5分で読み解く為替政策報告書のポイント
週明けのマーケットはシリア攻撃の影響一色となりそうですが、為替政策報告書も通読してみれば相当見どころが沢山あります。子細に語るのは別の機会に譲るとして、ここでは個人的に目についた部分を中心に論点整理を提示させて頂きます:
・監視リストはいつも通りの5か国に加え、下馬評通り、インドも加わった。6か国目のリストアップ。なお、中国・日本・ドイツ・韓国の4か国はこれまで1度もリストから外れていない。米通商政策にとっての「悪の枢軸」的な立ち位置。
・3基準のうち2基準を満たせば監視リストに入るが、中国だけは1基準のみ。「巨大かつ不均衡な対米貿易黒字」の場合は抵触する基準が1つであっても監視リストに入るという建付け。中国のための条件。
・実質実効為替相場(REER)で見れば、長期平均対比で円は▲25%割安。しかも、これは前年より割安感が拡がっている(黒字国通貨の中でとりわけ気に入らない、という雰囲気が透けて見える)。なお、円はREERばかりか名目実効為替相場(NEER)で見ても長期平均対比で割安と念押しされている。
・円に次いでスイスフランスも黒字国通貨の割に下落したことは気に食わない模様。
・ドイツの緊縮路線には強い不満がありそう。内需の弱さを補う政策打たないことに強い不満がありそう。
やはり注目は日本・円でしょう。米貿易黒字や経常黒字(%、対GDP)の大きさは依然不変である上、為替相場も米国の意に沿わぬ方へ動いているという状況です。さらに言えば、円はREERが長期平均対比で然るべき方向(割高ならば下落、割安ならば上昇)へ「動いていない」唯一の主要国通貨であることも考えれば、17~18日の日米首脳会談を前に相当「気まずい」構図が出来上がっていると思います。金融市場がどうどう反応するかは水物ですが、米財務省が円の立ち位置に小さくない違和感を抱いているのは間違いないと思います。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29401780U8A410C1000000/