Durable Skills(社会で活躍できる力)
中高生の様子を日々学校で見ていると、「伸びる生徒」と「伸び悩んでしまう生徒」の差がいつの間にかものすごいスピードで開いてしまっていることにふと気付くことがあります。
「伸びる」とはペーパーテストの学力だけではなく、人間力や運動能力、他者とコミュニケーションを取る力やチームワークなど多岐に渡る力のことだとなんとなく感覚的にはわかっているものの、いざ子ども達と対峙するとそうした様々な力をどう評価して、どうアドバイスすべきか悩むことも多いです。
子ども達が自分らしくこれからの社会で暮らしていくために、大人の私たちとの関わりからどういった力を伸ばしていくべきなのでしょうか。
コロナ禍を経て変化する学力観
最近ではこうしたテストで測りにくい力「非認知スキル」を伸ばす教育に注目し、自律型学習者を育てる探究的な学習に力を入れている学校が増えてきました。
(渋谷区の小中学校では、今年度から平日の5、6時間目の授業を探究授業に充てています。)
コロナ禍において日本ではGIGAスクール構想に伴うひとり一台端末の配布や、オンライン授業の普及によって子ども達の取り巻く環境が大きく変わり、学力観についても少しずつ変化が始まっています。
世界でもコロナ禍を経て、子ども達の学力観に変化が見られ始めています。
例えばアメリカでは、日本でいうところの非認知スキルをDurable Skills(社会で活躍できる力)という社会的スキルに細分化して、企業と学校が協力しながら分析し、子ども達が将来社会に出て働く上で必要な力について研究が始まっています。
アメリカの分析で面白いのが、こうした分析が州ごとに出されていること。例えば、テキサス州では13の職種が専門性の高いDurable Skillsを特に必要としており、テキサス州に在住・在学している学生に対してこうした力を身につけて卒業してほしいと呼びかけています。アメリカでは雇用の問題に対して強い危機感を持っていて、教育がこうした地元の企業で働くことを意識した取り組みが行われていることがこうした分析から見えてきます。
Durable Skillsの中には、リーダーシップや批判的思考力など日本でも馴染みのあるものもあれば、マインドフルネスやFortitude(折れない心)など学習者の心やマインドに重きを置いた観点が設けられているのが興味深いです。
また、各項目の中にも例えばコミュニケーションの観点にNegotiation(交渉)やSocial Media(SNS)といったものが含まれているように、時代によって大切になるスキルや能力は変化していることが伺えます。
大切なのは、様々な国や地域で過ごした子ども達がこれからのグローバル社会では一緒に生活をしたり、仕事をしたりする場面が増えるということ。
互いの文化や価値観を理解し大切にしながら、自分が社会の一員としてできることは一体なんだろう?と考えることができる力を育んでいくことが結果的に子ども達を大きく成長させることにつながるのかもしれません。
(Durable Skillsの参考資料:PDF)