副業推進とセットで譲れないもの
政府与党としても全面プッシュする副業の流れですが、個人的には副業推進は必ず雇用規制改革の緩和とセットで行われるべきだと考えます。副業であろうと、複業であろうと、それ自体は何らかの形で労働者の見識を拡げると思われ、何かと蛸壷化しやすい日本の就社文化にとって「キャリアの複線化」を促す貴重な契機になると私は思います(それを認めるか認めないかは所属企業の判断になるので、色々な考え方が合って然るべきだとは思いますが)。日本の労働の現場で起こる多くの問題が、労働者の感じる「逃げ場の無さ」から来ているのだとすれば、尚の事、政府・与党の基本姿勢には同意できます。
とはいえ、「鉄壁の雇用保障」を温存したままで副業を推進するとなれば、企業にとってはリスクが増します。副業・複業を認めるのであれば、これまでのような就社前提の手厚い保証体制も前提条件にはなり得ないというのが筋論になりましょう。これもまた、政府・与党の睨む雇用規制改革に沿った考え方となりますが、今のところ両者がセットで議論・検討されているような雰囲気はあまり感じません。副業推進、大いに結構なことだとは思いますが、セットで譲れないものとして雇用規制改革もあるのだという論点は無視できないものだと思います。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30951250V20C18A5MM0000/