Think ICT 6:DXよりも、急げ企業のデジタル化
「新しい生活様式」で、注目されるようになったテレワーク
これからは、「非3密」な生活を、企業活動でも求められる。学校が分散投稿であれば、企業も分散出社などが行われるのであろうか。
ところで、今回のテレワーク。皆さんの企業はスムーズに行えているだろうか。そして、あれ日本ってIT先進国ではあったはず、と思った瞬間はなかっただろうか?
私はフリーランスなので、さまざまな企業や大学とお付き合いをさせて頂いている。先週も大学の講義で、160名程度への講義を、Video会議のシステムで行った。実際160名の講堂を持っていない大学であるが、Video会議だとこのような講義ができる。とても便利である。
企業の場合でも、同じようにスムーズに行えるかと思いきや、意外とそうでもない。理由は明確だ。従業員が自宅で契約しているインターネットへの接続回線が、全員高速ではないからである。社内会議で、ある人にプレゼンテーションを頼むと、その人からの声だけ、とぎれとぎれになったりする。理由は、その人のインターネットの回線が遅いからである。結果、その人の発表に対して、「もういいから、あとでメールして」などとなってしまうこともある。
インターネットの回線は、仕事で使っていなかった?
日本は、スマートフォンの普及率は高く、LINEやFacebookなどの利用も高い。個人と個人のコミュニケーションでは、実にインターネットを上手に、そして楽しく使っている。
しかし、仕事、企業活動での利用は、今まで真剣に考えなかったのかもしれない。もちろん、自宅から仕事という文化は今まであまりなかった。日本では、「会社出社=勤務」であり、「会社に行かない=働いていない」という方程式があったからである。
ところが、これは実は放置していた問題だったかもしれない。特に、東京では、2011年の東日本大震災の時に、出社停止になった日がある。
この時には、自宅の電気も計画停電になったので、自宅からの勤務ということをあまり考えなかったのかもしれない。しかし、この時に、BCP(事業継続計画)という言葉を覚え、多くの企業でBCPを策定したはずである。その中に、「会社に出社しない、出社できない」という想定を考えられなかったのである。
もし、BCPをしっかり考えていたなら、テレワークのテストを定期的に行い、回線の問題や、会議の進め方など、事前に練習できていたはずだ。しかし、今回、初めてテレワーク実施という企業が多かったのではないだろうか?
DXよりも、足元のデジタル化
去年から、多くの企業の経営者やリーダーが、「デジタル・トランスフォーメーション(DX)時代の事業を」などと口にしていた。しかし、蓋を開けてみたら、企業活動のデジタル化すら、満足な状況ではなかったのかもしれない。
まだ、遅くない。これから企業の活動、すべての活動のデジタル化を検討し、実行に移すときだろう。
書類仕事の棚卸や、イントラネットのインターネット化、会社のサーバーとインターネットの接続回線の見直し。とても、地味な仕事であるが、今気づいた企業のデジタルの課題を、ひとつづつ改善すること。このことが、DXの1丁目1番地なのではないだろうか。