新入社員こそ抑えておきたい、仕事の「スピード」と「質」と「効率」を上げるためのコツ。
皆さん、こんにちは。今回はこちらのお題企画、「#仕事のコツ」について書かせていただきます。
4月。新入社員が一斉に入社して、いつもの職場がより活性化されている頃だと思います。
一昔前は、新人こそ「質より量」を追求することが推奨され、まずは膨大な仕事量をこなすことで、徐々に仕事を覚えていけるものだと発破をかけられていました。ところが働き方改革によって企業の労働時間管理が厳しくなり、仕事量を増やすことで仕事のコツを掴んでいくこと自体が、以前にも増して難しくなっています。
任された仕事を効率良くこなし、着実に成果を上げていくためのコツは何なのでしょうか。特にこれからいろいろと仕事を覚えていくであろう新入社員の皆さんが意識できるように、
1、仕事のスピードを上げるには
2、仕事の質を上げるには
3、仕事の効率を上げるには
という観点でそれぞれ考えていきます。
■仕事のスピードを上げるには
まず、仕事のスピードを上げるためのポイントを挙げてみます。
●全ての仕事に目的や目標を持つ
→何のためにその業務を行うのか、いつまでにその業務を終えると理想なのかなど、目的や目標を明確にすることで仕事のスピードが格段に上がります。目標がないと素早く仕事に取り組む意義もなかなか見出せません。
●正しく優先順位付けをする
→「緊急度」や「重要度」を見極め、優先順位を間違えずに仕事を進めることが、「仕事が早い人」だと思ってもらえるコツでもあります。緊急、かつ重要な仕事に必要以上に時間をかけていると、それだけで会社にとっても大きな機会損失につながってしまいます。
●先々を見据えて逆算しながら計画を立てる
→「今これをやっておくと後からラクになる」というように、先々を見据えて素早く仕事に着手できる人は、仕事のスピードも速いことが多いです。世の中の流れや会社の流れを捉え、もしかしたらこのような仕事を先手でやっておいた方がいいかもしれないという“洞察”ができると、より仕事のスピードが上がっていきます。実際に仕事を進める中で、もともと見積もっていた時間には終わらないことがよくありますが、その計画と実績との誤差を把握し、次回に向けて精度を高めることが大事です。
●スケジュールやタスクをできるだけ細分化する
→「1週間以内に終わらせる」という目標を立てるよりも「3日後の10時までに終わらせる」というように、できるだけスケジュールを細かく管理する方が仕事のスピードが上がります。たとえば、1日の中でも、30分以内に終わらせるものと、2時間以内に終わらせる仕事を仕分けしながら取り組むこともオススメです。また、一つ一つの業務を複数の小さなタスクに分けて取り組むことも仕事のスピードを上げるコツです。目標達成までのプロセスを細かく分解していくのです。
●期限の期待値をコントロールする
→通常の業務には、基本的に期限があるものがほとんどですが、期限に対してギリギリにアウトプットするようであれば「仕事が早い」とは言えません。例えば、「3日で終わらせる」と宣言していたものが1日で出てくるというようなことが続くと、期待以上のスピードだと認められるようになるので、自分の作業スピードを過信することなく、上手に周囲の期待値をコントロールしながら仕事を進めると良いと思います。
逆に、仕事が遅い人の特徴として、
こだわりが強く、細かい箇所に気を取られる
計画性がなく、気が重い仕事ややりたくない仕事ほど後回しにしがち
今やっている業務が何に役立っているかなど、目的が分からないまま作業に追われる
視野が狭く、全体像を把握しないまま目先の作業に取り掛かる
仕事の対する責任感がない
タスクが整理できず、優先順位もつけられていない
一度ミスをしてしまうと気持ちを切り替えられず引きずってしまう
複数の仕事を同時に捌こうとしてしまう(一つ一つの作業をすぐに中断してしまう)
などが挙げられます。
実践で業務を行っていく上では「仕事が早い」というだけでその人の強みや競争力に十分なり得ます。
組織的にも「スピードこそ価値が高いものである」ということを浸透させる必要もあります。共通言語として組織に発信し続けたり、評価指標に取り入れるなど、個々人の仕事のスピードを引き上げるための工夫も欠かせません。
■仕事の質を上げるには
仕事のスピードが早いことは良いことですが、往々にして作業が雑になりがちです。正確性や品質を、スピードとトレードオフの関係として許容するのではなく、仕事の質とスピードを両立することを目指していくことが重要です。
仕事の質を落とさないためのポイントを挙げてみます。
●あらかじめ成果基準を定義しておく
→仕事の質が高い状態とは、会社や顧客が設定しているアウトプットの要件を満たしていることですが、あらかじめ、どの水準までの成果物を期待されているのか、どのくらいの基準を満たしていれば良い評価がもらえるのかを理解した上で業務を進めると、目線が上がり、仕事の質が伴ってくると思います。
●事業目標と連動する形で、個人目標をメジャラブル、かつ適切な難易度で設定する
→まず個人で追う目標は、事業目標と連動していなければなりません。事業やプロジェクトの目標を明確にした上で、個人目標が「具体的」で「測定可能」なものになっていると、目標に対してどうだったかという振り返りがしっかりとできるようになり、仕事の質も自然と引き上がっていきます。目標の難易度が高すぎず低すぎない、適切な目標にすればするほど、個人の意欲を引き出し、目標達成の実現可能性が高まります。
●複雑性が高い仕事ほど放置しない
→複雑で難易度が高い仕事だからと後回しにしていると、着手が遅れる分、仕事の質を最終的に上げることができなくなります。まずは取り組んでみて、一人で完遂することが難しい場合は早めに周囲の人を巻き込むことが重要です。
●仕事に集中できる環境を整える
→当然、仕事に集中できる環境がないと仕事の質も低下します。「集中できる環境」は人によって異なりますが(静かな空間、カフェなどのザワザワした空間、想像力を発揮できそうなオシャレな空間、快適なオフィス家具など)、自分に一番合う環境を仕事の内容や目的によって使い分けると、より高い効果を得られることもあります。
●仕事の切り替えを上手に行う
→ONとOFFの仕事の切り替えを上手に行える人ほど、集中力を高め、仕事の質を向上させることができます。「仕事をする時はして、休む時にはしっかり休む」という生活スタイルが習慣化されていると、集中力が落ちている時にダラダラと非効率に仕事をしてしまうといったことも少なくなります。
どの仕事もそうですが、経験値が上がってくると、ある時期から仕事の量から質へと転化する時期がやってきます。そうするとコツを掴み、要領を得るようになり、スピードを担保しながら質も高めていくことができるようになります。
仕事のスピードも質も高めるには、「“段取り”が全て」と言っても過言ではありません。段取りが苦手な人ほど、思いつきで目の前の作業から取りかかったり、不必要なことまでやってしまったりと、結局時間もかかり、質も上がりきらないといったことが往々にしてよく起こります。
目標や成果基準を明確にした上で、まずはゴールを決めること、そして、ゴールから逆算してスケジュールやタスクなどを管理し、精度高く“段取り”していくことが大事で、その際、一人で進めるよりも、チームでコミュニケーションを取りながら、得意な人に得意なことを任せるというようなフォーメーションを作ることで、最終的なアウトプットレベルも飛躍的に向上させられるはずです。
■仕事の効率を上げるには
仕事の効率を上げるには、業務プロセスの無駄を省き、最適化していくことが重要です。組織的にITツールを導入したり、アウトソーシングサービスを活用するなどして、自分たちの業務を削減するという意識が大前提として必要になります。
仕事の効率を上げるためのポイントを挙げてみます。
●属人的な仕事になっていないか確認する
→自分以外の人が同じ業務をすると仮定した場合に、引き継ぎやすいプロセスになっているかを考えると、無駄な作業がないかどうか、やりにくい進め方になっていないかどうかのチェック機能が働きます。「作業手順は明確か」「いつまでにどうなっていれば良いかが明確か」などを常にチェックしていれば、効率的になっていくはずです。
●無駄な業務を捨てる、またはプロセスを見直す
→業務を進める上で、「これはもっと短縮できるのでは?」「この作業は無駄なのでは?」と感じた疑問をそのまま放置することなく、思い切って業務を“捨てる”必要があります。マニュアル通りに業務を進めることが正しいとされている企業もあるのかもしれませんが、実際に手を動かしている現場の社員が、定期的に業務プロセスが適切かを見直さなければなりません。最終的に、その業務が本質的に必要か否かを判断し、捨てるという決断をするのは、上司の仕事だと思います。
●業務の全体像を把握する
→何をどのような配分で進めれば仕事がスムーズにいくかを計算できると、仕事を効率的に進められるようになります。自分が関わる業務のみ断片的に把握したり、一部のプロセスだけを切り取って闇雲に効率化しようとするのではなく、業務全体の状況を客観視した上で効率化に着手することが大事です。
●最新技術やビジネスツールを有効活用する
→DXの推進によって、様々な業務がデジタル化され、効率化が進んでいます。生成AIの活用により、テキスト、画像、動画、音楽、映像などを自動生成し、制作時間やコストの削減、定型業務の効率化が実現できるようになっているように、仕事の効率化にテクノロジーの活用は欠かせません。
●データベースを構築する
→業務内容にも寄りますが、あらゆる情報をバラバラに管理していると、その都度必要な情報を取りに行く(探しに行く)という手間がかかります。顧客対応に必要な情報、業務進捗を管理するのに必要な情報など、必要な情報をデータベースに一元管理しておくと、素早く情報を入手・活用できるため、明らかに業務を効率化することができます。
仕事を効率化することによって、生産性の向上、コスト削減、さらに利益率改善などにもつながっていきますが、拡大した利益を社員に還元する仕組みを作れば従業員のモチベーションアップにもつながり、人材流出を防ぐことにもなります。効率化に着手しようと思わない理由はほぼありません。
一方、効率化のために業務プロセスを再構築しようとすると、時として、逆に社員の手間が増えたり、無駄な作業を新たに生み出してしまうこともあります。一時的な負担がかかる可能性があることを十分理解した上で、組織の中でも何のための再構築なのか、目的を明確に伝えながら、丁寧に進める必要があります。
ここまで述べてきましたが、仕事の「スピード」と「質」と「効率」は確実に連動しています。
仕事の「スピード」や「質」の管理ができていれば、それが個人やチームの目標に対する成果、ひいては会社全体の業績にもプラスの影響を与えます。仕事のスピードが遅い人で、期待以上の成果を生み出している人や、社運を賭けるような大きなミッションに抜擢されている人はほとんど見たことがありません。
仕事を素早く行う人は、意思決定自体がそもそも早いです。そして、決断が素早くできる人というのは、他者に決断を委ねることなく自分で行う“覚悟”や“責任感”も持ち合わせています。責任を取りたくない人ほど、誰かに決めてもらうために無駄に時間を費やしてしまうからです。
仮に失敗することがあっても、意思決定をすることを恐れず、決断経験を積んでいくことができれば、決断の質もスピードも上がり、それが仕事全体の生産性も向上させることにつながっていくのではないでしょうか。
外部環境が目まぐるしく変化している今の時代において、スピード感を持って新しいチャレンジを生み出していくことは、大きな競争力であることは言うまでもありません。
特に新人のうちは、上司や顧客がいきなり質の高い仕事を期待しているかというと間違いなくそんなことはなく、まず期待しているのは仕事のスピード感です。できるだけ早く仕事に着手し、できるだけ早く仕事を終わらせる。その繰り返しによって信頼を獲得していくことが重要なのです。新人時代から、仕事におけるスピードの価値を理解し、日々の仕事において意識し続けることが、確実に将来の自分への投資になっていくと思います。