米国が仕掛ける貿易戦争は米国に有利
米国が仕掛ける貿易戦争の影響がさらに大きくなる可能性がある。かと思えば、火消しがなされて落ち着きを取り戻してみたり、NAFTAについては緩和される可能性が出てきたり、方向性も定まってはいない。
貿易摩擦に関して、三つのシナリオを考えている。第一に米中間のマイルドな関税の導入、第二に貿易戦争、第三に新たな貿易協定の合意。それぞれの確率は70%、20%、10%である。基本シナリオはマイルドな関税の導入で、中国はすでに市場アクセスを改善、自国市場へのアクセスの見返りに技術移転を義務付ける措置の撤廃などを実施しており、中国は知的財産権の保護や国内市場の開放といった面で譲歩するであろうと考えている。しかし、20%の確率では貿易戦争もあり得る。
各国が相互間で関税を10%引き上げた場合の各国GDPへのマイナスの影響を見ると、米国は1.3%、以下日本が1.7%、欧州圏が2.9%。対し、OPEC4.4%、中国4.3%、中国を除くアジア3.9%とGDPに占める輸出の割合が高ければマイナスの影響が大きくなる。
米国が仕掛けた貿易摩擦も結局損をするのは、それ以外の国となりそうだ。韓国や台湾などの通貨、関税がかかる中国の鉄鋼や韓国などのスマートフォン、家電、半導体関連の株やクレジットへの影響は気にしておく必要も出て来るであろう。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29207230Q8A410C1EA2000/