「休み」と「仕事」の間の「スイッチ時間」が仕事の生産性をうみだす
Potage代表取締役 コミュニティ・アクセラレーターの河原あずさです。自宅を中心に育児をしながら仕事をする細切れの日々、休みと仕事の切り替えに苦労しながら、なんとか仕事をすすめる育児起業家です。
今回のCOMEMO記事は「休んで仕事が捗った経験」という編集部のお題を元に書いています。「休むことが仕事の生産性を上げる」というのは他の方の記事でもたくさん語られているので、ちょっと違う観点で「休みと仕事の間のスイッチの入れ方」をテーマにお話できればと思います。ぜひ最後までお読みいただき、参考になりましたら、おひねり代わりに、ハートマークを「いいね!」と押していただけますと執筆のモチベーションにもなり嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。
リモートワークにおける「休憩時間」の大事さ
さてさて4月は研修の季節。ということで、僕も様々な研修の講師をしたり、研修プログラムのプロデュースをしたり、コミュニティ型組織開発のプログラムを企業さんとつくったりする、そんな日々を送っていて、いわゆる講義スタイルの場を持つ機会が増えています。特に、オンラインの研修が増えていて、今や研修の8割はZoomやTeamsで実施しているような状況です。
研修は長時間にわたることも多く、例えば新入社員研修だと終日通しで行うことが多いです。ただ、経験ある方はわかると思いますが、オンラインでの研修は非常に「疲れる」もので、集中力が続きづらいという特性があります。オンライン会議もそうなのですが、対面で会うのとは違う神経を使うし、集中するほど目の疲労も蓄積して、首や頭に疲労感がくるものなのです。たくさんの表情が目の前にあって、みられているような感覚があることが、その疲労を助長する気もします。
そういうわけで、リモートワークの時代においては「休憩時間」の重要性が増しています。コロナ前のワークスタイルだと、ちょっとした隙間時間…例えば会議室の移動とか、フロアの移動、外出などが、スイッチの切り替えの役割を果たして、気持ちを緩めたり、メリハリをつくったりできたものでした。しかし、リモートワークだと、自席にいっぱなしでずっと隙間なく仕事が続けられてしまう特性があるため、切れ目なく仕事を続けてしまう傾向が増しています。こちらの調査では75%の人が「メリハリをつけるのが難しい」と回答しています。
繰り返しとなりますが、リモートワーク環境下においては、ちゃんと意識をして適度な休憩を入れることで、仕事への集中力を上げていくことが必要になります。
僕が担当するオンラインの研修では、1時間に一度の休憩を必ず入れるようにしています。対面の研修だと90分に一度の感覚だったのですが、明らかに受講生の集中力がオンラインの方がなかなか持続しない傾向があるので、意図的に頻度を増やしてデザインしているのです。
仕事と休憩の「間の時間」をつくる
一方で、あわせて意識する必要がある大事なことがあります。「休憩の後にしっかりと仕事に戻ることの難しさ」です。
例えば、連休の翌日に事務所に出社するときのことを思い出してください。どうにもだるくて、ぼーっとしてしまって、仕事に集中ができない……そんな経験を誰しもが持ったことがあると思います。この「あるある」は、休んだ後に、仕事モードに切り替えていくことの難しさを物語っています。
休むことはもちろん大事ですが、休んだ後にしっかりとスイッチを入れて、仕事モードに切り替えていくことは更に大事ですし、その重要性は増していると考えています。自宅からアクセスするリモートワークは、日常と地続きな空間で仕事をするため、意識的にこのスイッチを入れないと、なかなか仕事への集中が生まれない傾向があるからです。
先ほど例に出した僕のやっているオンライン研修でも同様です。休憩時間から戻ってきた受講生のみなさんをみると、なかなか講義に身が入り切らないということがよくあります(オンライン研修では、全員の表情がパネルで一覧できるので、対面研修以上に受講生さんの感情が伝わってくることがあります)。講師としては、休憩時間から本編へのスイッチを明示して、講義への集中力を高めて頂く必要があるのです。
ではどうやってスイッチを入れるのか。僕がオンライン研修で頻繁にやっていることがあります。「瞑想」です。
やることはシンプルです。その場で軽く目を閉じてもらい、鼻から大きく息を吸い、口から息を大きく吐く、その繰り返しです。午後のお昼休み明けにやるときには「午前中学んだことを思い出しながらやってみてください」と声でガイドしながら、1分間から3分間時間をとって行います。
なぜ瞑想が有効なのかというと、気持ちを落ち着かせながら、徐々に講義へと気持ちを向けていく「仕事と休憩の間の時間」を産み出せるからです。
目をゆっくり明けて、画面に目を向けたときに、休憩時間のガチャガチャした日常がちょっと意識から遠くなり、その代わり研修の中身に意識が向くようになります。オンライン研修だと、受講生の表情を見ると、その切り替わりがよく見て取れますし、受講後アンケートの「研修で印象に残ったこと」という設問に「瞑想」と回答する受講生もいたりします(毎回必ずといっていいほど「日常業務でも取り入れます」と回答する方が複数名あらわれます)。
オンライン研修は、自宅からアクセスしていますが、やはり環境としてどうしても気が散りやすいものです。好きな漫画が脇にあったり、おやつが目に入ったり、手元のスマホが気になったり、部屋の散らかりが気になったりと、自分の日常空間な分、気になってしまうポイントが多いからです。そのような環境で、休憩時間に好きなことをやって戻ってくると、職場よりも意識を切り替えるのが難しくなります。結果、画面に集中できなくなりますし、特に午後から夕方にかけては、この気の散り方がますます増してきます。
対策として実施する「瞑想」では、深呼吸して、意識を切り替える「間の時間」を意図的につくることで「ここからは集中する時間だよ」というスイッチを入れています。そうすると、休憩時間まで残っていたざわついた気持ちが整理されたり、気が散っていた状態がいったんリセットされて、目の前の状況に向き合えるようになったりするのです。
休憩明けにスイッチを入れるルーティンを
このように休みと仕事の間に「スイッチの時間」を入れると、集中力が持続する状態を産み出すことができるようになります。
もちろん、仕事においてメリハリは大事です。仕事するときにはしっかり仕事して、休むときにはしっかり休む、それが大事なのは疑いようがありません。しかし、一方で、自分のプライベート空間で仕事をするリモートワークの環境においては、そのメリハリづくりの難しさをしっかり意識する必要があります。
対策としてお薦めなのは「スイッチを入れるためのルーティン」を設定することです。自宅だと、様々なバリエーションをつくることができます。瞑想ももちろん有効ですし、お茶やコーヒーを時間をかけて淹れて、その時間をちょっとずつ仕事への気持ちを高める切替の時間にあて、口にした瞬間を仕事に取り掛かる合図にするのも有効です。僕は、仕事するときのBGMを決めて、その曲を聴いて気持ちを落ち着けてから取り掛かるようにしています。これも「さあ、やるか」という気持ちが喚起されやすくてお薦めです。
これらは一種の刷り込みなのですが、自分の中で「これが休みから仕事に切り替えるスイッチだ」という行動を身に着けてパターン化しておくと、スムーズに仕事への集中力を高めることができます。人間どうしても、休み明けに仕事に戻るのがけだるくなったり、なかなか身が入らなくなったりすることもありますが、スイッチ行動を設定しておくことで、休みのモードから仕事のモードへと切り替えていく「間のモード」を産み出すことができます。この「間の時間」で段階的に意識を仕事に向けていくことで、もっと仕事に集中できる自分をデザインできるのです。
Potageでは、一人ひとりのコミュニケーションに寄り添う設計で、対面、リモート問わず、コミュニティ、組織開発研修、チームビルディングワークショップ、イベントなど、様々な場をつくっています。ご興味ある方はぜひいつでもお問い合わせください。
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