コペンハーゲンから学ぶ都市のマーケティング思考について
先週から1週間、コペンハーゲンに滞在中です。
コペンハーゲンは街並みの美しさだけではなく、「人のことをよく考えられた仕組みになっている」と感じています。
都市として評価が高いコペンハーゲン
コペンハーゲンは、2022年版世界の住みやすい都市ランキングでは2位にランクインしています。
コペンハーゲンの戦略は何が優れているのか?
滞在してみても、コペンハーゲンの素晴らしさはたくさん感じられたのですが…
裏側の戦略は何が優れているのかが気になってきました。
マーケティングの視点から、コペンハーゲンの都市は何が優れているのかを読み解きたいと思います。
1. 都市のビジョンとコンセプトをつくる
コペンハーゲンの住みやすさは、どんなビジョン(目指す姿)、コンセプト(動く上での指針)から生み出されているのでしょうか?
調べてみると、コペンハーゲンには強い都市のビジョンとコンセプトが存在していることがわかりました。
上記は、都市デザインの世界で有名なヤン・ゲール氏が語られていた内容です。
コンセプトやビジョンに基づいて、自転車に優しく、歩行者に優しい街をつくることが推進されてきています。
人は、より多く歩き、より多く自転車に乗れば、より長生きをして、医者・薬に頼った生活をしなくなる考え方が根底にあるとのこと。
東京に同じようなビジョン・コンセプトはあるか…と考えると不明です。
訪れてみて、予想以上に街は自転車で移動する市民に溢れていました。
今では、コペンハーゲンは世界一のサイクルシティとして、自転車社会と言えばの代名詞になっています。
ビジョン・コンセプトを明確に示すことで、特定領域で1番になる・想い出される(第一想起される)存在になる戦略に成功しています。
2. 都市にとっての顧客を定義する
都市にとっての顧客は、市民(内部)と観光客(外部)の2つに分けられます。
経済を回すためには量軸の考え方が重要になりますが、コペンハーゲンは顧客の定義を独自に行っています。
マーケティングの基本となるSTPの発想ですね。
観光客という考え方を捨てて、全ての人を市民と捉える発想に切り替えています。
「THE END OF TOURISM(観光の終焉)」
都市として持続的な成長をするために、顧客を再定義して、顧客に合わせてメッセージを研ぎ澄ますことが重要になります。
誰でも良いから来て欲しい、お金を落として欲しいといった考え方ではないわけです。
3. 都市の目標指標を明確にもつ
最後のポイントが目標指標の設計です。
目標指標をもつなんて当たり前ではないか…と思われるかもしれませんが。
どのレベルで取り組めているかが重要です。
こちらがデンマーク政府が公開しているSDGs指標です。
デンマークはSDGs指標も目標指標と定点チェックが明確に行われています。
しかも、17項目×細分化された全ての項目で。
例えば、Proportion living below the absolute poverty line(絶対的貧困ラインを下回る生活をしている割合)
もう一つ、
Proportion of the population that is satisfied with and trust Danish institutions(デンマークの制度に満足し、信頼している人口の割合)
全ての指標が良い変化を生んでいるわけではなさそうです。
しかし、指標を決める、開示する、改善アクションを明確にする、このより良くなるためほサイクルが回せていることがわかります。
日本もSDGsは重要だと言われていますが、指標はどうなっているのだろうと探してみましたが見つからず…公開されていないだけ?
(もしあればコメントで教えて頂けると嬉しいです)
コペンハーゲンからの学び
マーケティングの基本を当てはめるだけでも、コペンハーゲンは戦略性をもって世界で評価される街になっていることがわかります。
ビジョン策定、戦略、実行管理が一気通貫で行われている、これは基本で超重要でありながらも、できていないことが多いのでは?と考えています。
日本の地域はどうでしょうか?
都市にもマーケティング思考を持ち込む可能性を探索していきたい。
コペンハーゲンから日本の地域に活かせる視点を持ち帰って、面白い活動につなげていきたいと思います。