歴史を知れば悩みが吹っ飛ぶ! 歴史思考という考え方とは
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
突然ですが「コテンラジオ」をご存知でしょうか? 2018年11月に始まった歴史系のPodcastで、第1回JAPAN PODCAST AWARDSでは大賞とSpotify賞をダブル受賞した、大人気のポッドキャストです。みなさんの中でも聴いているという方、多いのではないでしょうか。
歴史というと暗記科目で、特に覚えることの多い世界史などは苦手意識を持っている方もいるでしょう。私は理系だったので学校ではさわりの部分しか履修していませんが、なにより「年表」がベースになっているのが苦痛でした。全然頭に入ってこないんですよね。
コテンラジオは「お金の歴史」や「性の歴史」や「部下に殺された人」などという具合に、様々な時代や地域や領域を横断して新たな切り口で語ってくれます。今まであまり歴史に興味がなかった人でも知的好奇心が刺激されるコンテンツに仕上がっています。
株式会社COTEN 代表の深井龍之介さんが本を出したということでご恵投いただきました。発売は3月30日ですが、すでに以下から予約を開始しています。
深井さんとは何度か対談をしたことがありますが、いつも明快な語り口で新たな視点を提供してくれることに感銘を受けた記憶があります。
https://www.youtube.com/watch?v=a9-6H0WHfxM
ICCサミットというビジネスカンファレンスで「人間を理解するとは何か?」というセッションのファシリテーターを担当しているのですが、深井さんにも議論に入っていただいたこともあります。以下に書き起こし記事がありますので、ぜひ一度ご覧いただければ幸いです。
さて、本題である『歴史思考』ですが、まずその文章に驚きます。まるでポッドキャストからそのまま出てきたような軽快な文体で、コテンラジオを聴いている人であれば余裕で「あの声」が脳内再生されることでしょう。
深井さんいわく、「歴史思考」とは「歴史を通して、自分を取り巻く状況を一歩引いて、客観的に見ること」だそうです。本書で繰り返し出てくる言葉が「メタ認知」というもので、目の前のことだけ近視眼的に見ることで人は悩んでいるのであると指摘しています。
それを証明するために様々な偉人のエピソードが出てきます。一体誰が「イエス・キリストは元大工の政治犯」などと言えるでしょうか。「パッとしない少年だったガンディー」等々、パワーワードの連続です。もちろんこれらはトンデモ論ではなく、一定の歴史考察に基づくものです。非常に質の高い論考がとてもわかりやすく解説されており、一気に読み進めてしまいます。
また、我々がいま「当たり前」だと思っていることは長い目で見れば「非常識」であるとも指摘しています。例えば「男性は男性ともセックスしてきた」「稼ぐ人が偉いのも最近の価値観」といった具合です。
私も思春期の時代、自分とは何か?ということに思いを巡らせていました。そのときに出会ったのが、古典の授業で学んだ鴨長明の『方丈記』でした。「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。」からはじめるアレです。大変感銘を受けた村上少年は、さらに深堀りをして『発心集』を日々読み漁ることになります。当時尊敬を集めた高僧と呼ばれる人々も同じように悩み、葛藤していたことを知りとても勇気づけされました。あまりにのめり込んでいたからでしょうか、卒業時に担任の先生(国語担当)から『方丈記・発心集』の書籍をいただきました。その後もことあるごとに読み返しています。
本書を通して一貫しているのは、個々人の悩みに寄り添おうとする深井さんの優しい眼差しです。また繰り返し主張されている「存在しているだけで大きな価値がある」という言葉も、それを支えます。不確かな時代の中で日々悩んでいる人にこそ、ぜひ手にとってほしい本だなと思います。
深井さん、編集のひのさん。素晴らしい本をありがとうございました!
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※ タイトル画像は筆者撮影
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