スマホ販売不振。セット値引きの禁止が追い打ちに
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
MWC(モバイル・ワールド・コングレス)での新機種発表ラッシュも一段落した今日このごろ、「そろそろ今のスマホを買い換えようかなぁ」と思っている方も多いのではないでしょうか? 春商戦というのは事業者にとっても一番のピーク。大学や社会人になるタイミングで契約する人が多いことから、いわゆる2年縛りの更新月が春にくる方が多いからです。
次のトレンドとしては、やはり「折りたたみスマホ」でしょう。実用性がどれほどあるか、既存のアプリが対応してくるのかなど疑問が残るものの、久々にきた新基軸にワクワクが止まりません。
しかし、びっくりするのがその値段。最上位機種は軒並み20万円を超えてくる模様で、身につけるものとしては一番値が張る高級品になってしまいそうです。
これまでは、複数年の契約をすることで携帯事業者から割引サポートが受けられたので、機種代金の実質負担金は3000〜5000円となっていました。「5000円を2年(24ヶ月)払ったら、総額は12万円じゃないか」というツッコミはあるものの、最初に一括で12万円支払うのと、月々で払っていくのを比べたときに、大多数の利用者は月々払いを選択しているでしょう(キャリアショップでは一括払いも選択できます)。
ところが、今後はそのような買い方ができなくなりそうです。政府による「携帯料金4割下げ」から始まった議論ですが、背景は以前このような記事を書きましたのでご参照ください。
そして政府は3月5日に、携帯料金引き下げを促す電気通信事業法の改正案を閣議決定しました。これによる、この夏から契約を前提にした機種値引き「セット割」が禁止されます。
米アップルの新型「iPhone」など10万円前後の高額スマートフォン(スマホ)の国内での販売不振が鮮明になってきた。新型iPhoneは買い替えが多い2年前の機種と比べて3~5割減となり、韓国サムスン電子の高額機種も不振だ。単価上昇の割に際立った技術革新が少ないのが要因とみられる。今夏以降、通信料金と端末代金のセット値引きが禁止され、端末の販売不振に追い打ちをかけそうだ。
そもそも買い替えのサイクルが長くなりつつあったところに、追い打ちをかけるように「セット割禁止」が打ち出されることになります。これにより、買い替え需要が萎み、「いま使っているものをもうしばらく使おう」という流れに拍車がかかるでしょう。
一方で、この施策によりMVNO(いわゆる格安スマホ)に利用者が移動するかというと、なかなか難しいでしょう。既存の契約には「2年縛り」がかかっており、解約違約金がかからないのは「更新月」の1ヶ月間だけです(ドコモを中心にこの期間の延長や緩和策が発表されていますが)。これにより、他のキャリアへの移動を躊躇する方も多いでしょう。
今回の改正案では「顧客を長期間囲い込む販売手法も禁止」されました。しかしながら、新規の契約から順次広がっていくため、既存の契約者がこのメリットを享受できるのかはわかりません。もう一歩踏み込んで「更新月の前月にはその旨を利用者に通知することを義務化」するくらいやってもらえれば、さらに流動性が高まり競争環境を盛り上げることができるのでは?と思います。
数年後に本当に「携帯料金は4割下がった」のか、ぜひ答え合わせをしたいですね!
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タイトル画像提供:TrifonenkoIvan / PIXTA(ピクスタ)
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