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子育て世代を襲う女性の「時間貧困」 働き方改革と共に多様な家事のあり方を

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

経済成長が止まりつつある日本において、企業の内部留保は積み上がるものの賃金上昇にはつながっていません。残業規制や有給休暇の取得義務などの推進により労働時間は短縮されつつあるものの、可処分時間から労働・通勤時間を差し引いた時間はG7の中で最も少ないことが調査で明らかになりました。

時間の余裕のなさを示す「時間貧困」が6歳未満の子どもを育てる世代を苦しめている。正社員の共働き世帯の3割が、十分な育児家事や余暇の時間をとれない状況に陥っている。母子家庭では育児に充てる時間が2人親家庭の半分以下で、家族の形による育児時間の格差も広がる。国際的にも日本人の子どものケアや余暇などに充てる時間は主要7カ国(G7)で最も少ない。

日経電子版

日本では特に女性に家事育児の負担が集中していることが度々指摘されています。また、家事の外注やお惣菜を買うことに対しても「楽をするのは悪い」という社会通念が根強くあり、罪悪感を覚える方も少なくないでしょう。コロナ禍ではいわゆる「ポテサラ騒動」という出来事がネットで話題になりました。

きっかけは7月のSNS(交流サイト)への投稿だった。幼児を連れて買い物中の女性が、総菜コーナーでポテトサラダを手に取る。すると高齢男性が「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」といい、女性がうつむく、という内容だ。
(筆者略)
論争の焦点は多くある。家事の大変さを理解していないという声は強い。ポテサラはシンプルに見えて結構、手間のかかる料理だ。熱いジャガイモの皮を手早くむくのは一苦労。具材もそれぞれに下ごしらえがいる。それでいて、メインのおかずにはならない。経験や知識があれば、こんな発言にはならない。

なにより「母親なら作れ」。この価値観の押し付けが大きい。しかも知らない人からの、突然の上から目線だ。ポテサラを手作りしないことはそんなに問題だろうか。

日経電子版

世代や生活環境により価値観が多様化している現代において、高度経済成長期のような「大黒柱が一家を収入面で支え、残る家族が生活面でそれを支える」と言ったような画一的なロールモデルはもはやありません。家事に関しても男女ともに結婚前は同じ時間を費やしていたものの、結婚すると女性が男性の2.6倍になり、子どもが生まれるとさらに2.8倍〜3.6倍にまで差が広がるそうです。この中に含まれない「献立を考える」ような思考に関わる時間も、「妻」「どちらかというと妻」と回答した世帯が約8割とのことです。

コロナ禍における働き方改革の進捗により、リモートワークなどの柔軟な働き方が過去例を見ないほど導入が進みました。では、家事分担についてはどうでしょうか。

なにより「積極的に楽をする」ないしはメリハリをつけるということが、もっと推奨されるべきだと考えています。1950年代後半の好景気の頃、豊かさやあこがれの象徴として「白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫」が「三種の神器」としてもてはやされました。今で言えば、自動掃除機・食器洗い機・乾燥洗濯機でしょうか。時間のかかる家事を自動化してくれる家電類はもっと推奨されるべきでしょうし、それこそエコポイントのような制度により普及を促してもいいでしょう。シンガポールの建国の父であるリー・クアン・ユー氏は「エアコンなくしてシンガポールの発展はなかった」と述べていました。日中、生産性高く働くためにはエアコンが必須だったということですね。

会社における生産性の向上も大事ですが、家庭におけるそれもまた大切なことだと思います。


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タイトル画像提供:nonpii / PIXTA(ピクスタ)

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