影を潜めても暇ではありません
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影を潜めても暇ではありません

水野泰孝 Global Healthcare Clinic

 連日のウクライナ報道は2年前の同時期の新型コロナ報道と同じような過熱ぶりになっている印象です。すっかり影を潜め、机上の空論だけが伝わっているような新型コロナ関連報道ですが、実際のところどのような変化が起こっているのでしょうか。大きな流行の波がピークアウトし、蔓延防止等重点措置が解除され、お花見シーズンを迎え、新年度を迎えた今日この頃ですが、現場での状況をお知らせしたいと思います。

減少から増加に転じていると言われているが実際にはくすぶっている状況であまり変わらない

 オミクロン株は軽症であることが多いので、一部の人は1日高熱が出ても翌日には下がってしまいます。従ってコロナかもと思っても受診のタイミングを逸してしまえば体調もよくなるので検査をせずに普通に出勤や登校していることもあります。また家族で陽性者が出ても接触者として出勤停止となるので療養中に症状が出ても受診せず検査もしないでそのままという人も結構います。このような方はおそらくコロナであると思われますが発生届が出ないのでカウントはされません。自宅療養中であれば家族以外の他の人にうつす可能性はほぼないですが、1日だけ発熱して翌日元気になってしまい出勤して飲食機会(正確にはマスクを外して会話する機会)などがあると、発症から5日くらいまでは他の人にうつす可能性があるので、拡がってしまいます。
 1月は確かに陽性率も高く受診者も最も多かったのですが、地域差はあるものの最近は検査をする人が厳選されてきているので陽性率は高いままで、全く発生がない日もあれば複数発生がある日もあり、比率からすれば減少傾向かもしれませんが、週単位でみれば陽性になる方は一定数おられます。それに加え蔓延防止対策が解除となり、春休みということもあり、リバウンドというほどではありませんが、上記のように「検査をしていない潜在的な陽性者が飲み会や花見などでリスクを伴う行動」をすればそこで拡がり陽性者数に反映されている状態ではないかと思われます。しかしワクチン3回目「直後」での「発症予防効果の引き上げ」によるブレーキ周囲で対策をしっかりと取っている人たちのおかげで急激な増加にはなっていないように感じます。最近では3回目接種後に検査で陽性になる方も散見されますが、かなり軽症であったり、同居家族でも発症しないで経過するなど一定の効果があるように感じます。

検査のタイミングが早すぎることがある

  抗原検査がどこでも使えるようになったのは良いことですが、オミクロン株では発症して(特に高熱が出て)から数時間以内は抗原検査は陽性にはなりません(インフルエンザ検査と類似してきました)発熱が出てからすぐに検査や受診する方もおられますが、その日の抗原検査はほぼ陰性PCR検査を行うと陽性というパターンがほとんどです(ウイルス量が少ないとPCR検査も陰性の場合もあります)。ただ発熱2日目くらいになると抗原検査でもほぼ陽性になります。
 この現象はデルタ株に比べてオミクロン株は発症前にはウイルス量があまり増えることなく、発症してから数時間でピークを迎えるような病態と考えられますので、沖縄県の提言でもあったように接触者をさかのぼって検査をすることはもはや意義がなく発症した人との接触者でかつマスクなしで会話をするような接触であった場合に希望者に検査をすれば効率的に陽性者を見つけることができます。発熱があっても検査のタイミングが適切でなければ偽陰性となり、この病態を理解していないと「検査でコロナではなかったので安心した」などとの誤解から気を抜いてしまうこともあるかもしれませんし、患者さんからお話を伺うと医師であっても理解していないこともあるようですので、いわゆる検査のすり抜け事例が潜在的にみられているような気がします。

どうしたら良いのか?

 「前週より増加した」「人出が増えている」「第7波の入り口だ」などどまだ第6波も落ち着かない状態で煽りとも捉えられる発言には賛同できません。「人出が増える=感染が拡がる」ではなく、「リスクのある人が拡がりやすい環境に入りこむ」ことによって感染は拡がる訳ですので、新たに対策を強化するよりも、高熱が出た場合には翌日に熱が下がってもCOVID検査を行うようにする、あるいは発熱後5日程度は自身で行動を自粛するなど(2年前から言っていることは変わらないのですが)ピンポイントでの対策を各々が実践することで拡がりは最小限にすることができると思います。蔓延防止措置を再発令などといった意義の低い対策は社会活動を推進していくことの大きなブレーキとなるだけではなく、大人以上に我慢を強いられている子どもたちの大事な思い出の数々を奪い続けることにつながるのでもういい加減にやめていただきたいと思います。
 BA2に関しては何とも言えませんが、デルタからオミクロンに置き換わった時期の感染者数増加スピードに比べれば、BA2が確認されてからすでに1か月以上が経過しますが、感染者数の増加スピードは上がっておらず、置き換わりが進んでいることは事実のようですが、今回の微増に寄与している可能性は低いのではないかと考えます。

#日経COMEMO #NIKKEI

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水野泰孝 Global Healthcare Clinic
東京慈恵会医科大学大学院修了。タイ王国マヒドン大学熱帯医学部留学、在ベトナム日本大使館医務官、東京医科大学准教授、同大学病院感染制御部長・感染症科長を歴任。専門は熱帯医学、渡航医学、予防接種。日本感染症学会指導医、日本小児科学会指導医、米国熱帯医学会認定医(CTropMed®)。