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作品を社会にどう届けられるか?〜九段ハウスでの個展で個展を開き考えた

靖国神社からほど近い、九段下にある築92年の洋館を活用した「kudan house」で2023年2月10日から2月16日で個展「魚行水濁鳥飛毛落」を開催致しました。

個展タイトルにした「魚行水濁鳥飛毛落(うおゆけばみずにごり とりとべばけおつ)」は、そうした私の人生に呼応するモノであると同時に、今の時代に特に必要とされると考える禅語です。良くも悪くも己の行動には必ず跡が残り、物事は日々一瞬一瞬の積み重ねの結果でしか生まれない、という意味があります。

情報過多、超高速で変化する現代において、パンデミックは人々を立ち止まらせ、己と向き合う時間を与えました。自らの痕跡を見つめることで、自分の生き方に確信を得た人、絶望した人、希望を見出した人、迷いが増えた人など様々であったことと思います。

しかし、善も悪もすべては自分の足で歩いて生み出してきた跡の積み重ねによって生まれた現実です。それらを全て飲み込み、これから自分にとってより良き日にするべく歩み続け、新たな生きた証を残し続ける他ありません。本展がその痕跡を探し、生きた証を残すヒントになればと思っていました。

数奇な運命を辿る九段ハウス

そして、本展の会場となる九段ハウスもまた数奇な運命の中、痕跡を積み重ねている空間です。大正の終わりに着工した九段ハウス(旧 山口萬吉邸)は、戦中戦後の激動の時代を乗り越え建築当時のままの姿を残しています。僕はこれまで何度か訪れ、洋風建築の中にジャパニズムが融合した両義的な在り方に、憧れに似た感覚を抱いていました。

九段ハウスと、僕の作家活動のそれぞれの痕跡の積み重ねが交差し、さらにここに集う来場者の痕跡が交錯することで、同時代を生きる我々が未来に問いかけるべき痕跡をともに探る時間となればと良いなという狙いがありましたが、オープニングパーティーや、展覧会会期中には、実際会場に足を運んで下さった方同士の交流が見られ、そこでは10数年ぶりに再開される方が何人かいたり、展覧会を通した人の交流がある場ができたのは、表現とは別のカタチでの意味を作ることが出来たのではないかと思って嬉しかったです。

個展開催の裏にあるテーマ

それと、今回の個展の裏テーマとして、展覧会をアーティスト自身で主催、企画、運営をする。というのがありました。

展覧会は基本、主催、運営をする人と作品を造る人は別な事が多いですが、作品制作を行うアーティスト自信、作品は作るけど、その作品を社会にどう届けるかの部分が抜けてる所が多いなと感じていて、裏方仕事を知る事が本当の芸術家にとっての自立の第一歩なのだと思うのです。(作家活動10年の僕が今更何を言うんだって話ですが、、、)

良い作品を産み出すアーティストは沢山いるけど、それを社会に届ける人達やその方法を知っているアーティストの数が少なすぎるんじゃないかと、、、
まあ、大昔から言われている事なんですけど、特に個の時代と言われるこれからの未来に於いては、その重要性がより加速するのだろうなと思っております。

一部の超天才的、超運が良いアーティストを除き、平凡なアーティストは、自分で作品制作以外の色々ができたり、チームをつくれなかったりすると滅んでいくのかもなとも思ったりもしてます。

今回の九段ハウスでの個展は、様々な方面の方々が携わって下さって本当に感謝でしかなかったです。

そして、改めて、今までに関わって頂いたギャラリーや美術館の方々に頭が下がる思いでした。

こんな感じで、1つの個展で様々な方々の関わりやご協力によって開催されるのですが、今年は個展を3回予定しています。

次回は5月の台北での個展。

これは、ART SOLOというART fairでの個展で、日本のギャラリーからのご依頼を受けて参加させて頂くので、九段ハウスでの個展の在り方とまた少し違って、自作を制作する事だけに集中できるカタチになっています。
制作だけに集中できる分、しっかりと良い作品を仕上げられるよう頑張りたいと思います。

ART SOLO
会期:5月4日-7日
■会場:台北(EXPO Dome)


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