人まで出席可能。それ以外の宗教的施設の利用は原則禁止。結婚式も禁止。⑤可能な限り在宅勤務を推奨。⑥雇用主が給料を継続して払えない場合は、給料の80%(2500£上限)を政府が補填する、などが主な措置だ。
今回は前回のロックダウンと異なり大学・学校の閉鎖はなしだが、やはりコロナによるロックダウンの再開は、景況感や国民の心理に圧迫であることは間違いない。財政負担が更に増すのも懸念である。大陸欧州も同じプレッシャーを受ける中、果たして、どういう合意ができるのか。合意内容次第では、特にイギリスの資産にかかる値崩れのプレッシャーがあることを忘れてはならない。