株急落より恐れるべきもの【新興国のドル建て債務】
米金利上昇が招く株価調整も大事ではありますが、より俯瞰的に見ると新興国を中心に蓄積したドル建て債務は気掛かりと言わざるを得ません。BIS(国際決済銀行)の国際与信統計周りの計数を利用し、論をまとめてみました。
もちろん、金融政策は国内目的で運営するというのが経済外交における紳士協定なので、本来はそれでも構わないでしょう。しかし、今年に入ってからの新興国市場の混乱を見るにつけ、こと基軸通貨国においては国際金融情勢への配慮も重要と思わざるを得ません。それだけFRBの挙動は乱気流を生みやすいわけです。
また、新興国の政策対応にも改善の余地はあるでしょう。「たら・れば」の話になってしまいますが、仮にFRBが量的緩和(QE)を拡張している局面で、新興国側が資本規制をしていれば、今年に入ってから経験しているような混乱はおそらく起きていなかったはずです。流入が限定されれば流出も限定されるのは、当然の話です。
歴史は繰り返してますが、次の展開として国際金融情勢に配慮するFRBに構えたい所です。