本当のところ、植物肉って美味しいの?調理&実食レポート
植物肉って食べたことありますか?あまりピンとこないかもしれませんが、大豆といった植物由来の素材でつくった人口のお肉です。その植物肉がいまアメリカで一大ブームになっているのだそうです。
今週からスタートした日経電子版の連載 #日経STORY では、植物肉をめぐるアメリカの今を特集しています。ブームの背景には健康意識の高まり、環境問題への配慮など、さまざまな事情があるのですが……。
正直なところ、気になるのは味です。本当に肉の代わりになるの?食品添加物は大丈夫なの?本物の肉よりお高いのでは?疑問は尽きません。
百聞は一見にしかず。食材は実際に食べるのが一番。ということで、植物肉を調理、試食するイベントを開催しました。
植物肉クッキングの概要
1月20日、都内のキッチンスタジオをお借りしました。家庭での作りやすさを重視してレシピを考えてくださったのはCOMEMOキーオピニオンリーダーの渥美まいこさんです。
◎日時:2020年1月20日 19:00~
◎場所:千駄木 Klass
◎講師:食トレンド研究家 渥美まいこさん (@atsumimaiko)
◎協力:三井物産株式会社(Rilbite社製のお肉ご提供)
肝心の未調理の植物肉はまだ日本でほとんど流通しておらず、海外で実際に食べられている植物肉のパテを三井物産様にご提供いただきました。
植物肉が流行っているワケ
クッキングの前に、三井物産食料本部の赤尾さんの講義を聞きました。日本で植物肉が市場に出てきたのは2018年ごろからだといいます。
2020年は東京五輪イヤー。日本を訪れる外国人が増える。その際、ベジタリアンやビーガンに対応する必要が出てくるので、大手食品メーカーがさまざまな製品を開発している(赤尾さん)。
植物肉が必要とされる理由はそれだけではありません。食糧問題も大きな要素です。
将来、世界の人口が90~100億人に増えると、動物性のタンパク質だけでは必要な栄養を賄えなくなる恐れがあるといいます。食糧資源の枯渇に備え、技術で解決をめざすフードテックが注目を集めています。そうして生まれたのが、野菜でできたお肉・Rilbite(リルバイト)です。
食品添加物を一切使わず、タマネギやトマト、大豆で作られているのがRilbiteの特徴です。素材がくっついているのは混ぜる技術(企業秘密)のおかげだそう。Rilbite社があるイスラエルでは学校の給食として提供されています。
野菜が苦手な子どもも、お肉なら食べられる。肉の代わりとされる植物肉は野菜の新しい食べ方という言い方もできます(赤尾さん)。
お値段は本物のお肉と同程度を想定。今年か来年には日本のレストランで使ってもらえるようにしたい、とのことです。
どんな料理に使えるの?
渥美さんに交代し、クッキングに移ります。今回作るのは春巻きとスパイシースープ。本物のお肉でも同じように作り、調理のしやすさを検証しました。
まず春巻きの具を調理するところから始めます。
パテをひき肉状に戻すとき、フライパンで火を通します。普通のお肉と違って油分が少ないので、焼くときに油を薄く敷いてください(渥美さん)。
肉のような香りはしませんが、食欲をそそられる香ばしさです。Rilbiteのパテをボロネーゼやタコスのひき肉の代わりに使ったことはあるものの、春巻きにしたのは初めてとのこと。
続いて、春巻きの皮を巻き、揚げます。
同時並行でスパイシースープを作ります。
パテの製造過程でスパイスを使っているので、味がケンカしないようにカレー粉で調味します。(渥美さん)。
ひき肉と違って、植物肉は煮てもアクが出ません。
どんな味がするの?
いよいよ実食です。植物肉と実際の肉、両方を食べ比べてみます。
スープは黒い器が普通のひき肉、白い器が植物肉です。春巻きは左上が普通のひき肉、残り2つは植物肉です。見た目には分からないです。
参加者の声
今回のイベントは日経とnoteが運営する学びのコミュニティ #Nサロン のメンバーにご参加いただきました。どんな味なのでしょう……。
植物肉の春巻き・スープはパテを崩して調理したので、普通のひき肉より食べ応えのある印象でした。風味と舌触りは大豆由来のものだなと感じましたが、それも指摘されないと分からない程度の違いです。
まとめ:植物肉はおいしい
参加者からは「食べてよかった」「ラム肉みたいだった」という声が多く挙がりました。
・本当に肉の代わりになるの? → 味付けの濃い料理に向いている
・食品添加物は大丈夫なの? → 使っていないので大丈夫
・本物の肉よりお高いのでは? → 現時点でも同程度の価格で作れる
商品開発・レシピハッカソンをやったら面白そうですね。
おまけ:Twitterアンケートの結果
イベントに先んじて、twitterで植物肉の意識調査を実施しました。「植物由来の肉が日本でも普及すると思いますか?」と問いかけたところ、きれいに評価が分かれました。最も多かったのは「普及する。自分も食べたい」という答え。
「肉の味に近づけるほど食品添加物が多くなるのでは」
とか
「わざわざ肉に近づけるより、そのまま食べたほうが効率よくたんぱく質を摂取できるのでは」
といったご意見もありました。そうした懸念がクリアにされるかどうかが、今後の普及のカギを握るといえそうです。
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