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1億ドル調達のポッドキャスト・スタートアップ、ルミナリー(Luminary) は「音声版ネットフリックス」になりうるか?

「〇〇版ネットフリックス」。かつてスマートフォンを利用することであらゆるマッチングサービスが「〇〇版ウーバー」を目指していたのと同じように、今は優れたコンテンツなどを提供することでサブスクリプション(定期有料購読)型のビジネスに注目が集まっているようです。

その中でも特に音声サービス、「ポッドキャスト」への注目が熱を帯びているようです。3月3日のニューヨーク・タイムズでは『ビッグ・スターと有料購読で、LuminaryはポッドキャストのNetflixを目指す』という若き28歳の音声サービス企業の起業家による、1億ドルの資金調達と6月のサービス開始を報じています。

音声サービスの大手にはもちろん9,600万人もの有料会員を抱えるSpotifyが存在し、そのCEOは数年後にはビジネスの2割は音楽以外のコンテンツになると宣言しているほどです。他のポッドキャスト配信サービスとしてはStitcherPocket CastsOvercastCastboxなどが存在しますが、今回紹介されているLuminaryは著名な「ポッドキャストホスト」との専属契約を売りに、広告抜きのサービス(月額8ドル)を6月にスタートする、と謳っています。現在はニューヨークとシカゴにオフィスがあり、社員70名中40名がエンジニアと報じられています。

ポッドキャストの有料購読サービスはうまくいくのか?

ポッドキャストの専門ニュースレター・サイト「Hot Pod」を運営しているこの分野の専門家、ニコラス・クッシュ(Nicholas Quah)氏はやや懐疑的な受け止め方をしているようです。もちろん6月のサービス開始を待たないと「まだ分からない」とした上で、オープンで誰でもが音声コンテンツを配信出来るポッドキャストの特徴を活かし、既に優れた無料コンテンツが豊富に存在している中で、1億ドルの資金を投資したVCからの収益化へのプレッシャーにどのように応えられるかは、まだ未知数と指摘しています。

ネットフリックスとの比喩に関し、ネットフリックスはかつてレンタルビデオサービスからスタートしていて、過去の名作映画などの視聴者が興味を持つコンテンツがあり、顧客ベースを保有していた状態で、「非効率的に」「不十分に」収益化されてなかったことで成功をもたらした点を指摘しています。

Netflix didn’t build an initial sustainable user base off the strength of exclusives. It build that audience through film and television products that had already been tested in the marketplace, but were inefficiently monetized, insufficiently monetized, and/or hard for people to access.

ポッドキャストの今年の広告売上市場規模は5億1,400万ドルと予測されていて、2020年には6億5,900万ドルに達するとも予測されています(Interactive Advertising Bureau and PwC)。現在はポッドキャスト配信中に広告の部分を簡単に早送りすることも可能だったり、視聴行動のトラッキングも容易ではない中、クリエーターにとっては「収益化」の道筋が拡大することは持続可能性の点からも大切な点です。

今後どのように産業としてのポッドキャストが成熟化していくのか、日本にもこうした音声サービスの波がどのように波及してくるのか、注目していきたいと思います。

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