日本のPB黒字化目標はどれくらい期待されているのか
政府は新計画でPB黒字化目標時期を25年度とする方向であることがわかった。PB黒字化は本来2020年度に果たされるはずであったが、そこから5年先送りされる見通し。公明党案に至っては、黒字化目標は掲げず、「経済動向を注視し、一定の幅を持ってみる必要がある」と表記されているようだ(毎日新聞)。
これは海外から見てどう映るのだろう。頼りないニッポン?甘いニッポン?財政再建など無理なニッポン?
実は海外投資家から見て、日本が財政再建を達成するであろうとの期待は端からあまり大きくないのではないかと見ている。財政再建するといいながらむしろ財政負担を膨張させている日本にもはや財政再建できるとの期待を持っていないという面と、そうはいっても日本は経済大国であり、秩序正しい国でもある日本はファンダメンタルズが評価されているという面の両方があるからだ。ただし、日本としてはそれで良しとするのではなく、海外投資家にそっぽを向かれる前に、最低限示しておくべきことがあろう。
第一に、2020年度黒字化達成目標が実行できなかったこと自体にまずは納得できる説明が必要である。第二に、新しい計画に対しては、今度こそ達成できる目標であること、それに対する実効力をいかに証明してみせるか、であろう。たとえば「増税後の景気下振れを防ぐため、税率引き上げで起こる需要の変動をならすよう万全を期す」という骨太方針の原案どおりになれば、せっかくの消費増税分は景気対策費用とオフセットされてしまうのではないか、との疑問が生じる。こうした懸念をどう整理して説明するのか。第三に、こうした計画を実行できる政府や国の強い意志とそれを国民に納得してもらえるだけの安定した政治力をいかに維持できるか、である。あまり実のないことで国会日程を空費している場合ではないことだけは確かだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31050750Y8A520C1MM8000/