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新型肺炎対策をきっかけに拡がる中国外交官のツイッター活用

新型肺炎関連のニュースに接する機会が増え、不安を感じる人が多いと思いますが、こんな時こそ改めて一人ひとりの情報リテラシーの向上が求められると同時に、政府や医療機関、専門家などによるタイムリーな情報発信が期待されていることと思います。

そんな中、政治的な意図も十分にあるとは思うものの、中国政府、外交官が積極的に英語や、そして日本語も含む現地の言語で、「正しい」とする情報をツイッターで発信しているという動きはとても興味深いものでした。今週のエコノミストの記事において、中国政府が戦略的にツイッターを活用して海外に対しての情報発信に取り組んでいる様子が紹介されています。

記事の中で紹介されている学術論文によると中国の外交官のツイッターアカウントの数は2018年10月の時点で17だったのに対し、現在は80にも登っているとしています。2月14日に公式ツイッターアカウントを開設した中国外務省の華春瑩報道局長のアカウント(@SpokespersonCHN)は10日間で既にフォロワーが6.5万人に達し、英語と一部日本語で多くの発信を続けています(中国外交官のアカウントの一部はこちらから閲覧できます)。

世界中から批判を浴びている感染症対策の初動の遅れを取り返すために、中国共産党中央宣伝部では300人もの記者を湖北省に投入して感動的で前向きなニュースを紡ぎ、世論を「正しく導く」というプロパガンダ的な取り組みも進められています。一方で、武漢の現地情報を発信していたジャーナリストの陳秋実氏が行方不明になったりWSJの記者に国外退去を命じるなど、言論統制も強化されていることが伺えます。

5ヶ月後の7月24日から開催が予定されているオリンピック・パラリンピックのことも含め海外の多くの人が日本の対応に注目している際、日本国内の感染被害状況、対策なども英語などのグローバルな言語で発信することが今後より期待されることと思います(外務省の英語アカウント @MofaJapan_en)。そんな際、中国外交官のツイート活用も参考になる点がありそうです。

「正しく怖がれ」「パニックに陥るな」と言うのは易しいが、それには科学的根拠があり、信頼できる情報がわかりやすく迅速に発信されなければならない。今が、まさにそのタイミングだ。

Photo by Jack deMore on Unsplash

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