副業をどこでするか?

副業、複業、パラレルワーク、ポートフォリオワークなど、様々な呼び方がありますが、幅広く働き方を選択する時代が近づきつつあります。僕も、6枚の名刺を持って、仕事をしています。「ワクワクする未来をつくる」という軸は共通していますが、関わらせていただいている仕事は様々な領域に広がっています。例えば、大手企業の新規事業創出、医療VRベンチャー、働き方改革、AI時代の教育、音声感情解析、テクノロジー×心理学、カンブリアナイトなどのイベント主催など。

これらの広がりが、相互に作用しあって、プロジェクトの駆動力を生み出すことが少なくありません。ある領域の常識は、別の領域の革新につながることもあります。その化学反応の多くは、隣接領域からよりも、一見関係なさそうな遠い領域からもたらされるように思えます。

たとえば、かつて能楽を普及するNPOに参加していたことがあります。その頃に、能楽師囃子方の重要無形文化財総合認定を保持する方に聞いた話です。「囃子方として自分が目指しているのは、環境になること。舞台の中心であるシテ(主役)の存在を際立たせるために、自分を主張するのではなく、場をつくる要素として透明化していくこと」という言葉です。数年前に、あるヒューマンセンシングデバイスのプロジェクトに関わったとき、この能楽師の言葉を思い出しました。「センサーデバイスを身につけてもらうためには、かっこいいデザインのデバイスが必要なんじゃないか」というような声があちこちで上がっていました。しかし、センサーが目指すものも、自己主張ではなく、環境になることではないかと思えました。ユーザーの人生にとっての主役は、ユーザー自身です。そのユーザーの状態をセンシングするものは、環境化し、計測していることすら意識されない透明な状態になることが重要なのではないかと。今では、センサーを考える上では、当たり前のことになっているものですが、当時は自分なりに考え、腑に落ちるきっかけとなりました。

一見関係ないものを結びつけて考えるときに、自分なりの解釈をしようとします。ここに、頭の体操のような効果があるのではないかと思うのです。

副業を選ぶとき、日常の業務と全く異なるものを選ぶことは、発想の広がりに繋がることもあると思います。多くの人たちが、もっと自由に、ワクワクしながら毎日のように様々な世界を見て歩くことができる社会になる。そんな未来に繋がる一歩なのかもしれません。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28907190S8A400C1TJ1000/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?