クリエイターエコノミーを、日本流にリブランディングすべきかも?
Mintoの水野です。SNS・Web3領域で漫画・アニメ・キャラクターなどをクリエイターと共に創っています。
今日のコラムはこの記事を読んだのがきっかけです。TikTokをはじめとした"クリエイターエコノミー"を支えるスタートアップについて書かれています。
クリエイターエコノミーとは、主にYouTube、TikTok、Instagram、Twitter等のSNSを通じてコンテンツを発信するクリエイターを中心とした経済圏を指します。
クリエイターエコノミーという概念自体は10年くらい前からありますが、2019-2020年頃、YouTuber、Instargramerが職業として確立されて来た頃から米国のスタートアップ界隈で、使われるようになってきたと思います。
Minto社もSNS&クリエイターの時代だからこそ、存在し得るスタートアップです。Mintoは、主に漫画・イラスト・アニメなどの領域のクリエイターと一緒に仕事をしています。広告案件のエージェントとして、コンテンツやグッズなどを作るパートナーとして、数百人のクリエイターと契約し、収益をクリエイターにお支払いしてきました。
また、Mintoの海外支社(中国・タイ・ベトナム)では、日本や韓国のイラストレーターが生み出したキャラクターを海外展開する事業も行っています。中国市場向けには、年間流通額10億円、数千万円のロイヤリティが発生する事例も生まれて来ています。
解釈が無限大?クリエイターエコノミーの定義
僕らは自信を持って、クリエイターを中心とした経済圏に寄与している自負がありますが、それ故に、"クリエイターエコノミー"の定義はすごく難しいなぁと感じています。
そもそも、クリエイターの定義が難しい。SNSの発展と共に多くのクリエイターが生まれました。動画、写真、ライブ配信、イラスト、アニメ、漫画、小説、ゲーム、ゲーム配信、ポッドキャスト、音楽などなど、個人で活動し収益を上げる人の数も増え、様々なジャンルに広がってきています。SNSを通じてあらゆる人がクリエイターになれる時代ですし、直近では、AIによるイラストや動画作成技術も急激に進んできていて、AIをフル活用して、今までとは全く異なるクリエイティブを作る人も、クリエイターと言われる時代に突入しています。
次にエコノミー(経済圏)を支える企業の定義の難しさです。今、まさに文章を書いているnoteやSNS(Twitter、Instagram、TikTok、YouTube)などのプラットフォームは、クリエイターがコンテンツ発信・投稿する場所として役割が分かりやすいですが、我々のようにクリエイターと共にコンテンツを作ったり、ビジネスプロデュース支援する企業だったり、制作ツールを提供する企業だったり、直接コンテンツには関わらないが販売支援や、バックオフィスのソリューションやツールを提供する企業など、どこまでをクリエイターエコノミーに含めるかは、定義が難しく、解釈次第です。
そして、正直な所、クリエイターエコノミーの定義や概念が広すぎるため、リサーチによって、経済圏規模の算定や将来予測が、結構バラバラです。定義が固まらないが故に、イマイチ流行らないのかなー、と思ったりもしています。
Web3に包括されそう?
さて、一度、視点を変えます。2021年からWeb3というワードが一気に社会的に広がったことで、クリエイターエコノミーもこの中に包括されて語られる事が増えました。言葉を選ばずいうと、Web3というバズワードにクリエイターエコノミーというワードが、トレンド・ポジションを奪われた気がします。
Web3はブロックチェーン技術をベースにしたサービス全般を指す概念ですし、クリエイターの活動や収益が全てWeb3に移行することはないので、クリエイターエコノミーは本来、Web3の概念とは違う次元にあると思います。
けれども、トークンやNFTをうまく活用することでクリエイターエコノミーが活性化するのは間違いないので、Web3とクリエイターエコノミーは相性は良いと思います。クリエイターや企業は、その違いを理解した上で、Web3に向き合うのが良いのだろうな、と思っています。
日本流のクリエイターエコノミーとは?
Mintoは日本以外に中国、タイ、ベトナムに法人があります。僕が、アジアに赴いて感じるのは、日本の漫画・アニメ・キャラクターのアジアの影響力です。これは、本当にとんでもない資産だと思います。
日本には、そもそもWeb以前で世界で最も成功したクリエイター発の経済圏と言っても過言でない、漫画家を中心にした経済圏があります。漫画家→出版社(週刊連載/コミックス)→アニメ(製作委員会)→商品化(グッズ)の流れは、まさにクリエイターを中心にした経済圏です。
一方で、クリエイターエコノミーの概念は、アメリカのWeb動画クリエイターから始まっていますから、クリエイターエコノミーの代表格のPatreonの上位クリエイターを見てもYouTuberやPodcastのクリエイターが多いです。全然、インターネット× 漫画・アニメ・キャラのクリエイターを意識してないわけです。
日本だと、漫画・アニメ・キャラ領域のクリエイター向けにインターネット技術を活用したプラットフォームとしては、元々pixivはあるし、この数年でもskebなどサービスが存在します。さらに、VTuberのような完全に新しいエンターテイメント自体も生まれています。
であれば、米国発のクリエイターエコノミーという概念は使いながら、日本発の独自クリエイターエコノミー再定義して、世界へブランディングできたら面白いのではないかな?って思うんです。(定義や定義のブランディングは誰の役割なのだろう…とは思いますがw)
ファンもクリエイターも、損得勘定を超えてクリエイティブを楽しみ、高めあい、追求する。同人文化も含めて、その傾向が強いのが日本のクリエイター経済圏の特徴だと思います。そこにWeb3のトークノミクスやNFTの利点をうまく掛け合わせて、独自の経済圏を広げていく。そしてその経済圏が今以上に、より多くの人に、グローバルに広がる未来。そんな経済圏を創りたい。
韓国が20-30年かけて、音楽・アイドル・タレント・ドラマを主に米国市場向けにブランディングし、成功し、独自のエンタメ経済圏を作って行ったように、日本発のクリエイターエコノミーが世界に開く新産業になっていくように、したい、頑張りたいですね。
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