働き方改革の本質:「生産」から「成長」へ

この記事の副題が、「時間より成果に重きを」。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO32427820Z20C18A6MM8000/

日本の生産性が低いというのは、即ち成果を出していないことです。

だから成果を出すように変えなければいけません。成果に重きをおいて、何かの重みをなくす必要があります。この記事ではそれが「時間」だといっています。

 私は違うと思います。むしろやめるべきは、ルールによる「標準化と横展開」という日本が以前うまくいっていた時に効果的だったやり方です。これを日本人ほどきちんとやっている国は他にないでしょう。

 「標準化と横展開」が成果を生んでいないことは、結果からあきらかです。結果に真摯に向き合うことは基本です。ある時にうまくいったやり方を普遍的に正しいことだと勘違いして、いつまでも使い続けるのは、先の大戦でも見られた日本の悪い癖です。

 逆に、もっと重きをおくべきこともあります。成果を出すのは人です。よりよい成果を出すには、人を「成長」させる必要があります。

 人の成長を最も優先度の高い項目として、重きをおく必要があります。

 例えばあなたがパワポの資料を作る場面を考えましょう。成果は、スライドのコンテンツをうめることでしょうか。

 違います。目的のコンテンツが描ける人にあなたを成長させることです。多くの場合、紙面を実際に埋める時間などたいしたことはありません。

 大事なのは成果です。成果は資料やプレゼンの受け手を動かすことです。あなたがそれを考えられる能力や経験や情報網を持っていなければ、いくら時間をかけても、成果はうまれません。成果を出すには、そのような受け手を動かせる中身を判断でき、考えられる人にあなたが成長することが必要条件です。

 成果をだすには「ともかく成果が出るように頑張れ」ではうまくいきません。工場での生産では人が成長しなくとも、マニュアル通りできれば、標準化された繰り返しをリピートすることはできました。

しかし、現在の日本の生産性はそんなことでは決まっていません。業務は常に変化し、多様な制約条件の中で、価値を生む必要があります。それは標準化と横展開やPDCAでは不可能です。

PDCAは、計画できることに対してのみうまくいきます。現在の多くの仕事では、ごく荒っぽい段取りはあってもいいですが、それ以外は、その場その場の状況に即興的に対応する必要があります。ジャズの即興演奏やジャムセッションができる人にならなければいけません。計画という譜面がないなら私は演奏できません、というクラシック演奏者は生きていけません。

大事なのは、成長をドライブするのは、その人自身にしかできないということです。今日のあなたの成長に必要なことと、明日のあなたの成長に必要なことは、異なります。それが分かるのは自分だけです。一律の人事施策などでは対応不可能です

このように継続的な人の成長こそが成果の本質です。我々の発想を大きく変える必要があります。

働き方改革の本質とは、真に成果の出せる人への成長に徹底して投資し、こだわることです。成果を出せる人、自ら成長できる人を日本に増やすことです。

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