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入社式は就活のゴールではなく、キャリアのスタートだ。

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

4月も終盤となり、GWの足音が聞こえてくる今日このごろ。東京では早くも夏日となる日もあり、二十四節気では「穀雨」を迎えました。地上の穀物にたっぷりと水分と栄養がため込まれるよう、天からの恵みの雨がしっとりと降り注いでいる季節ということです。

会社における穀物とは人材でしょう。終身雇用制度の下では、新卒は会社からのサポートや教育を受け、数十年の時をかけて育成することで果実を得るというシステムが成り立っています。その最終地点が社長や役員への内部登用です。

しかし、時代は変化しました。伝統的な日本企業であっても終身雇用からジョブ型制度に変革しようとしていますし、刻々と変化する社会情勢に対応しながら業績を伸ばしていくためにプロ経営者を外部から招聘することも珍しくなくなってきました。新卒社員も一生一社に勤めることは全く想定しておらず、自分のキャリアは自分でつくるというキャリア自律を重視する考えを持つ人が多いです。「一社目に入社するとしたらどこがおすすめでしょう?」この質問はわたしが学生からよく受けるもののひとつです。

このように変化する企業と人ですが、4月の頭には例年通り各社で入社式が行われました。伝統的な形式を保つ企業が多く、社長による祝辞は多くの企業が公開しています。それぞれの企業のカルチャーを知るには良い機会だと思います。その中で目を引いたのが、日立製作所の入社式。正式には「Career Kickoff Session」でした。

今年は日立製作所の入社式を訪れました。といっても同社は正式には「入社式」とは言わず、代わりに「Career Kickoff Session」と呼んでいます。2019年までは「入社式」と呼んでいましたが、2020年に呼称を改めました。

終身雇用などの日本型雇用が揺らいでいる今、日立製作所に入社したとしても生涯勤め続けるか否かは誰も予見できません。当日挨拶に立った小島啓二社長は「皆さんが会社に入ってその一員となる日だ、ということより、皆さんが社会の中で、その無限の可能性に満ちたキャリアをスタートする日であることを大切にしたいと思うからです」と、入社式とあえて呼ばない理由を約700人の新入社員に説明しました。

日経電子版

日立製作所と言えば伝統的な日本企業のひとつですが、リーマン・ショック時の2008年度決算で、当時としては国内製造業で戦後最大となる7873億円の最終赤字を計上。生き残りへの危機感から全社で変革に取り組み続け、10年以上に渡ってジョブ型のマネジメントを続けてきた先駆者でもあります。

12年度に人材情報をデータベース化し、20年度には職務ごとに必要なスキルや遂行すべき仕事、期待される役割などを明確化した標準的な職務記述書(ジョブディスクリプション、JD)を職種・階層別に450種類にわたって整備した。さらに翌年度には管理職向け、22年7月以降は一般社員向けに、より詳細なポジション別のJDの導入を進めた。現在約6万ポジションに詳細なJDが導入されている。これを24年度には16万程度にまで拡大し、国内のグループ120社に導入する計画。JDは社内で公開されており、21年10月には各部署が求める人材(ジョブ)を社内外に公募する仕組みが導入された。

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このような動きは国内でさらに加速していくでしょう。これまでの就活は「一生勤めるに値する安定した有名大業」を志向する学生が多く、第一志望に入れれば一生安泰。ちょっとしたゴール感があったように思えます。しかし、これはキャリアとしてはスタートラインに立ったに過ぎません。ジョブはひととき、キャリアは一生です。自身が望むキャリアとはなんなのか? それをどのように積み重ねていくのか。この問いは年齢に関係なくいつでも問いかけるべきものですが、特にスタートラインに立った新卒社員のみなさまには意識して欲しいポイントだと思います。


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タイトル画像提供:ふじよ / PIXTA(ピクスタ)

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