花開くシビックテック。市民のためのテクノロジー活用で何が変わるのか?(前編)
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
東京都が爆速で公開した、新型コロナウィルスの最新情報を発信するWebサイトが話題になっています。主導したのは、元ヤフー社長の宮坂 学副知事。IT業界での経験を活かしたスピード感もさることながら、サイト自体をオープンソースとしてgithub(設計図共有サイト)にも公開するなど、官公庁の情報公開に新風を巻き起こしています。
東京都は新型コロナウイルスの最新情報を発信するスマートフォン向けサイトの設計図を全国の自治体に無償提供する。データをグラフで示すなど視覚的なサイトをIT(情報技術)予算の少ない自治体でも簡単に作れる。検査状況など情報が速やかに伝わる体制づくりに協力し、不確かな情報の広がりや市民の不安の解消につなげる。
無償提供するのは都が4日公開した「東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト」のソースコード。活用すれば数日で同様のサイトを開設できる。プログラミングや動作の検証、修正作業が不要なためだ。
都による今後のサイトの手直しや拡充も即座に取り入れられる。都の技術的な助言も受けやすくなる。利用する自治体が増えれば全国的な集計や周知も進めやすい。
ソースコードがgithub上で公開されたことにより、誰もがサイトの改善や機能拡充に参加することができます。さっそく台湾のIT担当大臣が自ら修正提案をしてくれたとのことで、びっくりですね!なお、この修正提案は受け入れられ、すでにサイトに反映されています。
オープンソースであることの利点は、活用すればすぐに同様のサイトが開設できるところです。早くも北海道版が有志により開発されました。
このように行政に不満をいうだけではなく、テクノロジーを活用して一緒に手を動かし、自分たちのためによりよい社会をつくるムーブメントがあります。いわゆる「シビックテック」と呼ばれるもので、今回の東京都の動きはまさにこの文脈に沿ったものと言えます。
今回立役者となったのは、長らくシビックテックの活動を続けている「Code for Japan」の関治之さんとそれをサポートするコミュニティのみなさん。関さんは東日本大震災のときの経験から、イベントなどを通じて啓蒙とコミュニティづくりをしてこられた方です。
「私一人が動いても何も変わらない」そう思っていませんか?たしかに、一人の力は弱いかもしれません。しかし、誰かが動き始めることで人々が繋がり、ムーブメントになり、社会が変わっていきます。Code for Japan は、何かを変えたい人を歓迎します。組織を超えたオープンな繋がりを通じて、ひとりひとりが活き活きと、より良い暮らしをつくっていく。そのための仕掛けを用意しています。
何をつくりたいかは、あなた次第。ワクワクする活動が待っています。ぜひ Code for Japan の仲間とともに最初の一歩を踏み出しましょう。
活動の原点ともいえるのが、東日本大震災発生後4時間足らずで開設された「sinsai.info」。当初個人のサーバーで立ち上げられましたが、翌日には関さんが代表を務める会社のサーバーに移行し、本格稼働をしました。
sinsai.infoは2011年3月11日、東日本大震災発生後4時間足らずで開設された。被害状況や避難所、安否情報や雇用情報など現在までに1万件以上の情報が登録されており、地図上で情報の位置を見ながら閲覧できる。アクセスするユーザーは月間50万以上。250人以上のボランティアが登録している。
このときは自由に利用・改変ができる地図をつくるオープンソースプロジェクト「OpenStreetMap」のコミュニティメンバーが中心に動きはじめました。
実はわたし自身もプロジェクトメンバーとして、サイト開設1週間後くらいから参加していました。実は関さんは元ヤフーであり(シリウステクノロジーというベンチャーをM&Aしたことによりグループ入り)、この合併のヤフー側のディール担当がわたしであったことから旧知の仲でした。立ち上げ後アクセスが急増し、またボランティアも急増。全体のディレクションをする人手が足りないということで、お手伝いに入ったのです。COMEMO KOLの市川裕康さんも、このときご一緒していました。
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タイトル画像提供:Rawpixel / PIXTA(ピクスタ)